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秋鋼  作者: MTL2
203/600

化獣

裏路地


ゴォン!!ゴォン!!ゴォンッッッ!!!


[闇豪拳ベルフェル]!!!」


「ガァアアアアアアアア!!」


ゴォオオオオオオオンッッッ!!!


双方の拳は交差し、互いの顔面へと猛撃する


「くっ…!!」


「ガァアアアアア!!!」


ゴォオオオンッ!!!


(振り切りやがった…!!!)


体制を崩すバムト

その機を見逃さず、波斗は追撃を掛ける


[黒跳ラボ]ッッッ!!」


ドンッッ!!


バムトは空中へと飛空し、地上を見下ろす



死の恐怖


長らく感じ得なかった物ではある


だが、それ以上に!この躍動感!!!


見事!見事!!見事!!!



------むな



「…」


また、お前か


いや……、確かにそうだな

暫く振りで、俺も興奮していた



------楽しむな



全く、貴様には呆れるな

自分では手を下さず、俺を利用する気か


だが、敢えて利用されてやろう


要するに、殺さなければ良いのだろう?


[闇帝ヴォドル]」



殺さなければ良いのだろう?


俺が殺されては意味が無い


少し…、本気を出そうか




全てがバムトを覆い尽くす



「おぉおおオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」


天へと咆吼するバムト


闇に呑まれた姿は悪魔の様に


化け物の様に


魔王の様に


「はぁああああァアアアアアアアアアーーーー…」



腕脚は黒鋼の如く妖輝し

両指は先尖する


背からは闇が風に揺れ


牙は獣の如く


体には闇紋が刻まれる



眼は紅く



隻眼




「この姿は久しぶりだな」

「不完全な俺でも…、少しは完全に近づける」


---------殺すな


「殺しはしないさ」

「そこまで本気は出さねぇよ」


---------加減できるとは思えない


「加減はする、と言っているだろう?」

「まぁ…、奴なら腕の1本や2本は再生できるだろうしな」


---------…任せても?


「あぁ、大丈夫だ」

「ただし…、いざというときには止めてくれ」


---------解った



「ガァアアアアアアアアアアアアア!!!」


バムトへと飛びかかる波斗


「…[闇滅]」


掌には闇


橋を消滅させた時とは違う

掌に明らかな[闇]が有るのだ


そして


-------…ゥンッ


威力もケタ違いだ



「ガァッッーーー…!!」


波斗の右半身は消滅

背後の建物、道、並木も全て


消滅



「やり過ぎたか?」


「ガァアアアアアアアアアアアアア!!!」


ボゴボゴボゴオオッ!!


傷すらも意味は無い


数秒で回復


いや再生とでも言うべきか


ゴゥンッッッ!!!


「ぬがっ…!!」


バムトの腕に乗し掛かる重々しい一撃

骨は悲鳴を上げ、肉はブチブチと千切れていく


「ーーーーーーッッ!」

「[闇豪拳]ッッッッッッッ!!!!」


「ガァアアアアアアアア!!!」


バチィンッッ!!


「[黒虚]!!!」


「グルゥアッッ!!!」


ガッ


「なっ…」


波斗はバムトが[黒虚]を放つよりも速く腕を掴み

地上へと向かって


「ガァアアアアアアアアアアッッッ!!!」


ゴォオオオオオオオオオオオオンッッッ!!!


叩き付ける


「ぉっ…!!」


どうする?


予想以上だ


13人目の力を侮っていた


11人目の小僧が負けたのも何かの間違いか

小僧が油断したか、どちらかであろう、と


強い


----------駄目


無理だ


----------使ってはいけない


使わなければならない


----------彼を殺す気?


こちらが殺されては元も子もない

そうだろう?


----------それは


元より、舞台裏で傍観している貴様の意見を聞いている俺が馬鹿だった

自由にやらせて貰う


----------駄目だ!!


なに、最低限のノルマは果たす

殺さなければ良い


----------彼は[希望]!

----------本来なら傷付ける事すら…


俺には[絶望]にも見える

見極めれるのなら見極めてみたいではないか


----------ッッ!!





[闇狂神ヴォードリア]」





「ガッッ……?」


壁に建つパイプを掴み、高所で停止する波斗


獣同然に敵を殺し、壊し、喰らう


化け物である波斗は化獣だ



まさしく猛獣


その様な波斗が


感じ取ったのだ



「ヴォオォオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!」



下で咆吼する化け物に



恐怖を




「ヴォゥウウウウウウウウウウウウアアアア!!!」


ガシャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッッ!!!


方向によって周囲のガラスは砕け落ち


空気は振動する



「ガァアアアアアアアアアアッッ!!」


猛進


波斗は化け物に対して時間を与えるべきではない、と判断したのだろう


化け物に猛進し、破壊を試みた


だが、結果的に


破壊されたのは波斗だった



「ガァッ…」


右の袋はぎを噛み千切られ


腹に風穴を開けられ


片目を抉られた



「ギャァアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」


「ガァアアア…!」



黒く闇に覆われた右目が波斗を見る


紅く血に濡れた左目が波斗を視る



獣は喰らう


自然の摂理に則って


弱肉強食






読んでいただきありがとうございました

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