夜の帰宅
マンション
302号室
月と電灯が道を照らし
時計の針が3時を回った頃
静かに扉は開いた
「…」
「動くな」
「!」
「止まれ」
入って来た者に突き付けられる拳銃
火星は銃口を侵入者に向け、構えを取る
「…俺と一斑です」
「序でに釜藁さんも、や…」
「な、何してるの…」
「こんな夜遅くに」
「いやぁ、居酒屋で夕食取ってたんですけど…」
「釜藁さんが寝ちゃって」
「熱燗飲みすぎやったからなぁ」
「で、運んで来たの?」
「YES」
「はぁ…」
「取り敢えず、寝室の方に移した方が良いのかな」
「でも、リンデルちゃんも狼亞ちゃんも寝てるから静かにね」
「静かに入って来たら銃向けられたんですけど」
「…変質者かと思って」
「やり過ぎやろ」
寝室
(そーっと、だぞ)
(そーっと)
(前フリ?)
(違ぇから)
ドサッ
(よっとぉ)
(ありゃ?美栗さんが寝とる)
(まぁ、大丈夫だろ)
(行くぞ)
(へいへい)
バタンッッ
「…」
「…こんな密室で美女の隣に男を置いて」
「何か有ったらどうするんだ」
「無いでしょう、普通」
「まぁ、君だったらそうだろうね」
「私の初めては蒼空君にあげると決めている!」
「なんと下らない決意ですか…」
「…そうそう」
「今日、接触が有りました」
「誰から?」
「解りません」
「が、面白い情報を仕入れていただきまして」
「何だい?」
「軍について、ですよ」
「…!」
「貴女の夢を奪った軍」
「彼等の報復するための道具と…、情報を」
「どうして…」
「情報を渡してきた人も、反軍の意思が有る様でした」
「尤も…、簡単に裏切れる立場ではない、とも」
「僕達を利用する気か…」
「そうでしょうね」
「ですが、敢えて利用されましょう」
「そ、そんな」
「向こうが私に接触してきた…」
「つまり、裏を返せば私達の情報は掴んでいる、という事です」
「逃げ場は…、ありません」
「…僕のせいで」
「貴女のせではありませんよ」
「私は私の意思で貴女に味方し…」
「助手として雇った」
「…どうしてだい?」
「どうして、僕にそこまで…」
「言いませんでしたか?」
「私は貴女に救われた」
「ですから、私は貴女を救いたい」
「釜藁…」
「…格好を付けすぎましたかね」
「では、格好付け序でにもう1つ」
「愛してますよ、美栗」
「…!」
「…以上です」
「…釜藁」
「僕が一番好きなのは蒼空君だ」
「…はい」
「私は」
「良いから聞いてくれ」
「…は、はぁ」
「蒼空君は可愛いしカッコイイし頼れるし」
「最高だ」
「でも、釜藁」
「君もそれぐらい最高なんだ」
「…はい」
「だから」
「私はお前を家族として愛したい」
「恋人でも彼氏でも上司でもなく」
「家族として愛させてくれ」
「…良いかな」
「…えぇ、私からお願いしたいぐらいです」
「ありがとう」
「…酔いすぎましたかね」
「眠いです」
「あぁ、僕も」
「では」
「…お休み」
森草の家
バタンッッ
「あれ?ゼロさン」
「あぁ、セントか」
「こんな夜遅くに帰ってきたんですカ」
「ちょっと、な」
「お前は何で起きてるんだ」
「レポートを仕上げてたんでス」
「ゼロさんはどうして、こんな遅くニ…」
「まさか…、浮気!?」
「誰と浮気するんだよ…」
「ぜ、ゼロさんならモテモテですよゥ…」
「お前、徹夜して混乱してるだろ」
「寝ろ」
「お、俺と寝ろだなんテ…♥」
「馬常-!コイツどうにかしてくれー!!」
「んー…、何?」
「セントを寝かせてやれ」
「味噌汁は赤味噌だよ…」
「森草ァアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
万屋
カタカタカタ
「あら、こんな夜遅くまで調べ事かしら?彩愛」
「えぇ、はい」
「美栗 遊乱について」
「確か…、波斗の隣人だったわね」
「釜藁じゃなくて、そっちを調べてるの?」
「何処かで聞いたはずなんです」
「何だったでしょうか…」
「ま、夜更かしのし過ぎは肌に悪いわよ」
「…織鶴さんもしてるじゃないですか」
「私は元が綺麗だもの」
「美人肌め…」
「おーい、夜食買って来たぜ~」
「お疲れ様、鉄珠」
「ビールと、おつまみ」
「あぁ、スナック菓子も」
「スウィーツは?」
「え?」
「私のスウィーツは?」
「…」
「…」
「あっ」
「なーん」
ドクシャッッ
「…今、「なーんてな」って言おうとしてませんでしたか?」
「流石に早とちりだったかしら…」
カチッ
ピコンッッ
「…?」
「どうしたの、彩愛」
「何か…、何でしょう」
「Eメール?」
「メール?誰から」
「軍本部です」
「軍から?」
「緊急用ってワケ…、ではないわね」
「何て書いてあるの」
「えー、[拝啓、秋鋼の皆様]」
「[この度は]…」
「前置きは良いわ」
「本題を」
「はい」
「[来週、軍であるイベントを企画しています]」
「[その名も…]…」
「…どうしたの?」
「[No選抜試験]…!?」
「!?」
「[優勝賞品はNo,7の座です]」
「[是非ともご参加を…]」
「…何て破格の賞品よ」
読んでいただきありがとうございました