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秋鋼  作者: MTL2
202/600

住宅街の乱戦

住宅街


『クカカカカカカ!!!』

『浪費!消耗!無駄ァ!!!』


既に数十を超える認容兵を斬り捨てた雨雲

いや、数百を超えているかも知れない


「くきゃぁあああああ!!」


「キヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!!」


「ッ…」


キィンッッ!!



「かっ…」


「きけっ…」


ドサッ



『お疲れ様ァ~…』

『まだまだ有るがなァ!!』


雨雲を囲む人形兵

幾百の人形兵は凶器を持ち、恐ろしい呻き声を上げる


「…雨天之月うあまのづき


静かに刀を鞘へと収める雨雲


『殺せッッッッッッッ!!!』


静かに眼を閉じ

刃を灯に照らす


「キキャァカカカカカカッキャアアアアアア!!!」


雨雲を覆い尽くす人形兵


静寂なる水面


其処を揺らす雫を囲む揺円の如く



キィイーーーーー………ン



「きっ」


ドバッ


雨雲より直径数十メートル内


斬骸と化す



『流石だねェ…』

『だが!残り』


バキンッ


『は…』


数百メートル内


全てを斬り捨てる



「…」


キンッ


『…雑兵じゃ相手にならないね』


ゴゥンッッッ!!


モルバの背後に現れる巨大な匣

巨大な鎖で覆われたそれは、モルバの合図と共に静かに開く


『元No,6の屍だ!!!』

『勝てるかなァ!?』


「…がっ」


中から出てきたのは正に屍


血肉は腐り、顔は崩れ

毛は全て抜け落ち、腕は足りない


『腐敗が進みすぎちまってねェ…』

『修復に苦労した』


「コレで「修復」だと?」


『おいおい!発見当初は骨だったんだぜェ?』

『それをここまで修復したんだ』

『動けば肉塊でも兵だろう?』


「…外道クズが」


「グガァアアアアアアアアア!!!」


雨雲へと襲いかかる屍


「むっ…!!」


キィンッ!


「がっ…りっ」


ギリギリギリギリ


(身体強化系か…!?)

(なんて腕力だ…!!)


「グギャァアアッッッ!!」


バキィンッッッ!!


弾かれる刀


(しまっ…!!)


「ぎひっ」


ゴォオオオオオオオオオオオンッッッ!!!



『…その程度かいィ?雨雲ォ』

『コレじゃ雨雲 卯琉についても…』


ぶしゅっ


「ぎっ」


「時雨」



ドサッ


「…はぁ、はぁ」


『驚嘆に値するよォ?雨雲 卯月』

『流石だァ』


ドゴゴンッッ!!


モルバの左右に現れる2つの匣


『[西の銃士]と[東の剣士]…』

『相手してみなァ』


ガゴォン…


「俺達が出る幕かイ?モルバさんヨ」


「…我々の相手が勤まるとは思えんがな、彼には」


「言葉を…!?」


『コイツ等は脳も体も完全に再生した』

『俺の手駒さ!』


「[手駒]とは手厳しくないカ?」

「責めて、[兵]とでも言ってくれればネ」


「…呼び名など関係ない」

「ただ、求むは成果のみ」


「ははッ!違いないネ」


「行くぞ、[西の]」


「行くかイ?[東の]」


「無論」


「行こうカ」


『…予め、言っておこうか?雨雲』

『コイツ等は強いぞ』




女子寮


「ふぅ…」


「お疲れ様」


「ちょ、ちょっとは走りましょうです…」


「お姉ちゃんが降ろしてくれなかっただけ」


「…ベルア」


「りょ、僚艦!」


「その子は誰ですか」


「避難し遅れた子供です!」


「そうですか」

「では、奥の方に」


「了解しましたです!」


「もうすぐ陽が落ちるわね」


「あら、織鶴さん」


「お久しぶり、僚艦」

「どう?避難の調子は」


「順調ですよ」

「…任務が有るのではなかったのですか?」


「そうなんだけどね」

「どうも…、私の標的が見つからないのよ」


「あらあら」


「貴様の標的は[切り裂き]だろう」


「あら、ソルナ」

「ここに居たのね」


「大方、避難も完了した」

「後は警備だ」


「そう」


「…?」

「どうかしたんですか?」


「…何でもない」


表情に影を落とすミロ


「…陽が落ちてからが厄介よ」

「夜襲でもかけられたら堪ったモンじゃないわ」

「私も警備に加わるわよ」


「解った」


「僚艦、私はこの子を連れて奥に言ってますね」


「はい、そうしなさい」

「では…、私と[守護神]、そして織鶴さんで警備を交代ながらにしていきましょう」


「僚艦殿は武術の心得が?」


「あら、コレでも私は[守護神]に選ばれかけた事もありましたよ?」


「…人は見かけによりませんね」


「とは言え、今は戦線から離れた身です」

「ソルナさん同様、期待はしないでくださいね」


「…まともな戦力が私だけ、ねぇ」

「まぁ…、アイツ等なら何とかするでしょ」

「ここを襲撃されるのが最悪のケースだとしても、通さなければ」


「きゃぁあああああああああああ!!!!」


「うわぁああああああああああああああ!!!」


「「「!?」」」


奥から響き渡る悲鳴

血生臭い匂いと人々の阿鼻叫喚


「いつの間に!?」


「それよりも助けに行くわよ」

「ソルナと僚艦は待機していて頂戴!」

「私が見てくるわ」


「あぁ、頼む」


「頼みましたわ」




避難所


バタンッ!


「どうしたの!?」


「お、お、織鶴さん…」


地面に座り込むベルア

腰を抜かし、足がブルブルと震えている


「俺はァ~♪ジャック・ザ・リッパァ~♪」

「夜にィ~♪生きるゥ~♪人斬りさ~♪」


陽気に歌う、1人の男

手には血の付いたナイフ

狂気を感じさせる笑みを浮かべ、楽しげに歩いている


「…[切り裂き]」

「ここに…、潜んでたのね」


「おいおい、俺は潜んでなんか居ないぜェ?」

「招き入れられたんだ」


「…何を言ってるのか解らないけれど」

「殺すわよ」


「やってみなぁ~♪」

「男の肉は硬くて切りにくい~♪」

「女の肉は軟らかくて切りやすい~♪」


「あら、知ってる?」

「男の体は砕きやすいのよ」



読んでいただきありがとうございました

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