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秋鋼  作者: MTL2
275/600

試験後

軍本部45F


総督執務室



「…」


コンコンとペンで机を叩く総督

額には湿布、口にはマムシドリンクが咥えられている


「…はぁ」


コトッ


「お疲れ様です、布瀬川様」

「追加のマムシドリンクでございます」


「…ありがと、白月」



正直、予想外って言うか

私の中でも整理が追いついていない



まず、簡潔に言う



軍は多大な被害を受け、試験は中止となった



地下街の爆弾は予想外に広範囲に設置されており

爆弾処理班3班が被害を受けて軍病院で治療中

地上の一般人も数百人程度が被害を受けた

これらは軽傷だったので、情報操作も簡単だが…


最も毒の被害を受けたのはBOX

全身に重度の火傷を負った

院長によると数ヶ月は動けないそうだ


そして、犯人である釜藁 夕壬朗

及び美栗 遊乱


2人で攻めてきて、これだけの被害を出すというのは信じがたい

けれど事実として受け止めなくてはならないだろう


因みにこの2人は元老院の雨雲 卯琉と元No,4の織鶴 千刃の両名が

処分した物としている


この際に重要書類室の扉が破壊されたが、何かが盗まれた形跡は無い


驚くべき事としては人数の事もそうだが、その上で

2人は無能力者だった事が挙げられるだろう


彼等は五眼衆事件の時に流出したと見られる人工能力装置を使用

それで軍にここまでの被害を出したのだ


また、水素猛毒素も爆弾もそうだが

これらの物を、軍の情報を何処で手に入れたのかが気になる所である


そして織鶴 千刃からの情報では

彼女ら秋鋼と彼等は一度、接触していたらしい


釜藁 夕壬朗は巷では名の有る探偵だったらしい

美栗 遊乱は高校時代までは未来有望なアスリートだったそうである

また、辛うじて意識のあるBOXの証言から

彼女は軍の者から暴行か性的暴行を受け、精神を病んでいたそうだ


これは完全にこちらの落ち度

彼等の遺族には何らかの保証を行おうとしたが、彼等に親族は居なかった

住んでいたマンションは既に退去手続きが済んでおり

最早、今回の事は覚悟の上だったと思われる


そして先に述べたとおり、試験は中止された

理由は述べるまでも無い

今では地下街の復旧に尽力している状態である


勿論、五紋章の事など発表できるはずも無く

No及び各精鋭達で対策を練る事となるだろう


今回の襲撃に関しては確実に私の責任である


完全にノーマークだったとは言え、これだけの被害を出したのだ

それ相応の罰は覚悟していた



元老院からの通達は驚くべき物だった


[五紋章争奪戦に尽力せよ]と


一切のお咎め無し?


私とウェルタとステラで首を傾げた物だが、差出人を見て納得した


神無


何故、元老院のジジィ共ではなく神無元総督なのだろう?


答えは簡単だろう

恐らく、あの人はジジィ共を消した


難しい事じゃないし、軍を私腹を肥やす為に使っていたジジィ共を

あの人が放って置くとも思えなかった


あの人が元老院総帥となったのは、むしろ好都合なのかも知れない


次に、精神実験場での件だが


コレは驚くべき人物によって解決された


祭峰 悠拉


彼が侵入して数分後に全員が目を覚ましたのだ

唯一の目撃者であるNo,3直属部下の森草 蜜柑によると


「その後は何を言うでも無く、そのまま出て行った」らしい


全くもって目的が解らない


神無元総督…

基、神無総帥も気にしなくて良い、と言っているが…


また、ゲートだが

秋鋼の彩愛 真無と軍情報部の数時間の作業によってハッキングは解除された

しかし、使われたカードの形跡や開閉形跡は全て消されてしまっていた様である


これらの事から、警備の強化が義務づけられていく事だろう



で、今は被害などの書類を纏めているのだが…



「はぁ~…………」


「布瀬川様、お疲れの様ですね」


「当たり前でしょぉ…」

「何が悲しくてこんな量の書類を纏めなくちゃなんないんだか」


「その、お疲れの所に申し訳ないのですが」

「面会の申請が」


「却下」


「いえ、神無総帥からです」


「…却下」


「出来ません」


「もう嫌…」











ホテル


B-12


2号室



「すまないな、呼び出して」


「気にしないで的なぁ~」

「まさか、雨雲からホテルに呼ばれるなんて的な♥」


「違う」

「…卯琉が生きている」


「…知ってる的な」


「ならば、話は早いな」

「本当に我が一族を虐殺したのは卯琉か?」


「…」


ぴくりと震える西締

雨雲は鋭い目つきで西締を睨んでいる



「…余り、深く掘り出したくはない話題的な」

「私も…、あの子は大好きだったから的な」


「…そうか」

「妙な事を聞いたな」


「気にしちゃ駄目的な!」

「お次はベットで的な♥」


「断る」


「つれない的なぁ~」










九華梨町


マンション


301号室


「よっと」


「あ、引っ越しの準備は終わったかい?蒼空君」


「えぇ、火星さんが手伝ってくれましたし」

「まぁ…、もう少し居たかったんですけどね」


「あははは」

「でも、思ったよりも君のアパートの改装工事が早く終わった良かったじゃないか」


「まぁ、そうなんですが」


ビーーーッ


「よし、最後の封もしたし…」

「後は運んで貰うだけですね」


「うん、あぁ」


「あ!そうだそうだ」

「美栗さん達に挨拶に行かないと」


「…そうだね」


彼は


蒼空君は知らない

今回の侵入者が美栗さんと釜藁さんだった事を


織鶴と総督の計らいで彼や一斑君、森草ちゃんには情報はいかない様にしている


とても耐えれる様な事じゃないだろうから




ピンポーン


「…あれ?」

「留守かな」


「…何処かに、出かけてるんじゃないかな」

「また…、後で来よう…」


「そうですね」

「それじゃ、運びましょう」


「…あぁ」


「次は…」


「え?」


「美栗さん達と鍋が食いたいですね!」


「…あぁ」

「そうだね…」



彼は知らない




読んでいただきありがとうございました

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