呼び出し
万屋
「はぁ…!はぁ…!!」
「…お帰り」
「織鶴!聞いてくれよ!!」
「帰りのパ-キングエリア…で…」
ソファは破れ、窓ガラスは粉々
唯一原型を保っているのは織鶴のイスだけである
「…何だ?」
「何が有ったんだ!?」
「糞共が待ち伏せしてたんだよ」
「ブッ殺されにくる腐れドM共が…」
「アイツ等の×××ブッ千切って口にめり込ませてやろうか…」
「口調が…」
「織鶴は怒るとこうなるから…」
「鉄珠と彩愛は?」
「彩愛は軍に行ってるわよ」
「鉄珠は逃げた奴等を始末しに行ってるわ」
「そ、そうか…」
「俺達も襲撃を受けたんだよ」
「無事ならどうでも良いわ」
「五眼衆の奴等だった」
「解ってるわよ、そんな事」
「それに動きが妙だった」
「この前にみたいに暴走して単調な動きじゃなく、統率された兵の動きだ」
「ここに来た奴等もね」
「油断してたわ」
「まさか部屋のモン全部壊されるとは…」
「イスは守ったんだな」
「誰が座ると思ってるの?」
「ははは…」
「あ!蒼空君が能力コントロ-ルが出来る様になったんだぜ!!」
「だから?当たり前でしょ」
「…うん」
「い、良いですよ、火星さん」
「俺も気にしてませんから、ね?」
「織鶴さんも今は機嫌が悪いでしょうし」
「ありがと…」
パ-キングエリア
「…何もねぇな」
地面に転がっている灰木を蹴り飛ばすゼロ
「パ-キングエリアからトイレまで…、全て燃やされてますね」
「証拠隠滅かと」
「…あ-!クソ!!」
「五眼衆のボスが居るかも知れねぇっつ-から来たのによ-!!」
「ギャ-ギャ-騒がないでくださいよ」
「検査の邪魔です」
「へいへい!解りましたよ!!」
「あ-!クソ-!!」
「うるさいな、あの人」
「ゼロさんだろ?No,3らしいぜ」
「あんな人が?」
「あぁん?」
「やべっ!聞こえてた!!」
「作業!作業!!」
「チッ…、うるせぇな」
(こちとらNo,1と戦ったっつ-奴をとっとと見つけて戦いてぇのによ!!)
(五眼衆のボスなんかに釣られるんじゃなかったぜ…)
「あぁ----!!畜生!!!」
「「うるさいなぁ…」」
軍本部
45F総督室
「…」
イスに腰を掛け眠そうにしている1人の男
男の前に置かれたコップには少しだけ水が入っている
バタン
「あら?先に来てたの」
「面白い格好じゃない」
「…黙れ」
「蒼空君にやられたんだって?」
「…あぁ」
「飼い犬に手を噛まれたわね」
「飼い犬って言っても放任主義だけど?貴方は」
「フン…」
「結構、能力者に狙われてるでしょ?」
「貴方を超えようとしてる奴等に」
「…潰した」
「やっぱり街中の路地裏に放置されてた死体、貴方の仕業ね」
「隠すの大変だったんだから」
「ゼロからか」
「あの子は戦闘大好きっ子だからね」
「貴方が来るから嘘の情報を掴ませて他所に行かせたのよ?」
「苦労してるな」
「そうかしら?」
「それと新しくNo,7の枠を設けるわ」
「No,7?」
「興味有りそうね」
「…いや」
「興味など無い…」
「嘘仰いな」
「…だが、どうしてNo,7を設けるんだ?」
「必要など…」
「軍の再機密にね」
「暗殺特専務部隊クラウンを知ってるかしら?」
「…知らん」
「まぁ、簡単に言えば暗殺部隊よ」
「そこに勤めてる子にお願いする事にしたわ」
「能力値は?」
「関係ないわね」
「実質的な任務の成果って事にしといたわ」
「…そうか」
「各支部長にも確認を取ったし、後は正式な発表をするだけね」
「まぁ、そんな大した事でもないし」
「軍の最高戦力が増えるのに、か?」
「所詮は暗殺部隊だし♪」
「奴は…、元No,4」
「奴も似た様な状態だろう?」
「失礼ね!毎回、多額の料金を払ってるのよ!?ちゃんと」
「それに対してクラウンには…、には…」
「…最近、高いのよね」
「払ってるのか」
「…えぇ」
「遠慮無しに請求してくるのよ?」
「大変だな、貴様も」
「貴方みたいな子に心配されちゃ-、私もねぇ」
「フン…」
「…そう言えば、ロンドンの野郎」
「ロンドン?支部長の事?」
「そうだ…、何と言ったか」
「ウェスタ?だったか」
「そうよ」
「彼がどうかしたの?」
「ロンドンで最近、奴が目撃されていただろう?」
「天之川?」
「そうだ」
「…もしかして」
「遠征も偶にはな」
「ウェスタに連絡してくれ」
「一週間以内に行くとな」
「解ったわ」
「貴方も珍しいわね?ロンドンに行くなんて」
「…そうだな」
「天之川だけが目的?」
「…関係ないだろう」
「そうね」
「俺は帰る」
「御茶、美味しかったかしら?」
「そこそこな」
バタン
「…ふふ♪面白くなってきたわねぇ~」
ガチャッ
ピッピッピ
電話のボタンを慣れた手つきで次々に推していく総督
「…あ、もしもし?」
万屋
「はぁ…、何で後片付けを俺達が」
「織鶴さんは出て行っちゃいましたね」
「スウィ-ツを買ってくるらしいな」
「自分から買いに行くなんて珍しい」
「いつも火星さんが?」
「そうだけど?よく解ったね」
(そりゃ解りますよ…)
prrrrrr
「電話か?」
ガチャッ
「もしもし?こちら万屋、秋鋼」
『あ、火星君?』
「そ、総督!?」
『久っしぶり~♪』
『どう?元気?』
「げ、元気ッス…」
『元気ないでしょ?』
『まぁ、それより依頼よ!依頼!!』
「何ですか?」
『蒼空君、居るかしら?』
「居ますよ?」
『彼に今から軍本部に来る様に伝えて』
『今すぐ』
「は、はい」
「蒼空君!ちょっと」
「何ですか?」
「今から軍に来いって…」
「今から!?」
「今から」
「何だか解らないけど、急な用事じゃないかな」
「そ、そうですね…」
『そういう事だから!』
『じゃぁね~♪』
ガチャッ
ツ-…ツ-…
「…だそうです」
「行ってきます…」
「ま、待つんだ!蒼空君!!」
「はい?」
「No,1を倒したことについてだったら…?」
「あ…」
「…織鶴が帰ってくるまで待とう」
「は、はい…」
キキッ
車が店の前に止まり、女性が出てくる
「…白月さん」
「お久しぶりです」
「総督がお呼びですよ」
「早くないですか?」
「「どうせ来ないから迎えに行っちゃって!」だそうです」
「…流石、総督」
読んでいただきありがとうございました