ロダの部屋
女子寮
僚艦室
「僚艦」
「あら、織鶴さん」
「起きて大丈夫なのですか?」
「傷は大した事ないし、毒を抜いたから大丈夫よ」
「それよりも聞きたいんだけれど」
「何かしら」
「貴女の夫のロダ・ファミア」
「前支部長の部屋を見せてもらえるかしら」
「部屋?」
「別に構いませんけれど…」
「助かるわ」
「もう、前に2人…」
「…行ってしまいましたわね」
ファミア家
ピンポーン
「ふぁい」
「…ゼイルちゃん」
「口に食べ物を含みながら出て来ちゃ駄目でしょ」
「ふいまふぇん」
「ふぉうひょくふゅうふぁったふぉもへ」
「こらこら、ちゃんと食べ終わってから言いなさい」
「…」
もぐもぐもぐ
ごくんっ
「…すいません」
「昼食中だったもので」
「あら、そうなの?」
「お邪魔だったかしら」
「いえいえ」
「睡眠中に来た彼に比べたらマシです」
「私の前に誰か来たの?」
「響だよ」
「あら、馬常」
「病室に居ないと思ったら、ここに居たのね」
「うん、ちょっとねー…」
「ロダさんは支部長であると同時に名の有る開発者だったから~」
「開発ばかりで私に構ってくれませんでしたけどね」
「まぁ、そのお陰で私も技術と素晴らしい物を見つけましたが」
「技術は解るけど…、素晴らしい物って何?」
「[百合]です」
「花?」
「いえ、レズとも言いますね」
「「…」」
「男のようなむさ苦しいのと違って!!」
「可憐!美麗!!明媚!!」
「ジャパニーズ百合文化は最高です!!!」
「…あ、あぁ、そう」
「…へ、へぇ」
「さぁ!貴方達にも百合をご教授させていただきます!!」
「「いや、結構です」」
ロダの部屋
「凄いわね」
「新型武器に、火薬型番号」
「属性付与武器、身体装備系武器…」
「よくもまぁ、支部長って立場でここまで研究できたよね…」
「開発費なんて入ってこないのに」
「ほぼ趣味で調べてたそうよ」
「しかも、それを善意で残してるってのが凄いよねぇ…」
「全くだわ」
「織鶴はコレを見に来たの?」
「まぁ、そうよ」
「火星が機械弄り得意だし、何かの役に立つかと思ってね」
「へぇ~…」
「あ、面白そうなの見つけた」
「何々?」
「多重属性付与武器、だってさ」
「凄いわね-」
「…ん?」
「どうしたの」
「コレ、何かおかしいわよ」
「何が?」
「ほら、公式計算が成り立ってないわ」
「式も妙にずれてるし」
「コレじゃ武器が使えないんじゃないの?」
「…本当だねぇ」
やっぱり、間違いない
コレは彼が式を間違えたのでは無く
態と間違えている
暗号だ
やっぱり、そうだ
彼は知ったんだ
軍の機密を
そして、それの対策として[何か]を作ろうとしていた
…その[何か]が重要だ
と、なると必ず暗号表があるはず
何処に…
ガチャッッ
「失礼」
「…誰?」
「元老院直属部隊、アテナ」
そこに立っていたのは女性
紅い髪
金色の目と褐色の肌
両手に包帯を巻いており、腰にはナイフらしき物が携えられている
「元老院…?」
「何?それ」
「…軍総裁組織」
「元老院…」
「総督の上の立場よ」
「え…!?」
「元老院が何の用かしら?」
「資料を貰いに来た」
「この資料は軍の所有物じゃないわ」
「ファミア一家の所有物よ」
「軍名義によって強制徴収させて貰う」
「横暴だね…」
「そんな事が…」
「黙れ」
「不快」
「…その喋り方」
「…秋鋼には元[IV]の火星 太陽が居るはず」
「殺し損ねた鼠」
「…あ゛?」
ゴキンッッ
鈍々しく音を挙げる織鶴の拳
それに対する様にアテネの目つきも変化する
「駄目だよー…」
馬常は止めるべく、2人の間に割って入る
2人は馬常を睨み付け、暫くの間、制止する
「…元老院だか何だか知らないけど、こんなトコで戦っちゃマズいでしょ?」
「織鶴だって傷は完治してないんだし」
「うっせぇよ…」
「コイツは殺す」
「黙れ」
「不快」
「ケンカしないでくれないかなぁ……」
「やるならヤって欲しいんですけどね」
カチャッッ
「…!」
アテナの後頭部に突き付けられた銃口
彼女は視線を徐々に背後へとずらしていく
「…ゼイルちゃん」
「気の強い女性同士の絡みは大好きですよ」
「下品な女」
「不快」
「昼食中だったもので」
「…殺す」
バチバチバチッ
「火花…?」
「…散れ」
「ストォオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーッッッップ!!!!」
「「「「!」」」」
「ストップ!ストップですよ!!」
「何してんですか!先輩!!」
「…アヌビス」
馬常の前に立つ男
小柄で、深紫の髪目
金色の腕輪が目立ち、顔には左右対照的に刺繍が入っている
「…次から次へと」
「また元老院直属部隊?」
「は、はい」
「俺っちはアヌビスって言います」
「先輩に着いてきたんですけど、途中で迷っちまって…」
「…退け、アヌビス」
「不快」
「駄目ですってば!この人達を攻撃しちゃ!!」
「そうやって、アテナさんはすぐに能力を使うんですから!!」
「退け」
「駄目です!!」
「ほら!用事は資料を取ってくるだけでしょう!?」
「…チッ」
アテナは不機嫌そうにアヌビスを押しのけ、資料を乱雑に取っていく
そのまま部屋の外へと出て行き、アヌビスも頭を下げながら出て行く
「…何なのよ、全く」
織鶴は不機嫌そうにイスに腰を下ろす
馬常も呆れた様に頭を掻き、ゼイルもため息をついている
「元老院って言ったよね」
「少なくとも敵じゃない、って事でしょ?」
「…まぁ、そうでしょうけど」
「邪魔でしたね」
「アヌビスとか言うのと馬常さんは」
「え?俺も?」
「折角の3Pチャンスが…」
「それ以上は言っちゃ駄目よ」
「…よく言えるねぇ」
読んでいただきありがとうございました