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秋鋼  作者: MTL2
180/600

食人

地下牢


「…大きい炎」

「でも温い」


「…」


少しずつ後退る防銛

彼女は困惑していた


攻撃が効かない…?


如何なる火力の攻撃も効かないのだ

頭に撃とうと、体に撃とうと、何処に撃とうと

攻撃は直撃しない


「…チッ」


「能力は飽きた」

「次、肉食べたい」

「女の子の肉」


「…死ね」


ボガァンッッ!!


「飽きた」


ガプンッ


(また…!!)


「けぷっ」

「温い」


「…そうか」

「能力を食ってる」


「そう」

「だから[食人]」

「でも能力だけじゃない」

「人も食う」


「…なら」


キィイイイイイイン


高周波のような張り詰めた音

音と共に防銛の手に赤い光が集中する


「爆炎…!!」


「…食う」



支部長執務室


コンコンッ


「失礼します」


「あぁ、ソルナか」

「響との話は終わったのか」


「はい」

「時間を与えていただき、ありがとうございました」


「何、お前の要望だからな」

「信用してるぞ」


「…コイツが?」


「ソルナ・キューブ」

「現[守護神]だ」


「…へぇ」

「先代と先々代以外がオッサンだったからな」

「テメーみたいな餓鬼に勤まんのかよ」


「舐めるな」


「…フンッ」

「口だけは一流だな」


「貴女に言われたくはない」


「…あ?」


「やめろ、ソルナ」


「…失礼しました」


ドォオオオオオオオオオオーーー…ンッ


「…爆音か」


「地下ですね」


「私が見てくる」


「良いのか?」


「そこの馬鹿に[No,4]を見せてやるよ」


「…ここを壊さないでくれよ」


「保証はしねーよ」


バタンッッ!


「…怒らせるなよ」


「事実を言ったまでです」


「ソルナ…、言っておく」

「確かに彼女はNo,3にもNo,2にも劣る」

「No,2の部下にも遅れを取った」

「だが軍で4番目に強いのは事実だ」


「…信じがたい事です」

「私は最近まで牢獄に居ましたから、彼女の情報は耳にしていません」


「…彼女はな」

「閉所での戦闘を好まない」

「逆にな」

「開所での戦闘では[無敵]とまで言われている」

「どうしてだと思う?」


「…いえ」


「単純に能力故の物だ」

「彼女の能力は応用力と威力にこそ特化しているが、場所が限られてしまう」


「つまり、条件さえ揃えば…」


「そうだ」


「…見せて貰いましょう」

「彼女の実力を」



地下牢


バタァンッ!


「おや?防銛さん」

「牢での面か」


ばくんっ


見張りの男の上半身は一瞬にして[食人]の腹へと収まる


「やっぱり男は硬い」

「不味い」




地下階段


「…」


カンカンカンカンッ


階段の無機質な金属音が周囲に鳴り渡る


走ろうとも、防銛は子供

防銛の3歩は大人の[食人]ことワースの1歩

ワースは歩いているが防銛は走っている

必然、防銛は体力を消耗し始める


「はっ…、はっ…、はっ…」


「息切れてる」

「早く食べたい」


「…くそっ」


どうする?


このまま逃げ続ける?

相手の能力も特性も解らないんじゃ、話にならない

と言うか、牢を普通に破って出てきた

今まで捕まっていた?

自己的に?


…囮?


「追いついた」


「!!」


パクンッ


「…食べられなかった」


「ーーーっ」


毛先を食われた


今は逃げる事に集中すべきだ

奴は能力も人体も[食ってる]

それをたんぱく質などの栄養素にでも分解してる?

体の何処かで消費してる?


「待て」


「…」


考える暇さえ、くれないか


ボゴォンッッ!!


防銛の能力によって、階段が焼け落ちる


「無駄」


ばくんっ


階段を燃やす炎すらも、ワースの腹へと収まっていく


ガンッ


ワースは階段の燃穴場を飛び、向かいの階段へと飛び移る


「掛かった」


「え?」


ボゴォンッッ!!


「…あー」

「やられた」


ワースの1歩先の階段が焼け落ちる

彼は前後の燃穴場によって挟まれた形となった


「…」


ワースは動けない

防銛は動けない彼を的に見ている


後は簡単

止まっている3m先の的に弾を撃ち込むだけ


「…死ね♪」


「断る」


ばくんっ


ワースの前の炎も彼の腹に収まる

だが、それだけでは窮地を脱出する術にはならない


炎尽弾フォルック


イート


ドドドドドドドドドドドドドドドドドッッッ!!


バガガガガガガガガガガガガガガガガガンッッ!!


防銛から放たれる幾百の炎弾

それ等を腹へと納めていくワーム


ドンッー…


ばくんっ


「…チッ」


「不味い」

「腹は膨れても不味くちゃ意味が無い」


「…死ねば腹は減らない」


「名案」

「だけど無理」


「…」


楽しい


「…もう少し、遊ぼ?」


「え?」


困惑するワース


当然だ

つい、今の今まで殺し合いをしていた少女の発した言葉とは思えない


「…えっと」

「何するの」


「遊ぶの」


「…うーん」


まるで、大人と子供のやりとり

子供の無邪気さに困惑する大人

大人に相手をして貰っている子供


「…」


情報と違う


ハデスの一員であるワース

彼にも今回の敵である防銛の情報は入っていた


残虐な狂った子供


色々と情報を得たけども一言で表すのならコレだ

コレ以上の的確な言葉も、そうそう無いだろう


「遊ぼーよ-!」


「うぅん…」


何て答える?


罠?


策略?


どうして、こんなに無邪気になった?


おかしい

妙だ

変だ

怪しい


「遊ぼうよ-!」


「…何するの」


「遊ぶの!」


…だから

何をして遊ぶのか、って聞いてるのに


「ころすの」


「…?」


「殺すの」

「殺すの」

「殺すの殺すの殺すの」


「…あ」


「殺すの殺すの殺すの殺すの殺すの殺すの!!!」

「殺すッッッッッッッッッッッッッッ!!!!」


「…嫌だなぁ」


なぁんだ


やっぱり


狂ってるんじゃないか



読んでいただきありがとうございました

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