ロンドン支部への急襲
休憩室
prrrr
『もしもし?』
「あぁ、茶柱か」
『昕霧様!ご無事ですか!?』
『[食人]と戦闘したと連絡が…』
「今、電話してるのは誰だよ?」
『は、はい!失礼しました』
「…で?アイツの様子はどうだ」
『特に変化ありませんね』
『資料室に通い詰めてます』
『希に布瀬川 蜂土と会話していますが…』
『大凡は毎日同じ行動です』
「…そうか」
「よーく見張れよ」
『了解しました』
プツッ
「…テメーに限って、それはねーって信じてるぜ」
「No,3…」
軍本部
13F資料室
「…」
「また、調べ物ですか?ゼロさん」
「…布瀬川か」
「大した事じゃねぇよ」
「…大した事じゃないのなら」
「重要資料室は開放しませんよ?」
「おいおい、そりゃ困る」
「今日も頼むぜ」
「…何を調べているんですか」
「…」
「貴方の行動は前No,2に酷似しています」
「…妙な事に首を突っ込まない方が」
「俺は裏切らねぇよ」
「しかし…」
「布瀬川、心配するな」
「裏切るぐらいならNo全員にケンカ売ってるぜ」
「やりかねないので冗談に聞こえません」
「と言うか、どちらも裏切りじゃないですか」
「う、うーむ…」
「あぁ、居た居た」
「布瀬川さーん!研究資料が出来ましたよ-!」
「…部下が呼んでるぞ?」
「はい、今行きます」
「…信じてますよ、ゼロさん」
「貴方が馬鹿ではない事を」
「おぉ、信じろ」
バタンッ
「…俺は馬鹿じゃねぇが、頭は良くねぇよ」
ロンドン郊外
路地裏
ドガッ
「ぐぅっ…!!」
『いい加減、吐いてくれない?』
『こっちも暇じゃぁないんだ』
「貴様に吐く情報などない…!!」
『あぁ、そう』
『じゃぁ、人形にでもなってろ』
メギメギメギメギメギ…
「ぎぃやぁああああああああああ!!!」
『何度聞いても良いねぇ、この声は』
モルバは兵の手足を千切り、中身を掻き出す
まるで菓子を折って、中の甘所を吸い出すように
『脳みそも要らない』
ブチブチッ
「いぎっ!!!」
ブツンッ
「ぇあっ……」
『やっと静かになった!』
『さて、後は中身を取り出して~♪』
「…何をしているのですか」
『おや、ヘルン』
『作業は?』
「終わりましたよ」
「…相変わらず、悪趣味な」
『そう言うなよ』
『こっちはコレで戦ってるんだ』
ぐりんっ
『後は中身だけだな』
「…っ」
『どうした?お嬢様育ちは人間の中身も見た事がないのか?』
「…いえ」
「貴方の行動に反吐が出ているだけです」
『言うじゃないか』
『…おっと、話をしている時間はないね』
「…一刻も速く、計画を立て直さなければ」
『その必要はないよ』
「!?」
『既に計画は進行してる』
「何故ですか!?」
「本来なら、ココルが中から手引きをしてロンドン支部を孤立させる計画でしょう!」
「ココルが居なくなった今は…!」
『[吹泡]が負けるのなんて解ってたんだよ』
『あの程度の実力で[守護神]相手に傷を負わせたのが奇跡だ』
「彼を侮辱しないでください!!!」
『クックックック…』
ドゴォオオオオオオオオオオンッッッ!!!
「!?」
『おや、狼煙だ』
「一体、誰が…!?」
『世間知らずのお嬢様が知らない内に計画は進行してるんだよ…!!』
『今、ダボルがロンドン支部の回線を破壊した!!』
『コレで援護は来ない!!』
『人形共ォ!やれッッッッ!!!』
ドゴォオオオオオオオオオオオンッッッ!!!
「また爆発音!?」
『周囲の橋を切り落とし!道路を陥没させた!!』
『コレで完全にロンドン支部は孤立したぜッッ!!!』
「そんな計画…!!」
『何か文句があるか?』
『ここまで来ればアンタの本来の計画と大差ないだろう?』
『早く本部からの救援者を消して来な!』
「貴方は…!!」
『反論するのなら結果を見せるんだな』
『[お嬢様]?』
「ッ!!」
嘲笑い声と共に消え去るモルバ
ヘルンは唇を噛み締めていた
ロンドン支部
支部長執務室
「支部長!」
「解ってる!」
「住民の避難を最優先しろ!!」
「敵とは戦うな!全力で退避!!」
「了解!!」
仮眠室
「…むにゃ」
「ベルアちゃーん、起きなさい」
「ひゃ、ひゃいですぅ!!」
「…あれ?波斗さんは?」
「もう出たわよ」
「そ、そうですか…」
「それよりも貴女も準備しなさい」
「敵襲よ」
「え!?」
「でも、昨日は…」
「…相手も玉砕覚悟ってワケ」
「それか、余程の味方犠牲主義ね」
「味方犠牲なんて…」
「…それよりも!見回りでしょう?」
「戦っちゃ駄目よ?」
「は、はい」
「蒼空君は!?」
「洗面所で顔洗わせてるわ」
「そうですか…」
「私も洗ってきます!」
「いってらしゃーい」
洗面所
バシャバシャッ
「あ、居ましたです」
「蒼空君ー」
バシャバシャッ
「…」
「…蒼空君?」
無言
波斗は顔を水に打ち付ける
何も言わずにそれを延々と繰り返している
「ね、寝呆けてるんですか?」
「…」
「蒼空君?」
殺気
「きゃっ!?」
「うわぉっす!?」
「べ、ベルアさん!」
「あ、蒼空君…」
「今のは…?」
「へ?何がですか?」
「え…?」
(気のせい…?)
「すいません、顔洗ってて気付きませんでした」
「立てますか?」
「だ、大丈夫です!」
びっしょり
「「あ…」」
濡れて透けているベルアの服
「ーーーーーーーッッ!!!」
「す、すいません!!!」
「み、見ないでくださいです!!」
「見ません!絶対、見ません!!」
「見たら殺すです…」
(サラッと怖い事言った!!)
「…」
「…」
「…」
「…」
「…あ、あの」
背を向け合った2人
ベルアが重い口を静かに開く
「私…、何か気に障るような事したですか?」
「べ、ベルアさんがですか!?」
「してませんよ!全然!全く!!」
「そ、そうでしたか…」
良かったです
アレは勘違い
きっと、そのはずです
「…」
「「クロル!?」ちゃん!?」
「…の、惚気なら向こうでお願いします」
「違いますです!!!」
読んでいただきありがとうございました