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秋鋼  作者: MTL2
25/600

山中での1日

「もう帰るんですか?」

「あと1日ぐらい、ゆっくりして行けばいいのに」


「確かに予定じゃそうだったんですけど、ね」

「早めに帰ります」


「そうですか」

「狼亞、蒼空君と火星君が帰りますよ」

「挨拶しなさい」


「…」


「狼亞?」


2人に走り寄る狼亞


「…帰っちゃやだ」


「狼亞ちゃん…」


「帰っちゃやだ!!」


ぎゅっと蒼空の服の裾を掴み、離さない

狼亞の潤んだ目が2人を見つめる


「こらこら、駄目でしょう?」


「やだ…」


「…火星さん」

「どうせですし、あと1日残りませんか」


「そうだね、1日早く終わらせたし」


「やった!」


「申し訳有りません、ウチの子が…」


「いえいえ、俺も奇怪神さんに修行していただいたんです」

「これぐらいは…」


「本心ですね」

「ありがとうございます」

「そうと決まれば、ウチへ入りましょう」

「客人用のベットは有りますから」


「はい!」




寝室


ドサッ!


ベットに倒れ込む波斗


「…死ぬ」


「大分、疲れてたからね」

「ゆっくり休むと良いよ」

「大方、帰りは寝るつもりだったんだろう?」


「ふぁい…」

「ありがふぉうごふぉ…」

「ぐぅ…」


「寝てるし」

「俺も風呂貸して貰って寝るかな」



居間


「ふぅ…」


「湯加減、どうでしたか」


「良かったですよ」

「サッパリしました」


「それは良かった」


「…奇怪神さん、狼亞ちゃんは?」


「寝てますよ」


「そうですか」

「…織鶴から伝言です」

「「狼亞ちゃんはどうか」と」


「最近はかなりマシです」

「山中は空気も良いし、食料も新鮮です」

「あの子も良くなってきてます」


「それは良かった」


「…両親に別々の能力者を持つなんて珍しい事ではないのに」

「あの子だけが混合種となってしまった」

「あの子を産んでから父は任務で他界し、母も…」


「貴方が…、あの子の育て親役を買って出たんですよね?」


「…はい」

「可哀想でしたから…」


「あの能力は危険すぎます」

「体の健康を削るなんて発動条件…」


「教えないんですか?あの子には」


「…まだ」

「私が実の父では無いという事しか」


「…そうですか」



「パパぁ…」


「狼亞!」


眠い目を擦りながら、毛布を引きずった狼亞が部屋から出てくる


「どうしたんです?」


「怖い夢見た…」


「それはそれは」


奇怪神が狼亞の頭を優しく撫でる


「んぅ…」


「もう夜も遅いんです」

「寝ましょうか、火星さん」


「…そうですね」

「お休みなさい」


「お休みなさい」




寝室


「ぐぅ…」

「ひぼ…、火星カセイ…」


「何で君は寝言までそれ?」




翌日


居間


「おはようございます」


「あぁ、おはよう、蒼空君」


「おはよぉ…」


「おはよう、狼亞」

「2人とも、歯を磨いてきなさい」


「「は-い」」



洗面所


シャコシャコシャコシャコ


ブクブクブクブク


バシャ--


「「スッキリ」」



居間


「ほら、朝ご飯出来てますよ」


「「いただきます」」


モグモグ…


(美味い!)


「ありがとうございます」


「…」

「…読みますねぇ」


「読みますよ?」



「「ごちそうさまでした」」


「食器は流しに出しておいてください」


「はい」

「…あれ?火星さんは?」


「外で薪を割ってくれてますよ」

「トレ-ニング変わりだとか」


「体鍛えますねぇ」


「あおぞら!あおぞら!!」


「何?狼亞ちゃん」


「今日、暇!?」


「ん-、まぁ特にする事も無いかな」


「遊ぼ!!」


「ん、解ったよ」


「えへへ」


「あまり遠くに行っては駄目ですよ」


「「は-い!」」


「あおぞら!湖!!」


「湖?」


「行こ!!」


「う、うん」




「うわっ!?」


「どうしたの?」


「まさか日本にコレ程の湖が残っていたとは…」


真っ青な水面に空が映り、水鳥達が囀る


「私ね!ここ大好き!!」


「良いな、俺も好きになりそう」

「ゆっくり寛げるなぁ…」


「…ねぇ、あおぞら」


「何?」


「私、寂しい」


「!」


「パパは居るけどね、寂しいの」

「いっつもパパは忙しそうで私はテレビ見たり外で走ったり」

「友達と遊びたい…」


「…言ってみたら?」

「今は街は危険だけど、今度安全になったらさ」


「…言ってみる!!」


「うん、それが良いよ」



占い屋


「パパ!」


「どうしたんです?狼亞」


「街に行きたい!!」


「駄目です」


「え-!?」


「色々と危ないですし」


「確かに今は騒ぎで危ないですけど、俺が面倒を見ますから」


「それでも駄目です」


「しかし…」


「~~~~~~!!」

「パパの馬鹿ぁ!!」


バタァン!!


「狼亞!!」


「狼亞ちゃん!!」


「…はぁ」


「出て行っちゃった…」


「…蒼空君、君には話しておきます」

「彼女の事を」






「…そうだったんですか」

「能力の代償が…」


「軍に属していた両親の子ですから、軍に見つかっても問題では無いのですが…」

「もし街中で間違って能力でも使ってしまったら…」


「…危険ですね」


「ですから、街には行かせたくないんです」

「しかし…、年頃のあの子にとってここでの寂しい生活は酷だったようですね」


「…すいません」

「俺が余計な事言ったから…」


「いえ、いつかはこうなったでしょう」


バタン


「ふぅ」


「どうしたんです?火星君」

「びしょ濡れじゃないですか」


「雨ですよ!雨」

「急に降ってくるモンだから…」


「「!!」」


「奇怪神さん!!」


「合羽は玄関にあります!!」

「手伝ってください!!!」


「はい!!!」

読んでいただきありがとうございました

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