修羅場
居間
「…お茶です」
「「ありがとう」」
「…じゃ、俺はこれで」
「何処に行くのかな?」
「座りなさい、蒼空」
「…はい」
さて、と
誰か俺を救ってくれ
数時間前
「…何、してるの」
「い、委員長…」
「コレはだな…」
「…誰なんだい?」
「貴女こそ…」
「こ、この人は美栗さん!」
「俺の隣人!」
「で、彼女は委員長こと森草 蜜柑!!」
「同級生のクラスメートです!」
「…隣人と抱き合ってるの?」
「美栗さんは裸タオルだし…」
「こ、これは」
「どうして委員長さんが私の家に来てるのかな?」
「彼の家は隣だよ?」
「蒼空に用があるんです」
「僕も彼に用があるんだ」
「…」
「…」
(ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい)
「と、取り敢えず美栗さんは服を着ましょう?ねっ?」
「…そうだね」
「森草ちゃんと言ったかな」
「居間へ案内するよ…」
「そうですね…」
「話し合いましょう…」
(…嘘やん)
現在
居間
「…」
「…」
数時間の沈黙
2人が口を開いたのは波斗が茶を運んで来た2回のみ
「…」
「…」
(もうヤダ帰りたい)
「隣人さんでしたね…」
「あぁ…、そうだよ…」
(しゃ、喋った…)
「どうして半裸だったんですか…」
「お風呂に入る途中だったからさ…」
「どうして蒼空を押し倒してたんですか…」
「お礼に背中を流そうとしてたからだよ…」
「何のお礼ですか…」
「部屋を掃除してくれたお礼さ…」
「そうですか…」
「そうだよ…」
「…」
「…」
そして沈黙
波斗はただ、このプレッシャーに耐えかねるばかりである
「もう九時ですよ…」
「…そんな時間?」
「気付かなかったわ」
「そうだね…」
「そうそう…、私、肉じゃがを作ってきたの」
「夕ご飯にどうかしら」
「僕も居間から作ろうとしていた所さ…」
「一緒に作らないかい…?森草ちゃん」
「そうですね…」
「そうだね」
「フフフフフ」
「フフフフフフフ」
「「フフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ」」
(ハンパなく怖いぃいぃぃいぃいいいいいいい)
「お、俺も…」
「「座っててね」」
「はい…」
台所
「…蒼空君が好きなんだね」
「貴女もでしょう?」
「…うん」
「渡しませんよ」
「君の物じゃない」
「そうですね」
「でも、いずれ」
「あぁ、僕も」
「…」
「…」
「…可愛い、と言えるのかな」
「護ってあげたくなる可愛さだ」
「でも、男気もあります」
「そう、そこに惹かれたんだ」
「…解ってるね?」
「貴女こそ」
「…フフ」
「フフフ」
「「フフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ」」
居間
(何か笑ってるし…、メッチャ怖いし…)
万屋
「…で、次の依頼は何だって?」
「猫捜しと詐欺師捜しね」
「捜索依頼が多いなぁ」
「猫はいつものだろ?」
「えぇ、そうです」
「詐欺師捜しは被害者の方々から」
「…うーん」
「鉄珠が居れば手分けできるのになぁ」
「あの馬鹿…、ナンパ相手と何処まで行ってんのよ」
「四国まで行ってきました-!!」
「はい、お土産の讃岐うどん」
「…」
「…」
「…」
「ただいま!」
「…逃げろ」
「え?」
ゴキンッッ
「ふぅ」
「鉄珠ぁああああああああああああーーーーーー!!!!」
「…詐欺師捜し?」
「そうよ」
「今回はアンタに任せるわ」
(首が有り得ない方向に…!!)
「えー、俺1人?」
「火星か彩愛は-?」
「俺は猫捜しの方に行くよ」
「肉体労働はNOで」
「…って事だ」
「んー、じゃぁ蒼空でも連れて行こっかなぁ」
「蒼空は?」
「先刻、引っ越しが完全に終わったんだよ」
「今は家に居るだろ?」
「明日、来るよな?」
「来るでしょ、当然」
「よっしゃー!蒼空と行こう」
「…で?詐欺師の外見とか解らないの」
「…解りません」
「へ?何で」
「変装してるんだよ」
「被害者が見た詐欺師は声は同じでも外見は違うらしい」
「そんなルパ○三世みたいな」
「具体的にどうすりゃ良いの」
「いや、知らんし」
「え」
「それをどうにかするのが私達ですよ」
「えぇー…」
「怪しいと思ったらぶっ飛ばしなさい」
「それは駄目だろ」
読んでいただきありがとうございました