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秋鋼  作者: MTL2
179/600

敵取りの頼み

ベルアの家


1階


「…夫、か」

「あの人を殺したヤツが解ったんやな?」


「えぇ、そうなの」

「前「守護神」のあの人が負けるほどの手練れよ~?」

「任せても…」


「愚問や」

「アンタ等には育てて貰ろぉた恩が有るねん」

「何でも任せぇや」


「…そう」


「ほなけど、アンタは?」

「元とは言え[守護神]やろ?」


「私は、もうオバサンだからね~♪」

「相手にすらならないと思うわ~」


「…ほうか」

「で、誰やねん」

「元[守護神]のアンタが相手にならん」

「前[守護神]の旦那さんが負けた相手ってのは」


「[破壊屋]ドルフ・スタンダウィ」

「元、傭兵よ~」


「…何で名前を知っとんかいな?」

「軍の資料にゃ…」


「独自に調べたの~」

「軍には言えない方法でね~♪」


「さ、流石やな…」

「…いや、そこまでせなアカン相手なんやな」


「そうよ~」

「…お願いできるかしら?」


「任せぇや」

「…と言うより」

「やらせぇや」


「…流石ねぇ~」

「私と彼が認めただけは有るわ~♪」


「…ほな、もう1つ」

「墓参り…、させてくれんかいな」


「…駄目なのよ~」

「お墓…、無いから」


「はぁ?」


「体が無いのよね~…」


「…体が無い?」

「何でや?」


響は机に出された茶を飲もうと持つ


「…人形師に盗られたのよね」


ピシッ


「人形師…?」


「恐らく人形にされちゃったわね~…」


「…ほうか」

「死体も取り返して来たる」


「頼れるわ~♪」

「でも、コップは割らないでね~?」


「…こりゃ、すまん」


ドタドタドタドタッッッ!!


「…何の音や」

「上か?」


「騒がしいわね~」

「青春かしら♪」


「青春ってなぁ…」



2階


「…ははっ」


「ちがっ!違うんですぅうううううううう!!!」


「いや…、ははっ」

「…はっ」


「嫌ぁああああああああああああああ!!!」



遡る事、数十分前


空き部屋


「…何と言うか」

「古風と言うかですね」


「ご、ごめんなさいです!」

「暫く掃除してなかった物ですから…」


「あ、あぁ!そうでしたか」


「こ、ここに座ってくださいです」


「は、はい」


「…」


「…」


「…リンデルに会ったんですよね!」


「あ、会いましたよ」

「一斑と仲良くやってるみたいです」


「良かったです」

「人見知りをする子ですから」


「あははは、俺も始めは避けられてましたよ」

「別れ際は口きいてくれましたけど」


「蒼空君に懐いたんですか!」

「やっぱり私と似てるです♪」


「…似てる?」


「かかかかっか!顔がですよ!!」


「あぁ、なるほど」

「お母さんとも似てますね」

「容姿は母譲りですか?」


「はい!」


「そう言えば、お父さんはお仕事に?」


「…父は」

「死にましたです」


(しまっ…)

「…すいません」


「い、いえ!気にしないでくださいです!!」

「リンデルが生まれる前でしたですし、実感が沸かないって言うか…」

「何て言うか…」


(マズっちまったなぁ…)


「ご、ごめんなさい!変な空気になっちゃったですね!」

「お茶でも持って来るです!!」


「は、はい…」

「…えっと、お手洗いは?」


「オテライ?」


「…トイレは」


「あぁ!トイレですね!!」

「部屋の右です!」


「あ、ありがとうございます」


ぱたんっ


部屋から逃げるように外へ出る波斗



廊下


(…馬鹿だなぁ、俺)


家族が居ない事が、どれだけ悲しい事か解ってるはずなのに

無闇に聞いて良い事じゃないって解ってるはずなのに…


(ほんっと馬鹿だ…)


出て右、だったな


ガチャッ


「…何コレ」



空き部屋


「お茶…、取ってこなきゃ…」

「…あれ?」


出て右の部屋


私の右の部屋がトイレ

じゃぁ、空き部屋の右は?


「…」


バタァンッッッ!!



廊下


「蒼空君ーーーーー!そこじゃ…」


「…えっと」

「コレは…、一体」


開けられた扉

そこから見える本当のベルアの部屋

壁に貼り付けられた波斗の写真

写真立てにも、机にも


「 」



時は戻って現在


「…ははっ」


「ちがっ!違うんですぅうううううううう!!!」


「いや…、ははっ」

「…はっ」


「嫌ぁああああああああああああああ!!!」


「…トイレは右でしたね」

「ははっ…、はっ」


「蒼空君!違うんですってばぁああああああああ!!」


「何や何や、うるさいのぅ」


「どうしたのかしらぁ~♪」


「ママぁあああああ!」


「響さん…」


「…あらあら」

「見られちゃったの~♪」


「狙ってたんですかぁっ!?」


「…ウフフフ~♪」


「マァアアアマァアアアアアアア!!」


「怒っちゃ嫌ぁよ~♪」


「何や?何を見られ…」

「…うわぁ」

「ベルア、流石にコレはなぁ…」


「いやぁあああああああああああ!!!」


「発狂するで、コレ」


「仕方ないわねぇ~♪」

「あ・お・ぞ・ら・く・ん♥」


「へっ?」


ボキンッ


「かっ…」


ドサッ


「数十分間の記憶を飛ばしたわぁ~♪」


「マ、マ、マ…」


「…流石やな、悪女」



ロンドン支部


女子寮


「おっとっと…」


「大丈夫か?馬常」


「ん…、大丈夫」

「よく持てるね…、俺より多いのに」


「何、大した事ではない」


姿を覆い尽くす程の荷物を持つ馬常と雨雲

馬常は覚束ない足取りだが、雨雲はしっかりとした足取りで歩いている


「お疲れ様です」


「僚艦殿、荷物に過不足は無いか?」


「えぇ、ありませんよ」

「申し訳ないですわね、買い出しに行って貰って」


「いや、暇だったからな」

「構わないでくれ」


「俺も暇だったし…」

「何よりロンドンを見回れて良かったよ~」


「そうでしたか」

「…No,4は?」


「昕霧はロンドン支部に居る」

「ウェスタと話をしているそうだ」


「そうですか」


「がうっ!」


「おやおや、出てきたんですね」


「へぇ、虎」

「珍しいね~」


「えぇ、私が旅行先で拾いまして」


「「拾った」…?」


ドォオオオオオオオオオンッッ!!


「…何の音だ?」


「爆発音だねぇ…」


「支部の方ですね」

「お願いします」


「…行くぞ」


「はいはい…」

「仕事だからね…」



読んでいただきありがとうございました

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