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秋鋼  作者: MTL2
274/600

雨雲一族虐殺事件

地下街



「傷が酷いな」

「ガラスの破片にやられたか」


「…俺は大丈夫だ」

「倒壊したビルに人は居なかったのか…」


「B地区に残っているのはお前の仲間と、ごく少数の人間だ」

「あのビルに人は居ない」


「そうか…」


「…なぁ、雨雲よ」

「貴様の一族の件、俺も耳にしている」


「…あぁ」


「軍によって闇に葬られはした物の…」

「曾ての俺達の耳には届いている」

「人の口に戸は立てられんと言った所か」

「そこらの下っ端でも知っている事件だ」

「[話の続きを除けば]…、な」


「…」


「無能力者一族において最たる名を持つ雨雲家」

「代々、受け継がれる剣術は鉄すらも絹を斬るが如く切断する程の技」

「雨雲家には多くの分家も存在したらしいな」

「それらも含めた雨雲一族が一夜の内に皆殺しにされた」

「有名な事件だ」


「…そうだな」


「それが世間一般で噂されている[話]だ」

「だが…、それには続きがある」

「雨雲一族を皆殺しにしたのは次期当主が妹」

「雨雲 卯琉である…、と」


「…」


「不可能だろう」

「確かに一族内でも目を見張る実力だったらしいが…」

「その頃の当主や他の者々には敵うはずも無い」

「どうしてそれが敗れようか?」


口を噤む雨雲

クォンは一呼吸置き、話を続ける


「そして、お前だ」

「その日は偶然にも別の場所に居たらしいな」

「一族が一堂に集まる日だったにも関わらずに、だ」

「雨雲よ、問う」

「本当に雨雲一族を虐殺したのは雨雲 卯琉か?」


「…どうだろうな」

「俺も、鎖基と西締から聞いただけだ」

「だが…、我が一族は最早、俺と卯琉しか残っていない」


「…そうか」

「お前は卯琉を裁かないのか」


「…唯一残った妹だ」

「愚かにも俺は…、卯琉を家から追放しただけで留まってしまった」

「父上や母上が生きていたならば…、なんと言われた事か」


「…何とも言えんな」

「正しくも過ちでもある」

「俺に口出しは出来ん、か」


「…そうかも知れんな」



ガタッ!



「「!」」


「雨雲!」


「…楓、か」

「中に入っていろ」

「この降り注ぐ水、恐らく毒だ」


「だから私が来たんだよ!」

「雨雲に…、えっと」


「ロ・クォンだ」

「名目上はNo,6の直属部下だな」


「こ、こんにちは」


「畏まるな」

「確か珍しくも治癒能力者だったな」

「雨雲の傷を治してやってくれ」


「は、はい!」


シュゥウウウウウウウ…


「…助かる」


「もう!無理しちゃ駄目だよ!」

「ロンドンの時の傷も満足に治ってないんだから!!」


「手間をかけるな…」


「気にしなくて大丈夫!」


「何だ、良い妹分が居るじゃないか」


「…あぁ、そうだな」


「何の話ー?」





「もー!」

「お兄ちゃん何処ぉー!?」


キィンッッ!!!


ガラガラガラッ!!



