深海神殿
車内
「依頼人が目を丸くしてましたよ…」
「う、うるさい!」
「それでも復活する火星は流石ですね」
「無駄に」
「その[無駄]が無けりゃ俺は死んでるよ…」
「織鶴も、その殴る癖をどうにかしてくれよ?」
「うぅ~…」
ピピッ
「メール来てるぞ」
「誰よ、もう」
「…!」
「どうした?」
「火星、車を回しなさい」
「森草ちゃんの家よ」
「ど、どうして…」
「早く!」
「お、おう!!」
数日前
南極
激しい猛吹雪がゼロの耳に入ってくる音を全てかき消している
彼は重厚な防寒具に身を包んではいない
能力によって体温の低下[速度]を操り、常に常時の体温を保っているのだ
「…チッ」
「何だ、ここは」
ゼロの目前に入って来たのは穴
巨大な巨大な穴
「海…、ってワケじゃねぇな」
「水があるワケでもねぇし」
取り敢えず、石を放り込む
……-------------コンッ
「下は地面か」
「長さ的に…、30mそこらだな」
「行くか」
トンッ
深海の神殿
ドンッッ
「…何だ、コリャ」
「マジでゲームに出てきそうな所だな」
壁に掘られた妙な文字
松明に照らされた入り口
そして、その近くに脱ぎ捨てられた防寒具
(誰か先に来てるみたいだな)
(まだ体温が残ってやがる…)
「…進むか」
深海神殿
1F
「ご丁寧に扉も全部開けてやがるのか…」
「探検してりゃ-、そりゃそうなりますがな」
「!」
「おっす、久しぶり」
「祭峰か…」
「お前と俺ってよく会うよなぁ~」
「運命の赤い糸?」
「何ちゃって!恥ずかしい!」
「赤い糸の赤は運命じゃねぇな」
「血の色だ」
「お!洒落た返答するねぇ」
「で?何しに来たんだい」
「五紋章」
「だろうなぁ~」
「でも、残念!」
「コレの事だろ?」
「斧…」
「結構、重いんだよな」
「コレが」
「…フン」
(総督の危惧してたのは当たってたか…)
「で、お前1人なの?」
「お連れの奴等は」
「居ない」
「おー、そうか」
「今回は2人っきりだな」
「喋れる事も増えるってモンだ」
「…知ってるみたいだな」
「お前が使った情報屋はこっちも使ってるんでね」
「良い奴だろー?」
「他に口は割らないし、情報も確実!」
「ま、俺達の専属にしたけどな!!」
「…そうか」
「もう必要ない」
「本当にそうか?」
「…何だと?」
「アイツ等も良い情報屋だけどね」
「[当事者]でなけりゃー、解らん事もあるだろうに」
「…どういう事だ」
「お前さ、どこまで知った?」
「…五紋章の意味」
「憑神」
「13人の依り代」
「創世計画」
「…もう答えみたいなモンだなぁ」
「だけど、それはあくまで昔の話だろ?」
「依り代も今は14人だ」
「そして、今の状況とこれからは知ってるかな?」
「…教えろ」
「こっちに来い」
「No,3…、ゼロ」
「そうすれば教えてやる」
「それは勧誘か」
「あぁ、そうだ」
「お前なら戦力としても仲間としても大歓迎だぜ?」
「俺に勝てるんだからな」
「…何の事だか」
「No,2との決戦、観戦させて貰ったよ」
「素晴らしい戦いだったじゃん」
「…盗み見とは良い趣味してるな」
「あぁ、軍もな」
「…何?」
「あの薬をNo,2に流したのは俺達じゃねぇよ」
「!!」
「さて、と」
「こっから先は有料だ」
「有料か」
「吐かせりゃ無料だな」
「えー、俺達の勧誘は?」
「断る」
「…はぁ、全く」
「残念だねぇ」
現在
日本
森草の家
ガチャッ
「入るわよ」
「入ってから言っても…」
「お、織鶴さん…」
「セントちゃんの具合は?」
「寝込んでます…」
「呼びかけても返事が無くて…」
「…そう」
「私…、どうしたら良いか…」
「私と彩愛で話をしてみるわ」
「火星と波斗は居間で待たせて貰ってなさい」
「は、はい」
「…解った」
居間
「委員長」
「何?蒼空」
「何が…、有ったんだ?」
「セントさんは具合が悪いのか?」
「…かなり、キてるみたい」
「当然なんだけど…」
「何が…?」
「…蒼空君」
「何ですか?」
「先刻、織鶴にメールが来てただろう」
「原因はアレなんだ」
「?」
「今、各Noは各地に重要な物を取りに行ってる」
「勿論、ゼロも」
「!」
「ゼロさんに何か…?」
「…率直に言うよ」
「ゼロが…、死んだ」
「…え?」
読んでいただきありがとうございました