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秋鋼  作者: MTL2
186/600

バムトの古友

「な、何を…」


「デリビア・フルッソ」

「俺の仕事仲間だった男だ」


「…?」


「デリビアは馬鹿でな」

「その上、役立たず」

「戦闘力はそこそこだったが、軍のやり手と対峙すれば直ぐに負けるような奴だ」

「何より小心者だったしな」


ジッ…


バムトの咥えた煙草から灰が落ちる


「…だが、良い奴だった」

「俺が駆け出しの頃、奴と組んでな」

「馬鹿で役立たず」

「だが…、面白かった」

「俺が敵を殺す度に怯えやがって」

「殺した敵に何度も何度も謝るんだよ」


「どうして…、ですか?」


「馬鹿だから」

「そうとしか言いようがない」


「馬鹿…?」


「…戦場に出てくるような奴じゃなかった」

「金が必要だから、と」

「死体から目を背け」

「殺した相手に頭下げて」

「狂いそうになりながらも」

「生き残った」


黙々と煙草の白煙が空へと上っていく


「…金は家族のためだったらしい」

「貧しい一家でな」

「その時の報酬を随分と喜んでたよ」


「そ、その人が何か…」


「死んだ」

「俺の目の前で」


バムトは煙草を海へと放り投げる


「敵の生き残りの兵が居やがったんだ」

「幸せそうに家族の話するアイツを撃った」

「アイツは崩れ落ちたよ」

「目の前でな」


「…」


「特殊だ」

「アイツみたいな奴は」

「甘ったるい考えを持つ奴なら多々居る」

「だが、それを捨てても…」

「…正常な思考を持った奴は少ない」


「その方と…、モルバ」

「何の関係が…」


「軍新聞」

「アレを一度、見張りに貰った事が有ってな」

「まぁ、盗んだんだが…」

「居たよ、デリビアが」


「え…?」


「軍新聞の一面張っててな」

「[軍要人2名を殺害]と来たモンだ」

「アイツはそんな事できねぇ」

「それに、俺がアイツの家族の前で埋葬してやったはずだ」


「…モルバが彼を掘り起こした、と?」


「そう踏んでる」

「死人を蘇らせるなんて不可能だろう?」


「…確かにそうですが」


『事実だよ』


「!」


「…お前が人形師か」


『正しくは、その人形』

『モルバ・ゾバットだ』


「…バムト・ボルデクスだ」

「デリビアを…、知っているな?」


『知らないね』


「…何?」


『今は名の有る兵士を集めているが、そうじゃない時期も有った』

『とにかく雑兵が欲しかった』


「…手当たり次第に漁った、と?」


『そうなるかな』


パキンッ


(人形の頭が…!!)


