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秋鋼  作者: MTL2
215/600

委員長の風邪

軍本部


軍病院



待合室


「…暇ぁ」


「まぁ、入院生活なんてそんな物だよ」


ソファに項垂れる波斗

その隣では火星が缶珈琲を飲んでいる


「…そう言えば、鉄珠さんや彩愛さんはどうしたんですか?」

「鎖基さんに楓ちゃんも」


「あぁ、彼等はまだ旅館に居るよ」

「そろそろ帰ってくるとは思うけどね」


「まだ旅館ですかぁ…」


「…ねぇ、蒼空君」


「はい?」


「もう平気?」


「…霊魅の事ですね」


「やっぱり気付いてた、か」


「まぁ、俺もコーコーセーなんで」

「気付かれてるって事ぐらいは、ね」


「…そっか」

「後を詳しく聞くのは野暮、かな」


「…そうですかね」


「ハッハッハ!君も成長したなぁ」


「オッサンみたいな事、言いますね」


「…まだ若いよ?俺」



「…あレ?」

「火星さんに蒼空君じゃないですカ」


「あ、セントさん」

「どうして軍病院に?」


「風邪薬を貰いに来たんでス」

「森草さんが風邪を引いちゃっテ…」


「委員長が!?」

「具合は…」


「大丈夫ですヨ」

「もう収まってますけど、妙に長引いてるだけでス」


「そうですか…」

「お見舞いに行こっかな…」


「それでしたら、今から帰るので一緒に来ませんカ?」


「え?良いんですか」


「私は良いですヨ」


「火星さん…」


「行こうよ、丁度お見舞いの品持ってるし」

「死ぬ前に思い出ぐらい作っておいた方が、ね?」


「死ぬ前?」


「織鶴さんの命令ガン無視しまして…」


「あぁ…、なるほド」



森草の家


2階


森草の部屋


「ゴホッゴホッッ」


咳き込む森草

寝間着姿で布団にくるまり、額には湿布を貼っている


「うぅー…」


風邪を引くなんて不覚だわ…

学校を休むハメになるなんてぇ~…


ガチャンッッ


「…?」


セントさんが帰ってきたのかしら


「…」


ま、まさかね

そんな事ないわよね…



階段を上る音


ガチャッッ


「あ、セントちゃ…」


「あぁ、委員長」

「具合は?」


「…」


バタンッッ


「委員長ォオオオオオオオオーーーーーーー!?」







「吃驚したわよ…」

「ロンドンに行ったんじゃなかったの?」


「アハハハ…、ごめんごめん」

「実は帰ってきたんだ」


「もう!だったらノックぐらいしなさいよね!」

「私が着替え中だったらどうするのよ!」


「い、いや、セントさんから「寝てる」って聞いてたからさ」


「全く!もう……」


「…」


「…」



はい!恒例の気まずい空気タァアアアアアアアーーーーイムッッッッ!!


何!?何を喋れば良いの!?

しっかりしろ!俺!!


大丈夫!こんな時の為にひっそりと何人かにアドバイスを貰っているのさ!!


貰ったのは!



鉄珠さん


夢の女


馬常さん



…何でもっとマトモな人に相談しなかったんだろうか


って言うかマトモな軍関係者って俺の知り合いに居たかなぁ…



「蒼空?」


「あ、あぁ!ゴメンゴメン!」

「ロンドン帰りで疲れてるのかな…」

「じゃぁ、俺そろそろ…」


仕方ないが、撤退するとしよう

さらに気まずくなったら死にたくなるからな



ぎゅっ


「…委員長?」


「い、行かないで…」


「…はい?」




2階廊下


「フッフッフ…♪」


「…笑みが黒いよ、セントちゃん」

「何したんだい?」


「実はですネ」

「森草さんが風になってから、ずっとホラー映画を見せ続けていたのでス」


「えっ」


「しかも、風邪の女の子を襲う悪魔が出てくる設定でしテ」

「それを女の子が恋する男の子が倒して、2人は結ばれてハッピーエンド…」

「なんて物語でス」


「へぇ~」


「はイ」


「…何この衣装」


「布施川さんに用意して貰いましタ」


「…なんかホラーっぽいけど」


「はイ」


「まさかねー?」


「はイ」


「マジで?」


「はイ」


「…」



森草の部屋


「…ってコトがね」


「ほ、ホラービデオか…」

(一瞬、ドキッとしてしまった…)


「す、少しで良いの」

「一緒に居てくれない?」


「え、えっと…」

「解った…」


「…ありがとう」



あ、蒼空と2人っきり…



「委員長、汗掻いてるね」


「え?」


「拭いてあげるよ」


「い、良いの…?」


「遠慮しないで」

「さぁ…」


「あ、蒼空…♥」



なんて事になったりして…

キャァーーーーーー♥



「…」


何か委員長の顔がさらに紅くなったような…



ギィイイイ…


「あれ?扉が勝手に」


「風かしら」



「オ゛ォ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オオオオオオオ…」


扉の隙間から姿を現す怪物

おぞましい声と共に醜い腕を扉の間から部屋へと滑り込ませてくる


「ひっっ…!!」


「…オイオイオイ」


仰け反る2人

余りに醜悪な化け物は鈍足ながらも1歩1歩、確実に近付いてくる


「…委員長」

「逃げろよ?」


「え…?」


「ぬおぉおおおおおおおりゃぁあああああああああああ!!!」


「あ、蒼空!!」


波斗は化け物へと突進する

その勢いに乗じて化け物へと渾身の一撃を放り込む


ドンッッ!


「うぉおおっ!?」


「…こ、この声」

「火星さ…」


「蒼空!援護するわ!!」


「え、委員長」

「それコンパス…」


ヒュンッッッ


「うぉうっ!?」


「ひ、火星さぁあああああああ!!!」


「えいっ!えいっっっ!!!」


「ハサミ×2ぃいいいいいいいいいっっっっ!?」


カカンッッッ


「えっえっ」


「今よ!蒼空!!」


「い、いや!コレ火ぼ」


カランッッ


(今のうちに逃げないと…!!)


「あ!逃げた!!」


「いや!逃がしてあげて!!」




ガチャッ


「帰ったぞ-」


シーーー…ン


「誰も居ないのか-?」


「あ、ゼロさン」


「おぉ、セント」

「お前だけか?」


「いえ、今上で…」


ドタタタタッタタッタタタタッタ!!


「騒がしいな…」


「ゼロォオオオオオオオオオオオオオオ!!!」


「うぉおおおおおおお!!??」


「助けてくれぇええええええええええええ!!!」


「あ」


「あ?」


「悪霊退散ッッッッッッッッッッ!!!」


ドガァンッッッ!!


「ぬぼがぁっっっっっ!!!」



ドザアアアアアアアァアアーーーーー……


「…ふぅ」

「日本に妖怪は現存していたんだな!」


「ひ、火星さぁああああああああああああああん!!!!」





読んでいただきありがとうございました

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