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秋鋼  作者: MTL2
216/600

公共物の負債

「何だ、火星だったのか」


「首が変な方向に曲がったんだが」


「急に出てくるからだろ-」

「驚いたぜ」


「ぜ、ゼロさん!帰ってたんですね」


「おぉ、森草」

「もう風邪は良いのか?」


「まだ、ちょっと…」

「ゴホッゴホッ」


「咳き込んでんじゃねぇか」

「セント!森草に風邪薬飲ませて寝かせてやれ」


「は、はイ!」


「ったく!無理しやがって…」


「セントさん、手伝いますよ」


「あ、ありがとうございまス」


2人に肩を支えられ、2階へと上がっていく森草

火星とゼロは3人の後ろ姿を見送り、ソファに座り直す


「…蒼空はロンドンに行ってたんだってな?」


「あぁ、そうだ」

「バムト・ボルデクスと戦ってきたらしい」


「ほう?アイツとか」

「よく死ななかったな」


「殺す気が失せたんじゃないのか?」

「彼は殺すのを戸惑わないような下衆じゃないから」


「一理ある…、が」

「それだけだろうかな」


「?」


「いや、俺の直感なんだが…」

「本当にそうなのかと…」


「お前の直感は妙な所で当たるからな…」

「…そう言えば、お前も任務に行ってたのか?」


「まだ拳が治ってねぇんだ」

「そろそろだとは思うが…」


「あぁ、そうか」

「それにしても大丈夫なのか?生活費とか」

「4人暮らしだろ?」


「俺はテメェ等んトコみたいに公共物を無闇に破壊してねぇから大丈夫だよ」

「公共費代…、任務の度にマイナスされてんだろ?」


「…まぁ、確かにそうだな」

「殆どはそれで吹っ飛んでいくよ」


軍の任務において、公共物や私物の破損は日常茶飯事である

織鶴の様な能力ならば、それは尚更だ


しかし、公共物とて無料ではない

破壊した場合は報酬から差し引かれたり、報酬額を超せば自腹負担となる


だが、破壊せずに終わらせる事が出来るほど簡単な任務が多いわけでは無い


軍はコレに置いて制度を作成している


[公共物破損保証]


名前の通り、公共物を破損した場合に保証される制度

一定額まではこの保証制度によって保証される


…が、流石にコレにも限度はある

限度を超した場合は先に同じく報酬から差し引く

さらに超せば自己負担となるのだ


秋鋼の場合、織鶴のスタイルである無鉄砲な戦い方のせいで

この保険にはよくお世話になっているのである


超える場合が殆どだが



「俺は一発で決めるのが殆どだからな」

「別にアレは滅多に使わねぇよ」


「お前の能力が羨ましいよ…」


「織鶴だって戦いように寄っちゃ一発だろ?」


「まぁ、それをしないのが織鶴なんだけど」


「…だな」

「今回の任務でも酷いんじゃないのか」

「相手は[ハデス]だろ?」


「あぁ、それは大丈夫だ」

「今回はロンドン支部が保証してくれるらしいぜ」


「そうなのか?」


「向こうの管轄に俺達が助太刀した形だからな」

「正式勤務のNo,4、防銛ちゃん、響を覗けば全員分保証してくれるんだってよ」


「ほぅ、太っ腹だな」


「俺の食費も助かるわ-!」


「…食費?」


「毎月1万円だからな」

「偶には贅沢したいかな、って」


「…いや、待て」

「お前んトコってそんなに安かったか?」


「いや、そうでも無いかな」

「確かに織鶴と公共物に殆ど持って行かれるけど」


「…一応、聞くぞ」

「取り分は?」


「月によって違うが、織鶴と彩愛が殆どかな」

「まぁ、俺も無駄遣いをもっと減らせば良いんだけどな!」

「そろそろ煙草も週一じゃなくて月一に…」


「…なぁ、火星」


「ん?」


「偶には…、飯食いに来いよ」


「え?お、おう」





ロンドン


ロンドン支部


支部長執務室



「…」


「如何なさったのです?支部長」


「…怪我は良いのか、ソルナ」


「えぇ、お陰様で」

「日常生活に支障が出ない程度には回復しました」


「…ソルナ」

「コレを…、見てくれ」


「…何です?」


ウェルタから資料の束を受け取るソルナ


「…時計塔、道路、標識、住宅街」

「橋…、その他諸々」

「何です?コレは」


「…今回の破壊された公共物だ」


「…」


「道路とか標識とかなら…、解るけど…、お前」

「時計塔と橋て、お前」


「…申し訳ありません」

「因みに、額の方は…?」


「兆超えだ」


「…軍本部に資金援助を要請します」


「そうしてくれ…」



軍病院


特別治療室


「ブラックジャック」


「ぬぎゃぁああああ!?」


「つ、強いね…」


「…アンタ達が弱いだけ」


防銛、響、馬常の3人はトランプゲームを行っていた

昕霧はずっと雨雲の寝顔を見つめている

織鶴は昨日から眠り続けている状態である


「…飽きないのかな?アレ」


「あぁ、昕霧やろ」

「付き合い長いけども、あんだけ幸せそうな顔は滅多に見れんで」


「…次のゲーム」


「ほいほい」

「大富豪でもやる?」


「そうだね~…」


「了解…」



prrrrrr


「ん?」


「…」


「ん、すまん」

「ワイや」


「電源は切っとかなきゃ…」


「すまんすまん」

「ほな、2人でやいよってぇや」


「全く…」

「革命だよー…」


「革命返し」


「えっ」



休憩室


「…もしもし?」


『響かぇ?』


「おぉ、灯笠やな?」


『そうじゃ』

『お主の言うとった血が解明できたぞぇ』


「…流石や」

「この事は内密に頼むぞ?」

「[核]や[躯]にも、や」


『…わっちは構わんのじゃがのぅ』

『お主は良いのか?』

『あの2人を敵に回しても良い事は無いぞぇ』


「ほんな事は解ぁっとるねん」

「ほなけどな、こっちもこっちで信用できる人間が少ないんじゃ」

「勘弁してくれんかいな?」


『…むぅ、解り申した』

『そう言えば、そちらの用事はどうじゃったのだ?』


「終わったで」

「あぁ、序でに一斑とリンデルにロンドンに来る様に言うてくれんか?」


『ま、また[けぇたい]を使わせるのかぇ?』

『わっちはコレが苦手じゃ……』


「文句言いなさんなや」

「ほな、頼むで」

「土産買って帰るけぇな」


『…ぷりんを買ってくるのじゃぞ!』


「任せぇや」


プツッ


「…我が儘な女やのぅ」




読んでいただきありがとうございました

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