「デリビアは雑兵じゃねぇよ…」


『それは失礼』


「…まだ居たのか」


『幾らでもね』

『お陰様で、準備が整ったよ』


「解りました」


「何の準備だ?」


「作戦です」

「そろそろ、私達も行きましょう」


「…人形師!」


『何かな?』


「デリビアの体は返して貰うぞ」


『…戦いが終わったらね』





ロンドン支部


機械室


「結局、見回り…」


「ドンマイやなぁ」

「ほなけど適任やろ?」

「五眼衆の時も見回りだったそうやないか」

「地形覚えとる?」


「え、えぇ、大凡は」


「安心やな!」


「…あの、響さん」


「何や?」


「どうして[破壊屋]討伐に立候補したんですか?」




数時間前


支部長執務室


「蒼空は見回りで決定だな」


「えー」


「いやいや、織鶴さん…」


「まぁ、当然ね」


「どっちですか」


「事実、蒼空は前回も見回りに任命してるからな」

「前よりも経験は増えてるだろうし、戦闘許可するぞ」


「何だろう、全く嬉しくない」


「戦闘とは要っても、足止めか威嚇だぞ?」

「本気でハデスの奴等と戦闘して勝てるかどうかは怪しいだろうからな」


「…波斗は決定ね」

「じゃ、他はどうする?」

「1人1殺じゃ、誰が誰に行くかは決めるべきでしょう」


「私はパスな」


「解ってるわよ」


「…[破壊屋]」

「ワイは[破壊屋]に行くで」


「響は[破壊屋]ね」


「待て」

「俺も同じく[破壊屋]に行かせて貰いたい」


「…何や?ソルナ」

「因縁でもあるんか」


「…恩人の夫が」

「コイツに殺されてるからな」


「すまんな」

「ワイもや」


「…あの人、貴様にも頼んでいたのか」


「流石、悪女や」

「1人や信用できんってか」


「…師を侮辱するな」

「あの方は確実に、と貴様にも頼んだに過ぎない」


「悪女は否定せんのか?」


「否定する余地が有るのか?」


「…お前って時々解らんわぁ」


「で?どうするのよ」

「1人に2人とか無理よ?」


「ワイが行く」

「ソルナ、コレばっかりは譲ってくれんかいな」


「…こればかりは」


「頼む」


「…解った」

「俺は[吹泡]に行かせて貰おう」


「…俺は[人形師]だ」


「あら、私も[人形師]狙ってたんだけど」

「航空機内でのお礼をねー♪」


「駄目だ」


「!」


「俺が行く」


「…珍しいわね、雨雲」

「アンタが、ここまで頑なになるなんて」


「…ワケ有りだ」


「…じゃ、私は[切り裂き]ね」

「馬常は?」


「ぐーー…」


「「「「「「「…」」」」」」」


「ネギは味噌で…」


ゴッッッッ



「じゃぁ、俺は[盲目]ね…」


(アレ、能力発動の鉄拳だったよな…)

「あ!あの人はどうするんですか?」

「バムトとか言う…」


「…そうね」

「全員で叩く?」


「そうすべきだろう」

「ハデスの一員を倒した者から奴を捜索し、叩く」


「決定だな」


「そ、そんなに強いんですか…」


「まぁ、当時とは言えNo,1を倒すぐらいだし」


「俺は、その相手に行かさせられようと…?」


「「「「「「…」」」」」」


「目を逸らさないでください…」



現在


機械室


「…お前には聞かせれんなぁ」

「アホな事されたら困るんはワイや」


「…そうですか」


「…」


言えるはず、ないやろ

お前の友人の親父さんがそいつに殺されたから、や

言えるはずないねん


「…どうして機械室に?」


「ここに顔見知りが追ってな」

「ワイも若気の至り?って言うんかいな」

「そういう時期も有ったねん」


「遊んでたんですね」


「何でそうなる!?」


「いや、見た目と雰囲気で」


「お前なぁ…」


「…来ましたか」


黄の混じったブラウンの髪

髪と同じ目の色

頭に掛けたゴーグル

油で汚れた作業着


「この人は?」


「ゼイル・ファミア」

「ここの作業員や」


「待ってましたよ」


「取りに来たで」

「アレが有ったら移動が楽やけんな」


「…まさか自転車!?」


「いやいやいや」

「ワイの愛車に違いないねんけどな」


ガラガラガラ…


置くから引っ張り出されてきたのはバイク

黒く、大きなバイクで綺麗に塗装されており新品のようで有る


「おー!しっかりメンテしてくれたんか」


「それが仕事ですし」

「まぁ、そのお陰で仕事が数倍に増えやがりましたけどね」

「死ねよ」


「そう言うなて~!」


(この人から彩愛さんと同じ匂いがする…)


「コレな、ワイがこっちで居った時の愛車やねん」

「懐かしいわぁ~」


「…彼は?」


「あぁ、蒼空 波斗や」

「連れてきた」


「へぇ…」


じろじろと波斗を見回すゼイル


「な、何か…?」


「…祖チン野郎」


「!?」


「何や?」


「やっぱり男はキモいですね」

「死んじまえです」


「…コノヒトコワイ」


「口は悪いんや」

「根は良ぇ奴やから、勘弁したってな?」


「コワイノヤダ」


「トラウマになっとるなぁ…」




読んでいただきありがとうございました

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