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秋鋼  作者: MTL2
200/600

[守護神]と支部長と[破壊屋]

ロンドン支部


地下牢


「…ふぁぁ」


「おい、欠伸をするな」

「仕事中だろう」


「す、すいません!支部ちょ…」

「…っと」


「いや、気にするな」

「[元]だろう?」


「…何で捕まっちまったんですかねぇ」

「貴方は罪を犯すような人じゃぁ…」


「仕方が無いさ」

「俺は知ったんだからな…」


「知った…?」


ガシャァンッ


「だ、誰だ!?」


「…」


見張りの前に現れる男

全身を黒いーブで覆い、顔が見えない


「…遅いぞ」


「すまんな」


「お、お前…」


「[地砕弾]」




ウー!ウー!ウー!


地下牢に鳴り響く警報

牢は破壊され、見張りは気絶している



支部長執務室


「コレが資料だ」


「どうも」


「えっと、ウェスタ君だったかな?」

「私は[守護神]のキース・ジャスミンだ」


「えぇ、噂は聞いてますよ」

「何でも首席卒業だったとか」


「君もだろう?」

「だが、元は兵士希望だったんだってね?」


「まぁ…、変えました」


「…詳しくは聞かないでおくよ」

「で、君には名前を変えて貰う」


「仕来りでしたね」

「支部長は代々、[ガーディアン]の名を…」


ウー!ウー!ウー!


「!?」


「警報だな」

「君はここに居なさい」


「あ、貴方は!?」


「仕事だよ」






ロンドン郊外


裏路地


「…君が[破壊屋]だな?」


「あぁ」


月光に照らされるロダとダボル


「まさか…、キースが連れてきたのが[破壊屋]とはな」

「だが助かったよ、感謝する」


「いや、構わない」

「…そろそろ移動するか」


「そうだな」


「行かせませんよ」


「!」


「…テメェは」


「総督側近の白月 霙です」

「ロダ・ファミア…、脱獄しましたか」


「…貴様等の思惑通りにはさせない」


「そうですか」

「では、死んでいただきましょう」


構える白月


「…[破壊屋]」


「あぁ、任せろ」


「逃げるぞ」


「はぁ!?」


「奴とは闘うな」


「…逃げ切れるのか」


「ここは俺の育った町だぞ?」

「外者の知らない道なんて幾らでもある」


「俺は闘いたいんだがな」


「計画だ」


「…解った」

[斥疾ペロア]」


ヒュンッッ



「…逃がしません」





酒場裏


「はぁっ!はぁっっ!!」


「情けないな」


「こちとら滅多に動かないんだ…」

「管理職だからな…」


「…全く」


「お、来たか」


「[守護神]、連れてきたぞ」


「ご苦労」


「…コイツが軍を裏切ったのか?」

「そうは見えないぞ」


「…あぁ、そうだろうな」

「ロダ、聞かせてくれ」

「何をした?」


「…何もしていない」

「俺は知っただけだ」


「何を?」


「総督の目的を…」

「軍は!奴等は…!!」


グチャッ


「かっ…」


ロダの足首に突き刺さる突岩


「一天・牙刺」


「もう来やがった…!!」


[土壁ベロモ]!!」


ドガァアアアアアアアアアッッ!!


道を覆い尽くす土の壁

白月の進路は[土壁]によって寸断され、キース達と別隔される


「逃げるぞ!」

「奴とは闘わない方が良い!」


「おい!俺が何の為に…!!」


「奴はケタが違う!!」


「Noでもないんだろう!?」


「違う!」

「奴が総督側近になったのは理由は、その実力!!」

「無能力者にしてNoとも張り合える実力を持っているからだ!!」


「…面白い!」


「話を聞け!!!」

「奴とは闘うな!!」


「何でだよ!!」

「実力なんざ…!!」


「違う!」

「奴は…!!」




「…」


壁で音が聞こえませんね

何かを話してるのは解るのですが…


いえ、それよりも

今…、垣間見えたのは[守護神]?

裏切ったのですか?


彼が?


…彼が裏切るのは計算外です

何より彼を失うのは軍にとって不利益

総督に指示を仰ぐべきでしょうか…


シーーーーー…ン


「…音が」


逃げた?


逃がすのは最も失策


「…追わせていただきます」




ベルアの家


ガタンッッ!!


