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秋鋼  作者: MTL2
267/600

潰された足と未来

ゴゥンッッ!!


「ぬがぁっっ!!」


「私の足!足ぃ!!」


「BOX!退け!!」

「相手が悪すぎる!!」


「ぐっ…!!」


思いの外ダメージが大きすぎる…!

このままではなぶり殺しに…!!


「…支部長殿!先に逃げるのだ!!」

「ここは私が食い止めよう!!」


「だが…!!」


「早く!!」


「…ちぃっ」

「さっさと逃げろよ!」


「無論!」


「逃がさない」


「逃げさせる!」


「退けよ!」

「お前は違うんだろ…?」

「私の足を奪った奴じゃないはずだ!!」


「…何の話をしているかは存じない」

「だが、君の足を奪った奴は軍の人間か?」


「間違いない!」

「奴は軍の人間だ!!」


「…ふむ」

「では、どうして足を失うハメになったのだね?」


「彼等が言っていたから!」

「立場を利用して何でも出来る、と!」


「…ふむ」


軍の人間だな

間違いない


能力を手に入れた者によく見られる自惚れだ


その上、[軍]という強固な殻


自惚れと自尊に溺れて力を行使する者も少なくはない



「…その者達にやられたのかね?」


「あぁ、そうだよ」

「僕の足を潰して笑っていた」


「…容姿を」

「私が総力を持って、その下衆を潰そう」


「もう潰した」

「僕は潰した」


「何と?」


「でも、潰し足りないんだ」

「だから潰す」


「…?」


もしや…



「…殺したのかね?」


「あぁ、そうだよ」

「もっと殺す為に来たんだ」



やはり、か


記憶の改ざん


殺したという事実を否定して殺す為に行動している


もう、その人間は自分が殺したというのに



なんと悲しい事か



「…来るが良い、少女」

「その怨嗟の鎖、私が解こう」


「…関係無い」

「関係無い人間は巻き込みたくない」


「こちらは関係有るのでね!!」


美栗へと突進していくBOX


その速度は決して速くない

BOXの運動神経は成人のそれと何ら変わりないのだから



ゴゥンッッ!!


「むぅ…!!」


一撃一撃が重い!

何と言う威力!!


「退いて」


「断る!!」


ゴゥンッッ!!


「退け」


「…っ」

「断る!!」


「…」


トンッ


「む?」




ボギンッッ



「ぐぁああああああああああああああああ!!!!」



「退けって言ってるんだよ」


段々と苛つきを露わにする美栗


BOXの腕は拉げ、骨が肉と皮膚を突き破っている

びちゃびちゃと血が漏れ、擂り潰したような苦々しい悲鳴が地下街に響き渡る


「君は関係ないんだろう!?」

「どうして関わる!!」

「無視しろよ!見捨てろよ!!」

「無関係なんだろう!?」


「…っ違うね」

「無関係では…!ない…!!」

「私は正義…!!」

「正義が困っている人を見捨てるものか!!!」

「正義ならば救おう!!!」

「困っているなら助けよう!!」

「泣いているなら笑わせよう!!!」

「それがBOX!!」

「それが私!!」

「正義のヒーロー!BOXだッッッッッッッッッッッッ!!!!!」


「…ーーーーっ」


「正義のヒーローBOX…」

「参っ…る…」


ドサッ



「…」


痛みで気絶した…、か



もし



もしも、だけれど



こんな人があの時


私を助けてくれていたらどうなったのだろう



誰も助けてくれなかった、あの時に


暗い闇の中に埋もれていた私を



もし、光がーーーーー…





ザー…、ザザ……


『…ますか』

『聞こえますか、美栗』


「!」

「釜藁かい?」


『えぇ、私です』

『無事ですか?』


「あぁ、うん」

「装置を発動したよ」


『…そうですか』


「無事に成功」

「その[彼]は素晴らしい物を渡してくれたね」


『ですが、過度の使用は厳禁ですよ?』


「…解っているとも」


『こちらは順調に進んでいます』

『そちらも変化はありませんか?』


「あぁ、別に一人と接触したぐらいだ」

「蹴散らしたよ」


『…そうですか』

『予定より少し早いですが、まぁ構いません』


「…ねぇ、釜藁」


『何です?』


「僕が君の事務所に押しかけた時の事を覚えているかい?」


『覚えていますが…、どうかしたのですか?』


「…ううん、何でも」

「それじゃ、頑張って」


『えぇ、そちらも』


プツッ



「…」



そうだ


何を迷っている



過去は変えられない


未来は進んでいる


だったら



だったら、やる事は1つだ



復讐するんだ


私の未来を潰した奴等に


復讐してやるんだ







「時雨」



ギャリィンッッ!!



「っ!!」


美栗は咄嗟に後ろに飛び跳ねる

彼女が数瞬前まで立っていた場所は切り刻まれ、地面に斬撃痕を残している



「新手かっ…!!」


「一人では無いぞ、小娘」


「!!」


「一天・牙刺」


ドンッッ!!


「…避けたか」


「いや、足に擦った様だな」


「ッ…!!」



刀を構える雨雲

拳を構えるクォン


「今回は共同戦線か」


「その様だな」



「…倒すッ」




読んでいただきありがとうございました

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