ユグドラシルメンバ-
万屋
カランカラ-ン
「ただい…」
思わず絶句する3人
「こんにちは」
「お葬式屋さんです」
「波斗君は仏教だったんでしょうか?」
「それともキリスト教?」
「式場の手配は済んだぜ…」
「会って短かったけど、良い奴だったなぁ…」
さて、どうした物か
「火星」
「…はい」
「何でこの2人が?」
「そういうジョ-クを、と」
「言い切る前に切られたんだが…」
「…あの」
「きゃぁああああ!蒼空君の亡霊が!!」
「除霊してください!鉄珠!!」
「無茶言うな!!」
「俺は幽霊が苦手だ!!」
「いやぁ、まさか本物にお目にかかれるとは」
「私は葬式屋でも霊感はない方とばかり…」
「…あのね」
「何だ、間違いだったんですか」
「クソ火星」
「…はい」
「まぁまぁ、ほんのおフザケだろ?」
「怒るなって」
「なぁ?ゴミ火星」
「…はい」
「そうでしたか」
「では、葬儀屋は用無しですね」
「私は帰ります」
「アホ火星」
「何で便乗してんすか」
「あ、帰らなくて良いわよ?葬儀屋さん」
「しかし、お亡くなりには」
「今から亡くならせるから」
「洒落にならないんですが」
「しかし悪ふざけが過ぎましたね」
「ゴメン…」
「まぁ、そんなに怒る事でも無いですが」
「今回は水に流します」
「今まで色々とお世話になりましたし」
「蒼空君~!!」
「うぅ…、何て優しいんだ…」
「織鶴は俺が間違えて織鶴のスウィ-ツ食っただけで日本海に沈められそうになったのに…」
(本気で殺られてそうです)
「さて、雑話はここまでね」
「仕事の話に入るわ」
「はい」
「今回の任務、一旦中止」
「理由としてNo,1が倒された事と相手側の目的と手段が解らない事かしら」
「目的と手段が解らないなんて今まで殆どがそうだろ?」
「何で急に…」
「馬鹿火星」
「軍の最高戦力が負けたのよ?」
「軍も慎重にならざるを得ないでしょうが」
「なるほど…」
「まぁ、それをやったのは波斗なんだけど」
「う…」
「総督に言ったら色々と問題でしょうけど、何とかするわ」
「大事な従業員だし」
「織鶴さん…」
何かと怖い人だけど、優しい所も有るんだな…
胸がジ~ンとする
「No,1を瀕死まで追い込む潜在能力が有るんですもの」
「面白くなるわよぉ♪」
前言撤回だ
「だが、面倒くせぇ事になったんじゃねぇの?」
「何がですか?鉄珠さん」
「No,1って事は今まで殺しの数も多い」
「恨まれてるし、No,1を超えようと密かに狙ってる奴も多い」
「そのNo,1を瀕死まで追い詰めた蒼空は格好の的ってワケだ」
「ですが、織鶴さんが居ます」
「大抵の能力者なら織鶴さんの支配下ってだけで手は出しませんよ?」
「…大抵の、ね」
「?」
「まぁ、それは良いわ」
「話を戻すけど、しばらくは様子見」
「もし五眼衆の襲撃に遭ったら反撃しても問題無いわ」
「能力の事については…、解ってるわね?」
「はい」
「波斗は怪我増ししてるし…」
「五眼衆に狙われても厄介だから、鉄珠!護衛しなさい」
「アイサ-」
「ちょっと待ってくれ、織鶴」
「何?火星」
「蒼空君の友人の…、熊谷君だっけ」
「彼に俺の面は割れてるし、護衛なら俺の方が良いんじゃないか?」
「…まぁ、そうね」
「護衛は火星に変更」
「鉄珠と彩愛には暫く情報収集に当たって貰うわ」
「何のですか?」
「五眼衆について」
「慈愛のレットラっていう幹部は死んだらしいし、残るは3人」
「他にも街に潜んでるかも知れないから、それの調査」
「解った?」
「はい」
「了解」
「そういう事」
「波斗はいつから学校?」
「明後日から連休が終わるので…」
「あの医者が行ってる通りなら、怪我が治る日か治った後からです」
「そう」
「…それと、コレが肝心なんだけど」
「能力は自由に使える様になったのかしら?」
「…あ」
「はぁ…」
大きなため息が織鶴から漏れる
「仕方ないわね…」
「彼の所に連れて行かせなさい、火星」
「彼?」
「奇怪神の所よ」
「奴は能力操作を教えるエキスパ-トだし」
「なるほど」
「…ユグドラシルの連中は?」
「あの3人に任せるのは危険すぎるわ」
「特にあの熱血馬鹿に」
「…だな」
「ネッケツバカ?」
「…言ってなかったかしら」
「ユグドラシルってのは3人で構成されてるの」
「ウチより2人少ないワケです」
「居ても居なくても変わりないのが居ますが」
「何で俺の方を見るんだ?」
「雨雲 卯月」
「コイツは無能力者ね」
「無能力者って事は…、火星さんや鉄珠さんと同じですね」
「俺達とは比べ物にならないかなぁ…」
「どうしてですか?」
「滅茶苦茶、強ぇ」
「?」
「無能力者にして対能力者戦闘のエキスパ-トです」
「その剣撃は吹き荒れる風の如く、だとか」
「俺よ鉄珠も対能力者の訓練は積んでるんだが、流石に雨雲程とはいかないかな」
「で、次は鎖基 弓道」
「炎を操る属性系能力者」
「まぁ、そこら辺の能力者よりは強いわ」
「馬鹿だけどな」
「馬鹿ですけどね」
「馬鹿だがな」
(ネッケツバカってこの人か…)
「最後に枯木 楓ちゃん」
「この子が言ってた回復系能力者ね」
「唯一の潤い成分!!」
「あのむさ苦しい2人に囲まれてますが」
「雨雲はむさ苦しいか?」
「あそこまでだと逆に鬱陶しいですけどね」
「女性ですか?」
「えぇ、そうよ」
(って事は、やっぱりNo,1の人じゃないんだな…)
「まぁ、波斗の傷が治るんなら用無しね」
「御茶と土産ぐらいは出してやるけど」
「鉄珠!後で買って来てね!!」
「え?俺?」
「火星は波斗の護衛だし」
火星が小さくガッツポ-ズを取る
(コレが狙いか…)
「じゃ、火星は波斗を奇怪神の所に行きなさい」
「解った」
「波斗君、次の休みはいつかな?」
「えっ-と、確か…」
「何言ってるの?」
「今からよ」
「「…え?」」
読んでいただきありがとうございました