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秋鋼  作者: MTL2
177/600

同じ

「罪人が!発見された!!」

「この女は!罪人の娘であるにも関わらず!!」

「今まで逃げ続けていた!!」

「コレは罪!!」

「紛れもない罪だ!!」


詳しくは覚えていない

父に呼ばれたから行った

村の中心の首吊り台


ミアが台に立っていた

父に首を掴まれて


「…どうして」


どうして?

何故?


「…」


ミアの口が動いている


「…な」


おはな


「…お花」


あぁ、そうか

あぁ、そうだ


ミアは花を見るために倉庫を出たんだ

太陽を、川を

見るために


俺のせいだ

余計な事を言ったから


俺のせいだ


俺の


「罪人を刑に処す!!」


地に手をついて

顔を上げて見えたのは

首を吊ったミアだった




現在


応接室


「…父を殺した」

「村人も」

「ミアも」


「…ほー」


茶を啜る響


「…何とも言えんなぁ」

「運命が悪かった、としか」


「あぁ、そうだろうな」

「運命だ」

「誰も悪くない」

「誰も悪くないからこそ、悪いんだ」


「…後悔しとるんか」


「しているさ」

「自分を呪うほどに」

「だが…、皮肉な話だ」

「呪うべき過去のお陰で、俺は今、生きている」


「ウェルタのド阿呆に拾われたんやろ?」


「…あぁ」


「…ほなけど、ホンマにほれだけか?」

「ロシアの大監獄なんざ、身内殺しや他の罪だけで入るような所ちゃうで」


「鋭いな、鬼」


「褒めとるんか?」


「あぁ、褒めてるさ」

「…見せた方が早いだろう」


バシャッ


「っっぷぁ!?」

「お前なぁああああああああ!!」


「何、嫌みで茶を掛けたんじゃない」

「[神は怒り狂う]」

「[愛した妻の死に]」

「[時は無惨で残酷]」」

「[時を憎んだ神は]」

「[時を殺した]」


コポンッ


「…はぁ?」


響の服は濡れていない

茶は器の中に入っている


「…何や、コレ」


「時間を巻き戻した」


「お前っ…!!」


「能力を知っている者なら、誰でも解るだろう」

「この行為の重大さが」


「時間に干渉した言うんか…!?」

「No,3ですら時間に干渉する為に能力を多重操作しとるねんぞ!?」


「何故、それを知っている」


「…」


「口が軽いな」


「…うるさいで」


「その事は極一部しか知らないはずだ」

「能力すらも伏せられている人間だぞ?」


「…言うたやろ」

「[同じ]やて」


「…そういう事か」


「禁術やな」

「ほれは」


「…そうだ」

「俺は村を出てから人体実験から植物実験まで…」

「行える限りの実験を行った」

「そして、呪言を進化させた」

「呪言全書はいわば俺の研究所だ」


「…ほうか」

「牢獄にブチ込まれた理由はほれやな」


「少し度が過ぎた」

「屑共とは言え、人間という事を忘れていたんだ」


「能力犯罪者で反応の人体実験かぁ…」

「…悪役っぽいねんな」


「[悪役]で済ませてくれるなら有り難い物だ」


「…ほりゃ、結構」


「さて、聞かせて貰おう」


「ほの前に1つ確認や」

「ウェルタが言よった囮計画…、発案はお前やろ?」


「…よく解ったな」


「…ほうか」

「いや、コレはワイが知りたかっただけや」

「信用の足る人間かどうか…、見極めたかったけぇのう」


「…足りない人間だと判断されたかな」


「ハッ!解りきった事言うなや」

「足りると判断したるわ」

「下手に隠すような人間よりも、の話やけどな」


「有り難い事だ」

「…さて」


「ワイの過去やろ?」

「えー?話すん?」


「…交換条件だろう」


「怒りぃなやって」

「冗談や、じょーだん」


「私は、あまり冗談らしくない冗談は嫌いだ」


「…ノリ悪いのぅ」

「ほな、話したるわ」

「…やりたい盛りだったねん」

「以上!!」


「おい、待て」

「話が見えない」


「…え?何コレ」

「言わなアカンの?」


「…言いたくないのか」


「プライド的にな」


「…言え」


「えぇー…」


「…[神は]」


「わぁった!わぁった!!」

「言うからやめぇや!」


「そうか」

「本当は誘言呪言など無いが」


「…お前なぁ」


「[じょーだん]だ」


「…はぁ」

「…ワイの護符術はなぁ」

「お前と同じ人体実験で強うなったねん」


「だろうな」

「能力において強化条件は」

「[時間]と[経験]と[実験]だ」

「特異条件を覗けば、だが」


「ワイもなぁ、ホンマ後悔しとるねんで?」


「何をしたんだ」


「…人体反応」

「性感帯の」


「…すまない」

「少し、口調を崩しても良いか」


「?」

「良いで」


「屑が」


「…ハイ」

「ワイもやりたい盛りやったねんて」


「…で?本当の理由を言え」


「…騙せんか」

「ワイが知りたかったんは、どうやったら女を満足させられるかやないで?」

「どうやったら…」

「人間を簡単に殺せるか、や」


「…」


「あん時、ワイは欲しかったねん」

「何より[材料]が」

「ほなから狩った」


「…故に[鬼]」


「たった数千人やで?」

「まぁ、全員能力者やったが」


「能力者を数千人…?」


「…ワイなぁ」

「能力者狩りに参加してん」


「…!!」


「聞いた事ぐらい、あるやろ」

「能力者の一斉掃除」


「…それで数千人か」


「[鬼]は心外やけどなぁ」

「ほなけど、ワイは犯罪者しか狙っとらんで?」


「せめてもの良心か」


「な?[同じ]やろ」


「それだけか?」

「[同じ]の理由は」


「…いんや」

「言おか?」


「いや、まだ俺にも未練は有ってな」

「やめてくれ」


「…ほりゃぁ、残念や」

「で、ワイが性感帯を調べたんはな」

「人間を内側から破壊するためや」

「泣き叫ぶ奴も、狂った奴も居った」

「…あの時のワイは、どんな顔しとったんやろうかなぁ?」


「…ふむ」


「ほなけど、死体処理が面倒でなぁ」

「外から壊す方法も調べたんやけど…」

「そっちの方が効率的と解ってな」

「結局は無駄足」

「[経験]が増えただけやったで」


「それは結構」

「…この度の戦闘でも期待して良いな?」


「あぁ、良ぇで」

「任せぇや」


「…そうか」

「[同類]が居ると安心する物だな」


「…ほりゃ、良かったがいな」




読んでいただきありがとうございました

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