攻符術
地下7F精神実験場
「何だ…、この機械…」
周囲に広がるカプセル
卵の様な形をしたそれは何千個とあり、多くのケーブルに接続されている
『説明しましょう』
『コレは模擬精神維持装置です』
『精神状態をαとした場合、32βまで移動させる事で精神状態をΩkにまで維持します』
『つまり、夢心地です』
「省きすぎだろ!!」
『簡単に言いますと、眠った状態で精神を疑似地点へと移動させるのです』
『肉体の痛覚味覚感覚全般を感じ、自在に動かせます』
『勿論、ダメージも受けますが…』
『肉体はあくまで寝ている状態なので現実には反映されません』
「「「おぉ~」」」
「解ったか?クォン」
「いや、全く」
『では、皆様は番号の所へ移動なさってください』
『時間になり次第、開始します』
地下3F待機室
「面白そうだな」
「ゼロが好きそうな装置ね」
「夢の中だったら何回でもイけるものねぇ」
「娘が耐えられるかしら」
「ママァ!!!」
「テメェ!グラン!!!」
「ウフフフフ~」
「千両~、耳を防いだら何も聞こえないよ~」
「聞かなくて結構です」
地下7F精神実験場
『皆様、準備はできましたか?』
『それでは開始します』
精神島
砂浜
「…う」
「あ、起きた的な」
「…えっと?」
「西締 酉兜」
「先刻会わなかった的な?」
「あ、あぁ、会いましたね」
「蒼空 波斗です」
「よろしく~、的な」
「「よろしく」?」
「先刻、説明があった的な」
「君は寝てたけどね的な」
「そ、そうでしたか…」
「コレはサバイバルゲーム的な」
「この島全員で殺し合う的な」
「こっ!?」
「ま、精神世界だから一定ダメージを受けたら消滅する的な」
「全力殺し合いをする馬鹿は居ない的な~」
「そ、そうですか…」
「あれ?だったら貴女は」
「敵的な?」
「ッ!」
臨戦体制を取る波斗
西締は彼の動作を見てくすりと笑う
「戦わないよ?的な」
「…どうしてですか?」
「確かに敵同士」
「だけど、今戦うのは得策じゃ無い的な」
「…?」
「ここで互いに体力を消耗したらどうなる?的な」
「ハイエナに狙い撃たれて終わり的な」
「ハイエナ…、ですか」
「そ」
「近くに敵が以内とも限らない的な」
「…なるほど」
「共同戦線って事ですか?」
「そういう事的な!」
「なるほど」
「それじゃ、改めて宜しくお願いします」
「宜しく~!的な!」
「まずは雨雲と合流する的な!」
「…は、はい」
「俺に変な事してませんよね?」
「…」
「何故黙る」
森林内
「…どうするんや?響さん」
「知るか」
「今は共同戦線張っとうけど、一応は敵同士やぞ」
「ベルア~…」
「情けない声を出さないでくださいです、一斑君」
「何処に敵が居るか解らないんですよ」
「そうやけどもよ…」
ガサッ
「…」
「一斑」
「何です?響さん」
「右」
「…へいへい」
「やってみぃ」
「今回は手ぇ貸さんぞ」
「了解しやした」
「?」
「ベルアはこっち来とけ」
「は、はいです」
「…」
林の奥から一斑を狙う男
男の手にはダガー
じりじりと一斑の背後方向へと回り込み、息を殺す
(奴は[鬼]の弟子だったはず…)
(殺せずとも、負傷さえさせてしまえば…!)
「甘いで、アンタ」
「!!」
(気付かれたか!)
(一度、距離を…)
「距離にして10m」
「充分やな」
くるりと背を返す一斑
彼の手には発行する球体
「護符術応用」
「攻符術拳撃!」
「なっ!!」
「遠距離型ァ」
「ショットォオオオ!!!!」
ヒュンッッ
「あ」
「…は?」
「外してもうた」
「ば、馬鹿め!」
「貴様の首貰ったァァァァァ!!」
「近付いてくるか、阿呆」
「え」
「近距離型ァ…」
「マグナムッッッッッッッ!!!!」
ゴゥンッ!!
「ぐっっぽっっ…」
「からのぉ~」
「超近距離型!」
「バーストォオ!!!!」
キュイィイイン…
「ほ、ほへ?」
「恨まんといてな」
ボゥンッッッッッッッッッッッッ!!!!!
「あ、跡形も泣く吹き飛んだです…」
「ほー、完成させたねんなぁ」
「あ、アレは一斑君の能力ですか?」
「ま、ある意味ではな」
「アイツはエネルギー操作に長けとるねん」
「ほなから[エネルギー自体を撃ち出す術]を身に付けさせたんや」
「エネルギー自体を…?」
「ほれなら能力関係無いやろ?」
「護符術の応用で簡単にできるねん」
「ま、護符術の反対で攻符術ってのは些かネーミングセンスに欠けるけどな」
「そ、それは私にも出来ますですか?」
「やめとけやめとけ」
「常人が出来るモンちゃうわ」
「え…」
「アイツはアイツで才能持っとるで」
「お前は別の才能持っとんや」
「ほれ生かしたら良ぇ」
「別の才能…?」
「ま、頑張れや」
「…はいです!」
「響さん-、終わったで-」
「アホ!一発目外すなや!」
「アレは態とや」
「相手が油断してきて突っ込むっつーな」
「相手が手練れなら一発やぞ」
「う…」
「ま、まぁ良いじゃないですか!」
「先を急ぎましょうです!」
「おう!」
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