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秋鋼  作者: MTL2
174/600

守護神

浜辺


「…来た」


空を埋め尽くす機体

黒煙を上げ、浜辺へと向かってくる


「…うーん」


機体速度が速いなぁ…

このままじゃ危ないかも…


響の護符術も、何処まで和らげられるかなぁ…

…んー、どうしようかな

流石に俺の能力を使っても無理だろうし…


それに、何より…


ゴォオオオオオオーーーー…


「…起動がズレてる」


このままじゃ海に墜落しちゃうね…

海に墜落したら、衝撃が和らがないから…


…マズいなぁ


「退いてくれないか」


「…誰?」


「[守護神]だ」





航空機内


「起動がズレてませんか!?」


「…おいおい、マジかよ」

「このままじゃマズいぜ」


「…右翼の風力が微妙に遅れた」

「原因は…、それ」


「…雨雲さんが原因だってのか?」


「それ以外、考えられない」

「所詮は無能力者」


「…取り消せよ」


「何か、私が間違った事を言った?」


「馬鹿は死ななきゃ治らないらしいな…」

「[冥殺の]…」


「ケンカすんなや!!」

「ほんな状態やないねんで!?」


「…」


「…」



prrrrr



「「!」」


2人の沈黙を裂く電話音


「も、もしもし?」


『あぁ、蒼空君…』


「ば、馬常さん!」

「外から掛けてるんですか!?」


『いや…、今は着地地点に』

『響に護符術を発動して貰って』


「は、はい!」

「響さん!!」


「任せぇや!!」

「和、撃、柔!!」


ふわっ


「出来ました!!」


『…うん』

『じゃぁ、後は衝撃に備えて』


「皆さん!!」

「衝撃に備えてください!!」

「墜ちます!!」



航空機外


左翼


「…あの男は?」


海に腰まで使っている1人の男

遠目でも馬常ではないと解る


「…」


「…何かを言っているの?」


「織鶴ーーー!」


「何!?雨雲!!」


「起動がズレている!!」

「このままでは…!!」


ガクンッ


「「!?」」


航空機は急速に向きを変える


「何!?」


「解らない!!」

「だが、あの男に吸い寄せられている!!」


「あの男は…!?」


オレンジの髪


「…まさか」

「[守護神]!?」



ペキッ


「…まぁ、そろそろよね」

「雨雲!!」


「こちらもだ!!」

「備えろ!!」


「…解ってるわよ」


バキャンッ


ボルトが1本、上空へ


「…ジェットコースターよりタチが悪いわ」


ベキンッ


バキンッ


2本、3本と


(翼が…、折れる)


バキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキキンンッッ!!


ベリンッ


「…後は任せたわよ」


ビュオンッッッ!!


折れた翼と共に

織鶴と雨雲は空高く飛ばされていく





浜辺


「[神よ、我を捕らえよ]」

「[神よ、我を引き寄せよ]」

「[我は貴方の御心のままに]」

「[この命すらも、貴方が為に]」


(…初めて見る)

(コレが[守護神]である彼の能力…)


「[貴方の創りし法則の下に]」

「[今、ここにそれを引き寄せる]」


[呪言クロステア]…)


「…来るぞ」


「はいはい…」


ガァアアアアアアアアアアアアアアアアアアンッッッ!!!!


馬常と男から紙一重で向きを外す航空機

多くの人形が衝撃によって吹き飛んでいく


「このままじゃ衝撃を吸収しきれない…」


「解っているさ」

「[人は力と知恵、2つの物を持った]」

「[然れど、神はそれを許さない]」

「[神は仰有られた]」

「[力と知恵、どちらかを選べと]」

「[我は知恵を選ぼう]」

「[故に神は力を召し上げられた]」


ゴゥウウウウン…


「…へぇ、凄いね」

「物体の方向力まで吸収できるんだ…」


「…伊達に技では無い」


海から上がってくる男

オレンジの髪

黒黄の濁った瞳

右目から頬にかけてまで施された入れ墨

右腕には[Guardian]の文字


「…流石は[守護神]だね」


「…奴等を迎えるぞ」

「乗客の安全を確認してくれ」


「んー…、その役目は任せて良いかな」

「俺は飛ばされた2人を探さないと…」


「その心配はあるまい」

「流石は雨雲 卯月と織鶴 千刃だ」


ザバッザバッ


「最悪よ!私の服が潮塗れ!!」


「…無傷で助かっただけマシだろう」


「無事だ」


「…あの2人が人間っていうのが信じられないね」


「それについては同感だ」


「お前等も人間じゃねぇよ…」


「…支部長」

「居たのですか」


「ずっと隠れてたわ!!」

「お前等!真横を航空機が墜落してんだぞ!?」

「何で平気なんだよ!!」


「…何となくですが」


「俺も、そんな感じかなぁ…」


「お前等…」


「ウェルタぁ…?」


「ひっっ!!」


「アンタが用意してくれた航空機に敵が紛れ込んでたわよ…?」

「どういう事かしらぁ…?」


「い、いや!俺も計算外だったんだよ!!」

「怪しまれないように一般客とは同じにしたんだが…」


「その時点で原因でしょうが!!」

「私達の顔は波斗と馬常を覗けば、全員割れてるのよ!?」


「…支部長」

「嘘はいけない」


「ちょ…」


「…[守護神]ね」


「ソルナ・キューブだ」

「貴女の噂は聞いている」


「随分と、まぁ…」

「お堅い事で」


「…それが長所である、と思っている」

「馬常 轡」

「この着地地点、及び人形は…」

「…貴方が?」


「…ん、まぁ」


「流石だ」

「私の目に狂いは無かった」


「照れるねぇ…」


「雨雲 卯月」

「貴方に至っては…、言うまでもないか」


「…そうか」


「…して、No,4と貴方達の部下は何処に?」


「「あそこ」」


織鶴と馬常が指さした先は航空機


「…なるほど」

「[人々は皆、恐れる]」

「[水は脅威である]」

「[人々は皆、崇める]」

「[水は生命の源である]」


シュゥウウウ…


「黒煙が消えた…?」


「…沈火した」

「救助を」


「流石ね」

「ウェスタが監獄から連れ出しただけはあるわ」


「…」


「…おい」


「あら、言わない方が良かったかしら」


「当たり前だろ」


「だったら、私達にも言ってくれるわよね?」

「あの航空機に乗せた、本当の理由を」



読んでいただきありがとうございました

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