空の急襲
航空機内
「…何か、凄いメンバーですね」
「皆さんは組むなんて珍しいですね」
不機嫌そうに航空機内に並列して座っている7人
織鶴、響、波斗、防銛、馬常、雨雲、昕霧の順で座っている
「総督命令だ」
「…今回の相手に興味があってな」
「家で暇してたらゼロに「行ってこい」って言われた」
「いっぱい殺せるって聞いたから」
「昕霧に無理矢理連れてこられたんや」
「…それぞれですね」
(ってか「殺せる」って何!?)
(この子、メッチャ怖いんですけど!!)
「そろそろ飛行機が発つわよ」
「忘れ物はないわよね?」
「「「「「「無い」です」」」」」」
ピーン
『間もなく、ロンドン行き航空機が離陸します』
『シートベルトを締め、席をお立ちにならないようにしてください』
「…結構、飛びましたね」
「もう陸が見えへんな」
「雲の上ですね」
「ほうやなぁ」
「…一斑とリンデルちゃん、元気ですか?」
「元気やで」
「ピンピンのバッリバリや」
「バリバリて」
「…」
「…」
「…なぁ、蒼空」
「何ですか?」
「その、肩にもたれ掛かっとうモン」
「重ぅないか?」
「…まぁ、少し」
「ー…」
満足そうに眠る防銛
波斗の肩にもたれ掛かり、静かに寝息を立てている
「…ーあ」
「そうか、あの子か」
「知っとんか?」
「えぇ、はい」
「俺が初めて軍本部に行ったときに会った子です」
「門でぶつかっちゃって…」
「…よぅ殺されんかったなぁ」
「殺されるんですか!?」
「…まぁ、コイツの病状らしぃてな」
「簡単に言やぁ人殺しがしとうなる病気や」
「…そんな病気が」
「本人の気にしとぉらしいんやけどな」
「こんな小さい子がなぁ」
「…そうですか」
「…ーん」
「?」
「重い…」
「重い?」
「夢にうなされとんか?」
「…雨雲さん」
「む?何だ」
「そこの防銛ちゃんにもたれ掛かって寝てる人」
「除けてください」
「すまない」
「俺も、もたれ掛かられていてな」
「下手に動けないのだ」
(雨雲さんの肩ぁ~♥)
「えぇ…」
「ちょ、馬常さん」
「起きて起きて」
「まだ朝じゃない…」
「起きねぇ…」
「どうするんや?」
「この子が起きて馬常の頭吹っ飛ばしたら…」
「…やめてくださいよ、縁起でも無い」
「馬常さーん、起きてくださいよぉー…」
「重いぃ…」
「布団から出たくないぃ…」
「…響さん」
「何や?」
「あれ」
「護符術」
「殺っ…、やっちゃってください」
「…バレんよぅに出来っかいな」
「バレたら私が始末してあげるわ」
「安心してやりなさい」
「お、織鶴、起きとったんかいな…」
「てか、余計に不安度が増したで…」
「頼みます!響さん!!」
「…お、おーし」
「やるでぇ~!」
「小、鳴、お…」
ドォオオオオオオオオンッッ!!!
「…えっ」
「な、何だ!?」
「揺れたぞ!!」
「きゃぁああああああ!!!」
「…」
「…」
「さよなら、響さん」
「さて、と」
「天国と地獄、どっちに逝きたい?」
「ま、待てぇや!」
「今のワイちゃうで!!」
「見苦しいわね」
「ホンマやって!」
「術、発動しとらんもん!!」
「…はぁ?」
「じゃぁ誰が…」
ベタンッッ!!
「ぐぎぎぃぎぎ…」
窓に張り付いた人形
醜悪な見た目と腕に付いた凶器の数々
「…織鶴さん」
「解ってるわよ」
「起きなさい、馬鹿共」
「…っ」
「朝ご飯は味噌汁で…」
「敵襲か?」
ゴンッッ!!
「…起きた」
「敵よ」
「響」
「任せぇや!」
「黙、視、聴」
キィイイイイーーーーーー…ン
「…良ぇで」
「な、何したんですか?」
「ここに居る能力者以外の視覚と聴覚を封じたのよ」
「コレで戦えるわ」
「船が落ちますよ!?」
「心配せぇでも、機長室は外しとる!!」
「で、でも、こんなところで戦ったら…!」
「それについても、問題ないわよ」
「昕霧!」
「解ってるよ!!」
「[空壁]!!」
ヒュゥウウウウーーー…
「空気の壁で包んだ!」
「コレで風は無効化できる!」
「そういう事よ」
ボゴンッッッ!!
織鶴の拳撃により、航空機に大穴が開く
「雨雲!」
「あぁ」
ドンッ!!
織鶴のかけ声と共に、雨雲は外へと飛び出す
「雨雲さん!?」
「大丈夫よ」
「アイツなら不覚は取らないでしょ」
「そ、そうじゃなくて…」
「風は昕霧が相殺してるし、一般人は響が抑えてるわ」
「馬常」
「何…?」
「まだ眠い…」
「アンタはね」
「…」
「…解った」
「波斗と防銛ちゃんは…」
ドタッ
「キキキッ…」
「ギィ…」
「あの客になりすましてた人形をぶち壊しなさい」
「…解りました」
「…」
「私は…、そうねぇ」
「本体でもぶっ殺しに行こうかしら」
「本体…?」
「相手が人形なら、操ってる野郎も居るのよ」
「そいつを殺せば万事解決でしょう?」
「で、ですね…」
(この人も、やっぱり怖ぇ…)
「…あの2人は?」
「能力使用者だからね」
「不測の場合に備えて貰うわ」
「…解った」
「じゃ、頼んだわよ」
「が、頑張ろうね!防銛ちゃん!!」
「死ね」
(酷い…)
航空機外
右翼上
「人形師の使いか」
「ぎぎっっ!」
(既にしゃべれる状態では無い…)
「楽にしてやろう」
鞘から刀を抜く雨雲
「ギギェッエッッ!!」
ガキィイイインッッ!!
人形は凶器を右翼に引きずりながら、雨雲へと斬りかかってくる
「ギケケケケケケケケケケッッッ!!!」
「時雨」
キィーー…ン
「ぎけっ」
吹き出る血
転がる頭
「…せめて、楽に」
『甘いねぇ!雨雲 卯月ぃ!!』
「…」
切り落とした頭
パクパクと口を開け、言葉を発している
「人形師だな?」
『そうだ』
『テメェの甘ったるい行い、反吐が出る!!』
「黙れ、外道」
『「外道」ォ?』
『おいおい、それはお前にも言える事だろぅ?』
「…戯れ言など、聞くつもりはない」
『[雨雲 卯琉]』
「!!!」
『聞き覚えの有る名前だろぅ?』
「…」
『ひっひっひ!お前が』
ドスッッ
『ぎっ…けっ…』
「もう良い」
「今、変わった」
『何…が……だ…?』
「標的は切り裂きジャックではない」
「貴様だ、人形師」
『楽し…み……にし…てるよ……』
ガァンッ!
雨雲は頭を壁へと叩き付け、砕き割る
「…何故、知っている」
「人形師…」
読んでいただきありがとうございました