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秋鋼  作者: MTL2
213/600

その後のハデス

ロンドン


ロンドン支部


軍病院



病室


「…さん?」

「雨雲さん?」


「…ん、あぁ」

「すまない、余所事を考えていた」


「べ、別に良いですよ?」

「ただご飯を食べてくれれば…」


「…昕霧よ」

「別に左腕で食べれば良いのだが…」


「駄目ですよ!」

「右腕は怪我しちゃってるんですから、左腕は大切にしないと!」


「む、むぅ…」


「はい、あーん♥」

(幸せっ……!!)




「ちょっと!何で患者に患者の世話させてるの!」

「看護婦!ここ担当の看護婦は!?」


「か、看護婦長」

「あの患者はNo,4ですよ」

「「お世話は私がする」と言い出して…」


「No,4も糞もないわ!」

「ちょっと!アンタ!!」


「チッ…、何だよ」


「患者のお世話は看護婦の仕事なのよ!!」

「アンタは大人しく寝てなさい!!」


「…あァ?」


「ほら!早く!!」


「チッッ…」


殺気を放ちながら病室を出て行く昕霧

それに対し看護婦長は意気揚々と雨雲の元へと向かう


「はい、雨雲さーん」

「ご飯食べましょうか-」


「つ、次は貴女か」


「はい♥」

(こ、こんなハンサムな人のお世話できるなんて超ラッキー♪)


「看護婦長、絶対狙ってたわよね」


「婚期、かなり気にしてたもんね…」








「看護婦長がアフリカ支部に異動になったらしいわよ」


「何で?」


「さぁ…」




中庭


「…あ、あの」


「んー?」


木陰に座る馬常とヘルン

馬常は寝転がったまま、今にも寝そうな状態である


「私は、どうしてここに…?」


「[人形師]に殺されかけたから運んで来たんだよー」


「モルバに…?」

「そ、それ以前に!私はハデスの人間ですよ!?」

「軍の施設に居たら…」


「マズいだろうねぇ」

「最悪、即抹殺かな」


「っ…」



「失礼」


「誰?」


「ロンドン支部、諜報部の者です」


「!」


「ヘルン・コロネアさんですね?」


「…いえ」


「言い訳は通りませんよ」

「情報は得てますから」


「…ッ」


「来ていただけますね?」


「…馬常さん」


「んー?」


「始めから…、このつもりで?」


「まぁ、そうかな…」


「貴方…!!」


「結果は同じでしょ?」

「遅かれ、早かれってね」

「迎えが来ただけだよ」


「…一瞬でも」

「貴方を信じた私が馬鹿でした」


「だろうねぇ」

「信じるのは、いつだって仲間でしょ?」

「俺は敵だし」


「ーーーーーッッッ!!!」


「おい!抑えろ!!」

「動くな!!!」


パァンッッッ


「…っ」

「痛いなぁ…」


「貴方は!外道です!!!」

「殺すのなら!あの時、殺してくれれば良かった!!!」


「俺は軍の人間だよ?」

「敵を捕縛するのは当たり前じゃないかな」


「なら!どうして助けたのですか!?」


「情報吐くかと思ったんだけどね」

「無理だったから」


「ーーーーーッッ!!!」


ガチャッッ


「…!」


ヘルンの側頭部に突き付けられる拳銃


「そこまでだ」

「大人しくして貰おう」


「ッ…」


「…バイバイ、[盲目]」








護送車内


ガタンガタンッ


悪路を進む護送車

手錠を繋がれたヘルンは暗い車内の中で沈黙を続けている


「…」


どうして、信じたのでしょうか

どうして、希望を持ってしまったのでしょうか


この人となら、また未来に向かって歩けるかもしれない、と


希望を


抱いたのに



抱いてしまったのに


愚かだ


1人で喜んで


1人で死んでいく


愚かだ、私は



馬鹿みたい





ガゥンッッッッッ!!!


「!?」


「な、何だ!?」


「おい!どうした!?」


「解りません!急に停止して…!!」

「う、動かない!?」


「故障か!?」


「え、エンジンは動いてます!」

「まるで、タイヤが空回りしてるみたいな…!」


ガァンッッッッ!!!


唐突に扉が突き破られ、暗闇の中に光が差す

光の中からは覆面をした男が入ってくる


「誰だ!?」


ゴゥッッッ!


「ぐぁっっ!?」


「の、能力者!?」

「くそっ!」


パァンッッ!!


「…」


キィンッッ


「じゅ、銃が…」



ゴガァンッッ





「…!」


「…」


覆面の男は有無を言わずヘルンを抱え上げ、車から降りる


「だ、誰なのですか」


「…何を言っている?」


覆面を脱ぐ男

それは[破壊屋]ことダボルであった


「だ、ダボル!?」


「お前が指定したんだろうが」

「この時間に通りかかる護送車を襲撃して、助けて欲しいと」


「え…?」


「メール送ったでしょ…?」


「ミロまで…」

「私は…、そんな…」

「…!!!」






「信じるのは、いつだって仲間でしょ?」






「まさか…」


「…ヘルン?」


「…本当に最低ですね、あの人は」

「最低で…、最高です」


「…?」


顔を見合わせるダボルとミロ

ヘルンは嬉しそうにくすりと笑う


「…これから、どうしますか?」

「実質的にハデスは…」


「あぁ、解っている」

「俺は…、これから目的を見つけていく」

「ミロとヘルンは、どうするんだ?」


「…私は両親の墓に行きたいです」

「それ以外は、特には…」


「…私は」

「私は、2人と一緒に居たい」


「「!」」


「…仲間だもん」


「…そうか」

「では、まずはヘルンだな」


「…はい」

「行きましょう」


「あぁ」


「うん!」




読んでいただきありがとうございました

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