「もー!お兄ちゃぁん…」


ガンッ


「痛いっ!」

「何か蹴った?」

「…何これ、匣?」


ビルの瓦礫の下敷きとなっているBOX

気を失っており、体からは多く出血している


「息はしてるなぁ…」

「面倒だし、殺しちゃおっか」


「やめろ」


「あ、No,3!」

「んー…、でも今はNo,2かなぁ?」


「No選抜試験は中止だ」

「従って俺はまだNo,3だよ」


「あ、そうなんだ」

「で?何の用事かな」


「お前の足下にある男を寄越せ」

「それと、今降り注いでいるのは毒だぞ」


「えー!うそー!!」

「お肌荒れちゃう♪」


「…荒れる程度じゃすまんがな」

「貴様、コレを浴びて無傷か」


「何でだろうね?」


「…フン」

「取り敢えず、そいつを渡せ」


「えー?」

「じゃぁさ、お兄ちゃん見つけてよ!」


「知るか」

「自分で見つけろ」


「命令に従ってよね?」

「裏切り者」


「…あ?」


「気付いてないとでも思ったぁー?」

「もうとっくに皆、気付いてるよ」

「創世計画について嗅ぎ回ってるんでしょ?」


「…そっちこそ」

「元老院のジジィ共をブッ殺したそうじゃねぇか」


「…へぇー」

「何処で得たのかなぁ?その情報」


「さぁな」

「元老院も情報網を完全に把握しちゃいねぇようだな?」


「…フフッ」

「流石ぁ…、No,3ぃ」

「あの人のお気に入りだね」


「…あの人?」


「そこまでは知らないんだ?」

「ま、好都合だけどね~」


ブンッッ


「っと」


「それは返すよ」

「私はお兄ちゃんにさえ会えれば良いから」


「…結局、何をしに来たんだ?お前は」


「お兄ちゃんに会いに♥」


「…トんだブラコン野郎だ」











地下7F精神実験場



「…」


1人、膝を抱えて座る森草


彼女は蜂土の命により能力によって不可侵領域を作り続けているのだ


愛した少年と親友が機械から出て来ないかも知れないという不安と戦いながら



「蒼空…、ベルアちゃん…、一斑…、火星さん…」



ガァンッッッッッ!!!



「!?」


「シケているな」


「だ、誰!?」


「…あー」

「気にしない気にしない」


男は女の頭をポンポンと叩き、にやりと笑う


「向こう側から出ようとはしてんだ」

「こっちから引っ張ってやらないとなぁ」


「あの…?」


「あー、うん」

「君も手伝ってくれる?」

「俺だったらアイツが嫌うだろうから」


「アイツって…」

「それに…、誰なんですか?貴方」


「祭峰 悠拉」


「祭峰…?」

「何処かで…」


「ま、気にしない気にしない」

「俺も弟分を廃人にしたくないからさ」


「…祭峰」


「あれ?聞いてない?」


「祭峰 悠拉…」

「最上級犯罪者…!?」


「あ、気付いた」


「祭峰!!」


銃を構える森草


「はいはい、落ち着いてね-」


しかし、それよりも早く祭峰は銃を蹴り上げる


「っ…!」


「今ここで争っても無駄無駄!」

「死体が1個増えるだけだぜ?」


「…皆をどうするつもり?」


「あー、えっとなぁ」

「俺としても今、蒼空に死なれちゃ不本意だしよ」

「アイツが中に居る時点で協力しないワケにゃいかないんだよねー」


「…どういう事?」


「詳しくはWEBで!!」


「…チッ」


「すいませんでした」

「…今、蒼空達はこっちに戻ろうとしてる」

「だけどな、どーしても最後の扉が開けねぇんだよ」


「だから、こっちから手助けを?」


「そう!」

「いやー、察しが良いねぇ」


「…どうやれば良いの」


「何、簡単さ」

「蒼空の機械は何処だ?」


「アレよ」

「右から3番目」


「おーっし、了解」

「それじゃ、引っ張り出すかな」


機械へと歩いて行く祭峰

森草は警戒しながらも彼の背後から着いていく


「俺だけでも充分なんだが、信用にかけるんだろうな」

「ちょっとロックかけれてっからよ」


「…誰に?」


「俺の母親、兼…、妹?」


「…?」


「ま、気にするな」

「言えるのは妹ばっか気にしてると彼女に嫌われるって事だ!」


「…は?」


「さてさて」

「引っ張り出すぞ」


バリィンッ


機械のガラスを破り、波斗の頭に手をかざす祭峰

もう片方の手で森草の手を握る


「…戻ってこい、馬鹿弟」






読んでいただきありがとうございました

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