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秋鋼  作者: MTL2
173/600

落下

「に、人形…!?」


「人形師め…」

「着地地点を見切ってやがったわね」


「マズいですよ!!」

「もう馬常さんと雨雲さんが翼に待機してます!!」


「解ってるわよ」


「…機体の着地の衝撃で壊せば良い」


「駄目よ、防銛ちゃん」

「全部は壊せないわ」

「着地した瞬間に総攻撃を加えられて必ず誰か死ぬ」

「少なくとも一般人の乗客は、ね」


「マズいんじゃねーのか」


「マズいわよ」

「…そうね」


ガシャァアアアアンッッ!!


「ま、窓を!?」


「馬常!!!」


「何ー…?」


「着地地点に人形が群がってるわ!!」

「このままじゃ降りられないわよ!!!」


「…ん、解った」

「織鶴、翼を支える役目…、お願いしても良いかな」


「…アンタは?」


「傘ってさ…」

「パラシュート代わりになるよね」


「…解ったわ」

「任せなさい!!」


織鶴は窓から左翼へと飛び移る


「織鶴さん!」


「能力を使えば大丈夫よ」

「アンタは窓を能力で防ぎなさい」


「は、はい!」

「死なないでくださいよ!!」


「誰にモノ言ってんの?」


「…そうでした」



左翼


「…この距離よ?」


「まぁ…、頑張るよ」


「アンタが飛び降りて人形を殲滅させる」

「…そうね?」


「ん…、正解」

「傘で風速軽減するから…」

「昕霧の能力の範囲は大凡掴んでる…」


「…流石ね」

「でも、幾ら貴方でも無理でしょう?」

「あの量の人形は」


「…能力使うから」


「[本当]の?」


「…やっぱり気付いてたんだ」


「伊達に元No,4じゃないわよ」

「何処かの現役Noのくせに能力を見抜けないような馬鹿と一緒にしないでよね」


「あははは…」

「貴女になら…、隠さなくても良いみたいだね」

「[同じ]だから…、さ」


「…何の事かしら?」

「一瞬で終わらせなさい」


「…無茶苦茶、言うね」

「俺が着地して、暫くしたら合図するから…」

「その時に昕霧に能力を解除して貰って」


「解ったわ」

「頼んだわよ」


「アイアイサー…」


トンッ


ビュォオオオーーー…



「…昕霧!」

「私が合図したら能力解除しなさい!!」



浜辺


「きききっっ!!」


浜辺を埋め尽くす億千の人形

全ての人形が武装している


ヒュゥウウウーーーー…


「…きぃ?」


空に映る1つの黒点


ボフンッ


「開始ー…」


ヒュォッ


馬常は傘を上空へと投げる

開いた傘からは数十本の鉄棒が飛び出る


「能力発動…」

「…鉄乱雨」


ギャリンッ


「キケケケケケケケッッ!!」


鉄棒は高速回転を始める

傘の外周を高速で回転し囲む


「当たればバラバラだよ…」

「…準備は良い?」


ギュルルルルルルルルルルルッッ!!


ふわりと馬常の手に傘の柄が落ちてくる


「1秒で5体が…、妥当かな」



航空機内


バタンッ!


「下で誰か闘っとるで!!」

「遠ぉて、よぉ見えんけど…」


「…馬常だろ」


「アイツかぁ!?」

「凄いんやな…、見た目によらんで」


「私達は織鶴の合図で開始するぞ」

「全員、客に救命胴着を着せろ」


「わ、解りました!!」


「おい、響」


「何や?」


「この術、乗務員だけ解くのを遅らせろ」

「[飛行機が停電して、高周波が原因で音が寸断された]」

「[よって墜落したが、無事に不時着]」

「[しかし、機長達は残念ながら死亡してしまった]」

「コレがストーリーだ」


「…流石、悪知恵が回るなぁ」


「うっせーよ」

「お前も客に着せろ」


「了解や」



ロンドン支部


支部長執務室


「何!?」


「間違いありませんです!!」

「西部の浜辺に、No,4達を乗せた航空機が墜落しかけてるのです!!」

「しかも、その浜辺には[人形師]の物と思われる人形の群れが…!!」


「おいおい、冗談だろう…!?」


「冗談では無いですよ!」

「ウェスタさん!早くしないと…!!」


「解った」

「ベルア!お前はクロルと隊員数名を連れて周辺の住民避難だ!!」


「人形の群れはどうするのですか!?」


「[守護神]を連れて行く」


「…!」

「解りました…!!」


「行くぞ」


「はいです!!」



浜辺


「…そろそろかなぁ」


ドォーーーー…ン


空高く打ち上がる鉄棒


「…俺も避難しなきゃなぁ」



航空機外


左翼


「合図よ!!」


「了解した」


ギギギギギ…!!


織鶴と雨雲により、両翼が垂直に向きを変える


「昕霧ーーーーっ!!」



航空機内


「…[空壁]解除」



ヒュォオオーーーー…



航空機外


左翼


「…来るわよ」


ーーーーーー…ゥ


ゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッッッッ!!!


「…っっ!!」


凄まじい轟音

鼓膜が裂ける程の音と織鶴でも身を仰け反る程の強風


「身体強化っ…!!」


全身の筋肉を強化し、体制を整える


くらっ


「…ぐっ!!」

(耐えなさい…!眠るな…!!)


織鶴の能力発動条件

それは睡眠

昕霧と同じように、異様に使えば、その分のツケは回ってくるのだ


「がぁあああ…!!」


ベキベキベキッ…!!


(後は耐えるのみ…!!)



右翼


ゴォオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!


「ぐっ…!!」


凄まじい轟風だ

体が仰け反る…!


「…むぅ!!」


だが、耐えろ

俺が失敗すれば、皆が死ぬ

失敗するわけにはいかない





『[雨雲 卯琉]』

『聞き覚えの有る名前だろぅ?』





「…!!」


駄目だ!

余所事を考えるな!!




『[雨雲 卯琉]』





「やめろっ…!!」




『[雨雲 卯琉]』




「違う…!!!」





「兄様」

「どうしてですか」




「違うッッッッッッ!!!」



ゴォオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッ!!!




左翼


「…今の声、雨雲?」


アイツが取り乱してる?

まさか、雨雲が?


…世話が焼けるわね




右翼


「違うっ…!違うんだ…!!」



「何が違うの?」



「俺は…!!」



「私を」



ゴガァンッッッ!!


「かっ!?」


雨雲の頭部にボルトが直撃する


「いい加減に集中しやがれ!!糞野郎ッッッ!!」


「…すまない、織鶴」


ギギギギギッ…


右翼が徐々に垂直になっていく


「…情けないな」

「感謝する…!!!」






読んでいただきありがとうございました

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