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秋鋼  作者: MTL2
214/600

夢の薬

日本


軍本部


軍病院



特別治療室


「…何だったんですかね?先刻の人」


「さぁ、俺も知らないけど…」

「でも、元老院って何処かで聞いたような…」



ガチャンッッ


「オーーーーーーーーーーーーッッス!!」


「「…」」


「院長様が来たぜ-!!」


「うっせぇなぁ…」

「どうしたんですか?」


「え?今うっせぇって言った?」


「うっせぇ…」

「どうしたんだ?院長」


「うっせぇって言った?」

「言ったよね?ねぇ?」


「本題は何ですか?ゲス院長」


「ゲスって言いやがった」


「まぁ、落ち着けよクソ院長」


「クソって言うなよォオオオオオ!!!」





「…で?マジで用件って何だよ」


「うん…、そろそろ精神ダメージが回復してきたぜ…」

「蒼空、怪我はどうだ?」


「痛みとかは無いですよ」

「て言うか、傷が酷すぎて麻痺してるんですかね…」


「包帯を解いてみろ」


「?」


シュル…


「こ、コレは…!」


「傷が無い…!?」


「凄いだろ?」

「もう退院しても大丈夫だぜ」

「お陰で新薬の実験は成こ…」


「…」


「…」


「…お前の治癒力だ」


「院長さん」

「ちょっと表でろオイ」


「いや、ちょ、違っ」


「蒼空君、拳銃要る?」


「あ、貸してください」


「え?え?え?」


「オラ、行くぞ」


「え、ちょ、待っ」

「嫌ァアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」




「…」


ボロッッ


「反省しましたか?」


「しましたデス…」


「で、治癒力って何ですか」

「俺の治癒力が凄いのは知ってましたけど…」


「それが異常にパワーアップしてんだ」

「RPGで言うならLv1からLv45ぐらいまでな」


「うわー、微妙」


「おまっ!スキポどんぐらい触れると思ってんだ!?」


「俺にスキルポイントあるんですか」


「無いけど」


「…」


ガッチャン


「やめて!銃を装填しないで!!!」

「しかも無言!超怖いんだけど!?」


「だけど、院長」

「蒼空君の快復力が上がってると言っても…」


「ま、そーだな」

「あのバムト・ボルデクスと戦って無傷状態」

「凄いんじゃないの?」


「そんな軽々しく…」


「そもそも、能力者ってモンは常人よりも回復速度が速いんだ」

「織鶴とかNo,3と仲良いだろ?お前」

「見た事あるんじゃないのか」


「た、確かに回復が早いなぁー、とは思ってましたけど…」

「…自分がコレなんで」


「あぁ、なるほど」

「そりゃ解らないだろうな」


「蒼空君の快復力は能力が関係してるのか?」


「いいや、違う」

「ほら、テレビで見た事ねーか?」

「関節が異常に柔らかかったり、凄い記憶力持ってたり、ってな?」

「ありゃ生まれ付き持ってるモンだ」

「蒼空も、その一種だな」

「生まれ付き持ってる」


「生まれ付き?」

「でも、今まで怪我した時には…」


「環境が変わったからだな」

「お前…、軍に入ってどのくらい経った?」


「えっと…、2,3ヶ月ぐらい?」


「急速な周囲の変化に伴う体の適合化、てトコだろう」

「まぁ、急速過ぎるっちゃー急速過ぎるが…」

「どーせ、原因など解らんさ」


「どうしてですか?」


「人間ってのは、いつの時代にも科学を凌駕しやがるからさ」

「つっても、科学も元は人間が生んだモンだ」

「凌駕しているのではなく…、成長させてるのかもな」


「「…」」


「…何だ?」


「「院長がマトモな事言ってる…」」


「お前等、俺そろそろマジで泣くぞ」







奇怪神家


「すまんな、急に押しかけて」


「いえいえ、構いませんよ」

「ゼロ君」


「土産は菓子で良かったか?奇怪神」


「あぁ、ありがとうございます」

「狼亞がケーキを食べたいと言っていましたので…」


「親馬鹿だな、お前」


「褒め言葉ですよ」


「…で、だ」

「どうだ?」


「どうやら、ゼロさんの予想は正しかった様ですね」

「コレは能力使用条件を無視する薬です」

「大量服用によっては、能力を強化できる様でして」


「凄いな」

「まさに[夢の薬]か」


「いえ、リスクもあります」

「1粒につき約3年」


「3年?」


「寿命を縮めます」


「!」


「この薬は体内細胞を大幅に強化します」

「しかし、強化され使い終わった体内細胞は再生する事なく死滅」

「…簡単に言えば、このコップと水ですね」

「コップを体、水を細胞と仮定しましょう」

「普通はコップの中の水はコップが割れるまで溜まり続ける」

「零れないように、少しずつ減りながら」

「しかし、この薬を使った場合…」

「コップの中の水は急速に減り、空となる」


「…つまりは死、か」


「はい」

「夢の薬は悪魔の薬だったワケです」


「…悪いな、こんな劇薬を解剖させて」


「いえいえ、構いませんよ」

「軍だと元老院に取り上げられてしまうから私に頼んだのでしょう?」


「あぁ」

「総督にも秘密にしとくってのは骨が折れたがな」


「でしょうね」


「お前まで巻き込むべきではなかったんだが…」

「No,2の時も参加に反対していただろう?」


「戦うのと研究は別物ですよ」

「コレでも元科学者ですから」


「流石だな…」

「狼亞は?」


「部屋で寝ていますよ」

「流石に、こんな話は聞かせられませんから」


「…そうか」

「じゃ、俺は帰る」


「…ゼロ君」

「貴方は軍を裏切るつもりですか?」


「…心を読んだな?」


「えぇ、はい」


「お前に心を読まれるとは油断してたな」


「いえ、完全には読めませんでしたよ」

「ただ…、黒い決心が見えましたので」


「…別に、決心って程の物じゃぁない」

「選択肢が増えただけだ」


「選択肢?」

「破滅への、ですか」


「…」


「No,2の一件を忘れたとは言わせませんよ」

「軍を裏切れば、貴方だけじゃない」

「直属部下の森草 蜜柑も」

「同居している馬常 轡も」

「研修に来ているセント・和鹿島も」

「…下手をすれば秋鋼の皆だって」

「巻き込まれる」


「…そうだろうな」


「貴方のそれは確かに決心じゃありませんね」

「身勝手です」


「…No,2は知った」

「真実を」

「だから、裏切った」


「真実?」

「それを知ったから、貴方も裏切るというのですか」


「言っただろう?選択肢の1つだと」

「別に決定事項じゃない」


「選択肢にある事自体が問題だと言っているんです!」


「…落ち着けよ」

「狼亞が起きるぞ」


「…っ」

「貴方の…、言っている[真実]とは」

「能力者狩りの事ですか?」


「いいや、違う」

「さらにその上だ」


「…まさか」


「お前なら知っているだろう?奇怪神」

「いや、お前だからこそ知っているはずだ」


「……!!」


「…邪魔したな」

「この資料は貰っていくぞ」


「ゼロ君!!!」


「じゃぁな」

「創世計画総責任者、奇怪神 怪異」


バタンッッ





「パパー…、誰か来てたの…?」


「…起こしてしまいましたか」

「少し客人が来ていただけですよ」


「眠いの…」


「そうですか」

「寝ましょう」


「はー…い」



貴方はどうするつもりなのですか



ゼロ君




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