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秋鋼  作者: MTL2
241/600

遠いところから遙々と

万屋


カランカラーン


「こんにち…」


ドォンッ!!


「ぬぐぁっ!?」


波斗の腹部に衝撃が走る


「何が…」


その衝撃の正体は…


獣の耳

尻尾

そして裸の少女


「…はい?」


「お風呂やだぁああああああ!!」


「…」


「やだぁ…」


「狼亞ちゃん!濡れたままで出ちゃ駄目です!!」


「…彩愛さん?」


「…うわぁ」


「変質者を見る目で見ないでください」

「飛びつかれたんですよ!」



カランカラーン


「来たわよー…」


「…」


「…」


「…波斗」

「今なら昕霧に言って刑期は軽くしてあげるわ…」


「違いますから!!」



カランカラーン


「おはよー…」


「…」


「…」


「…蒼空君」

「君の趣味をとやかく言うつもりはないけど…」

「それは犯罪なんだよ…」


「違ぁあああああああう!!」



カランカラーン


「おーっす!おはよ…」


「…」


「…」


「…同士よ!」


「滅びろッッッ!!!」




「…で、どういう事ですか」

「彩愛さん」


「私も、つい先刻来た所です」

「そしたら万屋の前にこの子が居まして」


「居た、ってねぇ…」

「狼亞ちゃん、奇怪神はどうしたの?」


「パパは居ないよ」


「居ない?」

「1人で来たの?」


「うん!」


「ど、どうやって?」


「えっとね」

「でんしゃとばすとたくしー!」


「…お金は?」


「おこづかいで!」


「そう…」

「お金、足りた?」


「たくしーの時は足りなかった!」


「どうしたの?」


「おじさんがはらってくれたよ!」


「おじさん?」


「たんてーみたいなおじさん!」


「「「…」」」


「まさか、ね…」


「そうだよな…」


「ですよねー…」


「それが…」

「釜藁さんからタクシー代の領収書が…」


「何処から調べて来てんのよ…」




prrrrrrr


『もしもし!?』


「あぁ、奇怪神ね」


『織鶴さんですね!!』

『狼亞は!?狼亞は何処ですか!!!』


「落ち着きなさい…」

「今、万屋に居るわよ」


『よ、良かった…』

『怪我はありませんか!?体調は良好ですか!?泣いてませんか!?』


「落ち着け親バカ」

「大丈夫よ、何とも無いわ」


『はぁ……』


安堵の余り、奇怪神は息が漏れる

織鶴もそれに合わせて小さく笑う


『ご迷惑をおかけして申し訳ありません』

『すぐに迎えに行きますので』


「あぁ、それなんだけどね」

「暫く来なくて良いわ」


『な、何故ですか!?』


「どーせ、アンタの事よ」

「研究に没頭して狼亞ちゃんの面倒見てないんでしょ」


『う…』


「まぁ、狼亞ちゃんに聞いたんだけどね」


『では、どうするんですか』


「今日と明日ぐらい、私達で面倒見るわよ」

「明後日になったら迎えに来なさい」


『…解りました』

『ですが、くれぐれも』


「解ってるわよ」

「体調面は細心の注意を払うし、薬も院長に調達させるわ」

「無論、能力も…、ね」


『…ありがとうございます』


「あぁ、それと」


『何でしょう?』


「迎えに来るのは明後日の10時以降よ」

「0時とかに来たらぶっ飛ばすからね」


『…はい』


プツッ


「ってワケで」

「今日と明日は狼亞ちゃんの面倒を見る事になったわ」


「わーい!」


「良いんですか?」


「別に目立った依頼も入ってないしね」

「狼亞ちゃんを退屈させる方が忍びないでしょ」


「でも、何処に寝泊まりさせるんだ?」


「万屋」

「私と彩愛で面倒見るわ」


「ここやだ」


「えっ?」


「煙草くさい!」


「…火星」

「表でなさい」


「滅多に吸ってないもん!!!」


「男が「もん」とかキモいだけですね」


「テメェゴラァアアアアアアアアアアアアアア!!!」


「やめてぇええええええええええええええええ!!!」


「…どうする?」


「どうしましょうか」

「彩愛さん宅は?」


「私の家はデータが大量にあるから無理ですね」


「そうですか…」


「私の家も無理よ」


「火星さんは煙草ですし…」


「面目ない…」


「…俺の家ですか」


「あれ?俺は?」


「「「「例外」」」」


「…」


「まぁ、波斗だけじゃ色々と不安ね」

「火星」


「おう」


「火星さんが来るんですか?」


「勿論よ」

「色々あるからね」


「はい、解りました」


「あぁ、それと」

「火星」


「何だ?」


「煙草吸ったら殺すわよ」


「わ、解ってるよ…」




マンション


301号室


「はい、ここが俺の家」

「と言っても仮入居だけどね」


「広ーい!」


「火星さんはよく来ますね」


「ま、まぁね」


「煙草吸うときはベランダに」

「と言うか禁煙しましょう」


(喫煙者に厳しい世の中になったなぁ…)


「わーい!わーい!!」

「広いのに何にもなーい!」


「気にしてる事をッッ!!」


「荷物は前のアパートのままだもんね…」

「ある意味じゃ風情有るよ…」


「やめてください…、泣きたくなってきますから」


prrrrr


「あ、電話」


ガチャッ


「もしもし?」


『波斗?』


「あぁ、織鶴さん」

「どうかしましたか」


『2名、追加よ』


「はい?」


ピンポーン


「誰か来たよ?」


(美栗さんかな?)

「火星さん、出てください」


「はいはい」



ガチャッッ


「来たでー!蒼空ぁー!!」


「(お辞儀)」


「…」


『頑張ってね』

『じゃ』


プツッ


「…」

「…嘘やん」



読んでいただきありがとうございました

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