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秋鋼  作者: MTL2
198/600

強者を求めて

おもちゃ屋


ピコピコピコピコ


パンパカパーン


「…」


「す、凄いですよ!オジサン!」

「人形が1人でに動いてます!!」


「…俺はオジサンじゃねぇ、っつてんだろ」

「その人形は背中のネジを巻けば動く仕組みなんだよ」


「へ、へぇ…」


「お嬢ちゃん、こんなの好き?」


「は、初めて見るんです…」


「ありゃ、そうなの」


「もっと見てきて良いですか!?」


「うん、いってらっしゃい」




「…」


「1つ、思うんだが」


「…」


「お前ほどおもちゃ屋の似合わない男も居ないぞ」


「聞いてねぇよ」


「無愛想だな、[破壊屋]」


「…テメェ、[守護神]」

「どういうつもりだ?」


「ん?何が」


「俺達は敵だぞ」

「どうして捕縛しない」

「先刻の理由が本当じゃないだろう」


「今、ここで戦っても被害が出るだけだ」

「それにさー!俺がお前に勝てるはずないじゃん!!」


「黙れ」

「今までは俺の攻撃をひょうひょうと躱してきただろう」


「逃げてただけだけど」


「嘘を」


「マジです」


「…」


「…ってのは嘘だ」

「娘が居ると言っただろう」


「…あぁ」


「その子が、あの子よりも幼いぐらいの年齢なんだ」


「…だから、何だ」


「子供を捕まえるのって気が引けるじゃん?」


「はぁ?」


「お前も餓鬼だろ?」

「俺と同年代ぐらいに見えるけど」


「…何が言いたい」


「新婚のオヤジは餓鬼には甘い、ってこった!」


ガッハッハ!と笑うキース

ダボルは彼を見て、ため息をつく


「…お前、どうしてハデスに入った」


「急に尋問か」


「まぁ、オヤジの与太話と思って答えてくれや」


「…俺はな」

「故郷でケンカが一番強かった」


「ケンカぁ?」


「あぁ、そうだ」


「能力使ったのか」


「まさか」

「俺自身に特別な力があるのは知っていた」

「だが…、それはケンカには使わないのが信条だったんだよ」


「ふーん」

「で?それからどうしたんだ」


「ケンカする相手が居なくなって詰まらなくなってな」

「町に出たんだが…、これも結果は同じ」

「雑魚ばかりだ」

「だが、俺にも転機が来てな」

「軍の連中が俺を捕縛しに来た」


煙草を取り出すダボル


「おい、お前未成年だろ」


「…知るか」


「はい、ダメー」


パシッ


「チッ…」


「で?話の続きは」


「…相手は念力系能力者と身体強化系能力者」

「能力を使う人間とは初めて戦ったぜ」


「結果は?」


「完敗だ」

「数秒だか数分だか解らないが…、一瞬で負けた」


「はっはっは!」


「笑ってんじゃねぇよ」

「…次の日にはボコボコにしてやったがな」


「勝ったのか?」


「能力を使った」

「最も、簡単すぎたが」


「…ふむ」

「能力は?」


「言うはずがあるまい」


「尤もだな」


「…だが、人生で初めて負けを味わった」

「最高に高揚した」


「…変態?」


「違う」

「俺より強い人間が居るんだぞ?」

「それも!組織的に!!」

「その下っ端に俺は負けた!!」

「では…、上はどれ程に強い?」

「試してみたいだろう?」

「だから、俺は戦った」


「よくやるねー…」


「気が付きゃ、立派な犯罪者おたずねもの

「まぁ、上等だって話だがな」


「…何でハデスに入ったんだ?」


「「強者と闘りたくないか」」

「勧誘文句が気に入ったんでな」

「入った」

「それだけだ」


「で?結果は」


「満足だ」

「貴様に会えた」


「…」


「尻を押さえるな」


「冗談は置いといてー」

「…俺に1発当てられないようじゃ、Noなんて倒せないぜ?」


「あぁ、そうだろうな」

「俺はまだまだ弱い」


「…強者を求めて、この世界に入ったのか」


「そうだ」


「はぁー…、人生棒に振るねぇ」


「…貴様も、奴等と同じ事を言うのだな」


「ん?」


「俺の人生だ」

「誰が何と言おうと構う物か」

「親だろうが兄弟だろうが恩師だろうが親友だろうが」

「誰1人として俺の人生を決められる者など存在しない」

「身勝手、とでも言うか?」

「身勝手は貴様等だろう」

「育てただけで」

「共に生きてきただけで」

「教養を与えただけで」

「付き合っただけで」

「ただ、それだけで」

「俺の人生を左右しようとする」

「貴様の、その何気ない一言で」

「俺の人生は壊される」

「俺は俺を進む」

「前にも後ろにも道など存在しない」

「有るのは、野原」

「何も無い野原」

「それを進むのみ」


「…教訓、どーも」

「お前って何歳?」


「16」


「…16で、それが解ってりゃ結構だ」

「だが、もう1つ」

「世の中にゃ、どーしても曲がらない事もある」

「それは、どうする?」


「曲げる」


「即答かよ」


「曲げれない物など存在しない」

「ならば、俺は曲げる」

「何であろうとな」


「…その考えが曲がらない事を願うぜ」


「オジサン!あっちにも行って良いですか!?」


「あぁ、気を付けろよ」


「わーい!」


「…随分とはしゃいでるな」


「見るのが初めてなんだろ」


「…こんな所に連れてこなかったのか?」


「アイツは孤児だ」


「孤児?」


「いや、親も居たんだろうがな」

「捨てられていた」

「それをココ…、[吹泡]が拾ったんだよ」


「で、お前が面倒を見さされていると」


「…まぁな」


「ハデスに置いておくのか?」

「一応、マーク対象が増えるんだが」


「…解らん」

「一概に「使えない」とも言い切れねぇんだよ」


「どうして?」


「能力を持ってる」

「戦闘向きじゃないが…、それ以上に」

「能力学に優れている」


「能力学?」


「能力による負傷の医療術」

「そして能力自体に対する知識」


「あの齢で、か?」

「どうしてそんな…」


「さぁな」

「ただ、必死に学んだらしい」


「…ウチの娘にも見習わせるかな」

「あ、プレゼント買うの忘れてた」


「…とっとと買ってこい」


「おう!あの子の意見を参考にするぜ!!」

「…っと!その前に」


「む?」


「俺に言って良かったのか、あの子の事を」

「お前の事を」


「…与太話、なんだろう?」


「ハッハッハ!違いない!!」

「さぁーて!プレゼントを選ぶかな!!」

「の前にぃー」


「何だよ、とっとと…」


「携帯」


「携帯?」


ヒュンッ


「あ」


カチカチカチカチッ


ピー


「ほいっ」


「っとぉ!?」


パシッ


「メアド交換したからな!」

「俺に相談事があったら来い!」


「はぁ!?何を勝手に…!!!」


「プレゼントゥーーー!!!」


ダッッ!!


「逃げやがった…」



少なくとも、この男は信用できない


だからこそ信用できる


「…」


奴は何か、違う


今まで出会ってきた人間とは違う何か


どうして俺は奴に本音を話した?

どうして餓鬼の事を話した?


「…信用しているから?」


会って数時間の人間を?


「…はぁ」


俺も、充分に[適当]って事だな…








読んでいただきありがとうございました

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