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秋鋼  作者: MTL2
27/600

疾走

バタンッ


山の麓で荷物を車に載せ、荷台を閉める音が響く


「じゃ、帰ります」


「お世話になりました」


「帰っちゃうの?あおぞら」


「また今度ね」


よしよしと狼亞の頭を優しく撫でる波斗


「くぅん…」


「奇怪神さんも、本当にありがとうございました」

「貴方の御蔭で能力がコントロ-ル出来るようになりましたよ」


「しかし、速さに欠けますからね」

「修練を怠らないでください」


「はい!」



バタン


「さようなら-!!」


車から顔を出し、手を振る蒼空と火星

山の麓から見えなくなるまで、奇怪神と狼亞はずっと2人を見送っていた




パ-キングエリア


「はい、フランクフルト」


「あ、ありがとうございます」


モグモグ


「そう言えば…」

「奇怪神さんと織鶴さんって?」


「あ-、あの2人ね」

「奇怪神さんは軍に勤めてたんだけど、腰痛を理由に退職したらしいんだ」

「その退職の時に色々と手伝ったのが織鶴らしくてね」

「その時の縁じゃないかな?」


「へぇ、お若いのに大変なんですね、腰痛なんて」


「お若い?誰が」


「奇怪神さん」

「26ぐらいですか?」


「45だよ?」


「え?」


「え?」


「45!?」


「45」


「…もっと若いかと」


「見た目はね」

「俺も会ったときは吃驚したよ」


「マジで意外だなぁ…」


「それはそうと、蒼空君」


「はい?」


「狼亞ちゃんに懐かれてたね」


「小さい子には懐かれやすいんですよね、昔から」

「幼稚園でアルバイトしてた事も有りますし」


「へぇ、そうなんだ」

「…秋鋼にもアルバイト見学って言う理由で来たんだっけ?」


「あの時は織鶴さんに騙されましたよ…」

「電柱が倒れるっていうアクシデントも有りましたけど…」


「あ-、アレね」

「アレは織鶴が壊したんだよ」


「へ?」


「こう、君が見てない時にドガッ!とね」

「そんで君の所に…」


「全て計算されてたのか…」


「まぁまぁ」


「織鶴さんって、織鶴さん自ら秋鋼メンバ-を選んだんですよね?」


「そうだよ?」


「火星さんもスカウトされんたんですか?」


「…まぁね」


「どうして…」


ドンッ


「あ、すいません」


男の肩と蒼空の肩が衝突する


「…」


「…あの?」


当たった男は動かず、じっと蒼空を凝視する


「ハッケン」

「ゴゼンロクジジュウサンプン、モクヒョウAハッケン」

「ソクザニシマツシマス」


「え?」


ガシャン


まるで機械音かと聞き間違うかのような音


それと同時に


周囲に居た全員が蒼空と火星を凝視します


「ハッケン」


「ハッケン」


「ハッケン」


「ハッケン」


辺りからは「ハッケン」という言葉が次々に聞こえてくる


「ショブン」


肩の当たった男が手を挙げた瞬間に

周りの人間は武器を構えた


「逃げよう!蒼空君!!」


「は、はい!!」


ガタン!


車に飛び乗り、急発進させる


「囲まれてます!!」


「突破!!」


ドガンッ!!


生々しく鈍い音と共に真正面の人達が吹き飛ぶ


ギャギャギャギャ!!


激しい摩擦音がタイヤから漏れ、フロントガラスは割れかけている


「軍に修理代請求してやるっ!!」


ガシャァアアン!!


ガ-ドレ-ルを突き破り、道路交通法完全無視の荒々しい運転で道路に出る


「どうなってるんですか!?」


「俺が聞きたいよ!!」

「だが…!あの君と当たった男!!」

「首に五眼衆のタトゥ-が有った!!」


「五眼衆…!!」


「奴等、どうやって漕ぎ着けたか知らないけど君を狙ってる!!」

「急いで万屋まで戻ろう!!」


「はい!!」




高速道路出入り口


「アレは…!!」


「おいおい…!シャレになんねぇぞ…!!」


高速道路の出入り口には4台のトラック

全ての入り口の前に立ちはだかっている


「通る幅がない!!」


「どうします!?」

「後ろからも何台か来てますよ!?」


「このまま止まったらサンドウィッチだ!!」

「強行突破も出来ないし…!!」


「こうなったら…!!」


ウィ-…ン


波斗は車の窓を開け、身を乗り出す


「蒼空君!?」


「突っ込んでください!」

「俺があのトラックに穴を開けます!!」


「無茶だ!!」

「下手をすれば手が吹き飛ぶ!!」

「それに傷も万全じゃ…!!」


「それでもやらなきゃ!!」


親指を歯で切り、血を出す


「~~~~~ッッ!!!」

「覚悟してくれよ!!」


グングンとスピ-ドが上がっていく


勝負は一瞬

失敗すれば腕が吹き飛び、火星さんも俺も御陀仏

成功すれば通り抜けられる


失敗か成功か


イメ-ジしろ


精神を集中しろ!!



「今だ!蒼空君!!」


バチィイイイイイン!!!


ガゴン


「…?」


目を開けた先には


空洞になったトラックが有った


「やった!!」


ゴンッ!!


ただし


上の看板に思いっ切り頭をぶつけた


「あが~~~~~~!!」


「蒼空君!頭!下げて!!」


「はいぃ…!!」


そのまま料金所を突破し、道路に突っ込む


「万屋まで急ぐ!!」

「何が有るか解らないから、飛すよ!!」


「は…い…」


頭が痛い

あれ程のスピ-ドで衝突したのだから当たり前か



パ-キングエリア


「逃したか」


「怒るなって、ボス」


「怒ってなどいない」

「怒っているとするならば、お前の他人を犠牲にしかねない計画にだな」


「クックック…、一般人を暴走させといてよく言うぜ」

「被害を最小限に抑えようとアンタが尽力しても、結果的にはアンタの計画で死んだ人々も居るってワケだ」


「否定はしないさ」

「いや、出来ない」

「この計画は…」


「っとぉ、軍が来たみたいだぜ」

「流石!情報が早い」


「…逃げるぞ」


「当たり前じゃん♪」


読んでいただきありがとうございました

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