停電
地下7F精神実験場
プシューーー…
「ぶっはぁ」
機械から出てくる響
その顔はかなり不機嫌そうである
「…フン、相打ちか」
隣に座るソルナ
出てきた響に吐き捨てるように鼻を鳴らす
「いや、ワイの勝ちや」
「相打ちでは無いのか?」
「…殺されたねん」
「茶柱に」
「…No,4」
「いや、奴の直属部下だったか」
「なんや?アイツ知っとうねんか」
「牢獄で一度会った」
「それにしても、どうして殺されたんだ」
「いや、気付いたら後ろに居ってな」
「こう…、ゴキンて」
「馬鹿め」
「ワイに負けたお前が何を言うねん」
「…あ」
「どうした?」
「そこの嬢ちゃん」
「どした?」
「…」
ぷくりと頬を膨らませる森草
恨めしそうに響とソルナを睨んでいる
「…待て」
「確か、この少女は…」
「あぁ、そうだ」
「私の石柱に潰された人物だ」
「あー、何か居ったなぁ」
「巻き添えくろうた…」
「…ありゃ?お前、蒼空と一緒に居ったな」
「森草やっけか」
「…蒼空と精神世界で会いたかったのに」
「何や?お前」
「蒼空好きなんか」
「う、うるさいですね!」
「悪いですか!!」
「良いのでは無いか?」
「人を純粋に思う気持ちは素晴らしい物だ」
「あ、ありがとうございます」
「まぁ、ワイが知っとう阿呆は悩殺狙いやったけどな」
「だ、誰ですか!?」
「言わんけど」
「えぇー!」
「言うはずないやろ」
「み、美栗さんと言いベルアちゃんと言い…」
「ライバルは多いわね」
「ベルア?」
「え?どうかしましたか?」
「い、いや…、何でも」
(既に接触済みやったか…)
「お疲れ様でした」
「おぉ、布瀬川かいな」
「お久しぶりです、布施川さん」
「お久しぶりです、ソルナさん」
「試験ご苦労様でした」
「ですが…、残念ながら失格となります」
「なに、兄弟子殿と戦えただけで満足だ」
「素晴らしい機械だな、コレは」
「言うなぁ、弟弟子」
「ま、ワイも面白かったけど」
「私は巻き込まれただけでしたけどね!」
「許せや~、嬢ちゃん」
「偶然やて」
「偶然で死んだら嫌ですよ!」
「今度、蒼空との茶会でもセッティングしたるけぇ」
「許します」
(安っ)
「で、この装置はコレからも導入していくのか?」
「いえ、しませんよ」
「何?」
「コレほど素晴らしい装置もあるまい」
「そうなんですが…」
「長時間の使用は精神的に支障を来しますし」
「何よりエネルギーを消費しまして」
「燃費悪いん?」
「えぇ、かなり」
「何でほんなんを試験に導入したんや」
「って言うか、前はこんなん無かったやろ」
「総督命令で急ぎで作りました」
「資金も掛かりましたし、何より導入するのが今回だけ」
「まぁ、無駄の塊ですね」
「…よぅ総督が務まるなぁ、あの総督は」
「周りの皆さんが支えてくれますから」
バチンッ
「…ん?」
「停電か?」
「バッテリーが落ちてしまったのでしょうか」
「そうならない様に設計しているはずなのですが…」
「急作りなんやろ?」
「設計図通りに行かんのはしゃーないて」
「いえ、実験も重ねているはず…」
「まぁ、一斉導入は初めてですから」
「中に入っている人は大丈夫なんですか?」
「えぇ、はい」
「緊急用のバッテリーを重層的に設置してますから」
「まず機械が停止するなんて事は有り得ません」
「もし停止したらどうなるんです?」
「中の人は精神世界に取り残されて、廃人と化します」
「え、笑顔で怖い事言うなや」
「そうならない為にエネルギー点には重点的に設備を重ねています」
「相当なハッカーでもコレは破れませんよ」
「…で、電気はいつ着くんや?」
「…そろそろのはずなのですが」
prrrrrr
「おっと、失礼」
「もしもし?」
『布瀬川さん!!』
「何です?慌てて」
「停電ならバッテリーが…」
『そのバッテリーが全て破壊されています!!!』
「!!」
『電気室は鍵が閉まっていて入れないし、こちらからの操作もできません!!』
『何者かによってシステムが完全に掌握されてしまってるんです!!』
「逆ハックをかけるんです」
「データの出現場所を辿って元凶を潰してください」
『そ、それが向かった警備は連絡が取れなくなって…』
「解りました」
「私が急いで向かいますから、作業を進めてください」
『了解しました!!』
プツッ
「どしたんや?」
「厄介な事になりました」
「システムがハッキングされた様ですね」
「バッテリーは?」
「駄目です」
「完全に破壊されてますね」
「そ、それじゃ…!」
「急がないと、まだ機械に入ってる人々は廃人になります」
「すぐに警戒例がしかれるはずですから、指示に従ってください」
「わ、解りました!」
「まず森草さんは地下7Fに能力を発動してください」
「私以外の人間を決して入れない様に」
「は、はい」
「響さんとソルナさんは急いで発電所へ」
「不審者が居たら迷わず捕縛お願いします」
「解ぁった」
「了解」
「私も急がなければなりませんね」
地下4F放送室
「な、何事!?」
「布瀬川様はこちらに」
「私が様子を見てきます」
「気を付けてね、白月」
「勿体ないお言葉」
ガチャッ
「あら、ここは非常用電源が着いているのね」
「ステラ!」
「ハロー、布瀬川」
「お久しぶりね」
「また会えるとは思わなかったわ」
仲良く握手する2人
彼女はシェンディ・ステラ
アメリカ支部長である
「何だか大変な事になってるみたいだけど?」
「突然、停電になったのよ」
「侵入者みたいね」
「あら、確かゲートは…」
「そう、ロックしてるのよ」
「開けられるのは権限を持った人間だけなのに…」
「…予想以上に厄介そうね」
「…えぇ、そうね」
地下3F待機室
「馬常様、馬常様」
「んー…」
「…あれ、千両」
「どうしたの…」
「どうやら、緊急事態の様でして」
「…何?」
「侵入者です」
「織鶴様とNo,4は既に出て行かれました」
「院長様とウェスタ様は地下8Fの臨時治療所へ」
「レウィンちゃんは…?」
「ここで寝ていらっしゃいます」
「No,6が警備してくださっていますので、安心かと」
「ん…、解った」
「俺も向かおっかな…」
「えぇ、そうしましょう」
「…千両は残るんじゃ無いの?」
「少し、お話がありますので」
「…?」
読んでいただきありがとうございました