扉を乱暴に開けるダボル

その後ろからはロダに肩を貸したキースが入ってくる


「くそっ…」


「足!大丈夫か!?」


「この程度など…」


「…お前の家か」

「家族は?」


「全員、俺の知り合いの家に行かせた」

「今は誰も居ないはずだ」


「…すまない、キース」


「やめろよ、辛気くさい」

「俺とお前の仲だろう?」


「…すまないな、本当に」

「ありがとう」


「やめろって~」


「仲が…、良いんだな」


「まぁな!」

「軍学校からの付き合いだ」


「…あぁ」


「因みに軍学校でフロラと出会ってな!」


「やめろ、お前の惚気話は長い」


「え?そうか?」


「あぁ、長い」


「そうかなー」

「で、その後は悪ガキを預かったりしてな!」

「忙しかったが、その頃のベルアがもう、可愛くて!」

「いや、今でも可愛いんだぞ?」


「再開しやがった…」


「コイツは妻子最愛だからな…」

「言うだけ無駄だ」


カランッ


「…何の音だ?」


3人の足下に転がっている爆弾


「逃げーーーーーーーーーーーッ!!!」














ガランッ


「がっ…、はっ…」


残骸と化した家の中から這い出るダボル

足に感覚が無く、右肩には木の破片が突き刺さっている


「痛ぇっ…!くそっ…!!」

「[守護神]…!ロダ…!!」

「何処だ…!!」


ザリッ……


「…嘘だろ」


ダボルの手元に居たのはロダ

正確にはロダだった人肉

焼け焦げ真っ黒になり、血すらも蒸発してしまっている


「そんな…」


「…っ」


「…[守護神]?」

「[守護神]!!」


「流石…、タフだなぁ…」


苦笑するキース

しかし、その体には幾つもの鉄骨が突き刺さっている


「お前…!俺とロダを庇ったのか!?」


「能力がギリギリで間に合わなかった…」

「お前しか…、っ」


「おい![守護神]!!」


「探せ!近くに居るはずだ!!」


「!?」


「…やっぱり来やがったか」


「軍の連中!?」

「お前の助けが…!」


「いや…、奴等は敵だ」

「俺とロダを殺しに来た」


「な、仲間だろう!?」


「…知ったのさ」

「俺も、ロダも」

「何処から漏れたかは知らないが…、それがバレた」

「俺は殺される…、家族も」


「家族も…!?」


「…妻も、ベルアも護らなければならない」

「妻のお腹には新しい命もあるんだ…!!」


「…ッ!」


考えろ!!


どうする!?どうする!?

どうすれば、この状況を打破できる!?

死ぬべきじゃないんだ!コイツは!!

死んじゃ駄目なんだよ!!


「…なぁ、[破壊屋]」

「名前を…、教えてくれ」


「ダボルだ!ダボル・ベードガン!!」


「…ダボル」

「俺を殺せ」


「…は?」


「俺を殺せば…、情報の漏洩は無かったと判断されるはずだ」

「家族の身も…」


「じょ、冗談だろう!?」


「…俺は真面目だぜ?」


「嘘だろう…?なぁ?」

「嘘だよなぁ!!」


「…楽しかった」

「じゃぁ…、な」


「嘘だろ!おい!!」

「[守護神]!!!」


「…キース」

「キース・ジャスミンだ」


「キース…」

「…娘が居るんだろ?」

「妻が居るんだろ!?」

「死ぬなよ!生きろよ!!!」


「妻達を護るためなら…、俺は喜んで死ぬよ」


「何を…」

「何を知ったんだ!?お前達は!!」

「総督って何だよ!?」

「白月の背後に何が有るんだ!?」

「なぁ、おい!」

「キース!!!」


「…」


最早、動かなくなった口

その口から滲み出る言葉


「…何、言ってんだ」


信じられるものか


こんな戯言を


「…」


キースはダボルの思想を否定するかのように目を伏せる


「お前は…!!」


「…みだ」


「何だ!?」


「頼み…、だ」


俺を




殺してくれ




「嫌だよ!なぁ!!」

「俺は…!!」


「…ダボル」

「皆を…、護ってくれ」



血で濡れた手がダボルの頬へと触れる


冷たい


もう、永くない



「お前が…、俺を殺している所を…、証明しなければ…、意味が無い…」

「頼…む…」


何でだよ


何でお前みたいな人間が死ななきゃいけないんだよ


何で、どうして



「俺を…、殺してくれ」


…何でだよ




「[岩砲弾]」



何でお前が死ななきゃなんねぇんだよ


どうして俺が





お前を殺したんだよ






読んでいただきありがとうございました

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