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秋鋼  作者: MTL2
168/600

甘さ

「…何だったんッスかね?」


「言っていただろう」

「協定だ」


「協定って言っても…」

「確かに俺等は最大反軍勢力とは言われてるッスけど」

「ハデスって言ったら、そこそこ有名ッスよね?」


「そうなのか?」


「知らないんだゼ」


「え?何それ」


(この人達は…)


「霊魅」


「何スか?」


「この死体を埋めてやれ」


「…埋めるんスか?」


「これは使い古され、原型こそ留めていないが…」

「ロンドン支部長の直属部下、[守護神ガーディアン]だった男だ」

「勇猛なる戦士には敬意を表すべきだろう」


「橋唐さんのそういうトコ、好きッスよ」


「…気色悪い」


「じゃ、裏にでも埋めてくるッス」

「…名前は刻むべきッスかね?」


「やめておけ」

「人形に名前などない」

「俺が敬意を表すのは、あくまで人形と化す前のコイツだ」

「人形に敬意など表さん」


「…複雑ッスね」







「埋めてきたッス」


「ご苦労だ」


「ちゃんと墓標は作ったッスよ」

「名前は無いけど」


「…それで良い」


「痛っ」


「ど、どうしたんッスか!?祭峰さん!!」

「まさか敵に…」


「爪、深く切り過ぎちゃった…」


「何でコイツがリーダーなんだ?」


「俺に聞かないでくださいッス」






旅館


菊の間


「卓球は引き分けだな」


「ですね」

「さて、鉄珠の仕事に卓球台代が加算されましたが…」


(擦り付けやがった…)


「…もう午後6時?」

「早いわね」


「本当ですね」

「楽しい時間が過ぎるのは早いというか、何というか…」


「だが!明日も滞在するのだろう!?」


「明日も遊べるの-!?」


「…そうでも無いのよね」


「「「?」」」


「実は軍本部に緊急招集かけられたのよ」

「全く!これじゃ軍勤務時と変わらない扱いじゃない」


「収集ですか?」


「そうなのよ」

「私と、もう1人」

「…誰にしようかしら」


「鉄珠は除外ですね」

「働いて貰わないと」


「その鉄珠は?」


「殺った貴方が言いますか」


「…テヘッ♪」


「と、なると火星か蒼空ですね」


「俺か蒼空君か…」

「…蒼空君なんて良いんじゃないか?」


「お、俺ですか?」


「良い経験になると思うよ」

「君は確かに色々な事を経験してきたが、まだ未熟だし」

「経験を多く積む事に損は無いと思うんだ」


「は、はぁ」


「…ま、火星の割には良い事言うわね」

「波斗で決定!」


「はい…」

(決定した…)


「では!お前達は明日、帰るのだな!!」


「まぁ、そうなるわね」

「帰るというか、軍本部に直行だけど」


「では、我らは残って楽しむとしよう!!」

「海水浴もまだなのでな!!」


「はいはい、楽しんでらっしゃい」

「波斗、荷造りしときなさい」


「は、はい!」


ガララ


ピシャンッ!


「…火星のくせに気が利いてるわね」


「ありがとよ」


「む!?どういう事だ!!」


「…遠ざけたかったんだろう」


「起きた?雨雲」


「2日酔いも回復した」

「もう大丈夫だ」


「それは何よりね」


「何を蒼空から遠ざけたかったのだ!?」


「…ま、難しい話になりそうだし」

「彩愛」


「はい」

「楓ちゃん、別室を取ってますから、そこで寝ましょう」


「えー!」


「早く寝ないと明日は遊べませんよ?」


「ぅ~」

「…寝る」


「良い子ですね」

「寝ましょう」


ガララ


ピシャンッ


「で!遠ざけたとは何だ!?」


「霊魅でしょ?」


「…あぁ」

「蒼空君の頭からいち早く彼の記憶を消したいんだ」


「何故だ!?」

「敵なら覚えていた方が良いだろう!」


「違うわね」

「敵で共闘関係に在ったからこそ、よ」


「何故だ!?」

「一時的な関係だっただけだぞ!?」


「それでも彼にはダメージが大きい」

「彩愛の話だと、随分と入れ込んでいたみたいだし」


「…蒼空は俺達のように場数を踏んでいない」

「[一時的]な共闘でも感情を移入し過ぎるんだろう」


「単純的に言えば[甘い]」

「人としては立派で正常でも…」

「戦場に置いて、それは命取りだ」


「今、波斗にそれを学ばせるのは速いわ」

「だからこそ、別の場所に身を置かせて意識を逸らさせるのよ」


「ふむ!なるほどな!!」

「だが!良いのか!?」


「何が?」


「万が一!次の戦場で奴が再び現れ、蒼空と接触したらどうする!?」


「…まぁ、それは無いでしょ」

「事前の参考資料が届いてたんだけどね」


パラッ


「…[切り裂きジャック]?」

「[ハデス]?」


「そうよ」

「祭峰側とは別組織なの」


「その、切り裂きジャックがボスなのか?」


「いいえ、コイツはボスじゃないわ」

「エースってトコかしら」


「エースか…」

「…切り裂きジャック?」


「ナイフ使いのね」

「興味有るんじゃない?雨雲」


「…ふむ」


「別に良いわよ?」

「着いて来たいんだったら着いてくれば」


「良いのか?」

「先刻は[1人]と…」


「別に1人[まで]なんて言ってないでしょ」

「アンタだけなら戦力として充分だし、軍も作戦程度練り直すわよ」


「…言葉に甘えるとしよう」


「鎖基、火星」

「アンタ等はここで休養してなさい」


「監視…、の間違いじゃないのか?」


「…ふん」

「頼んだわよ」


「任せてくれ」


「うむ!!!」





ロンドン


裏通り


「俺はァ~♪ジャック・ザ・リッパ~♪」

「夜にィ~♪生きるゥ~♪人斬りさ~♪」


「ぐっ…!かっ…!!」


「血とォ~♪肉がァ~♪」

「俺を駆り立てるゥ~♪」


「やめてくれ…!」

「命だけはぁ…!!」


「ジャック・ザ・リッパァ~♪」

「血もォ涙もォ無いィ~♪」


ドスッッッ


「ぎゃぁあああああっっ!!!」


「人殺しさァ~♪」


『あーぁ!』

『その体は貰うって言ったのに!!』


「~~~~~♪」


『…聞いちゃいないねぇ』

『ジャック!ジャック!!』


「…何だよォ」

「折角、良い感じに歌が乗ってたのに」


『その体は私が貰うと言っただろう!?』


「忘れてたねェ」

「謝るよ」


『コイツ…!』


「体が欲しいなら、俺の体を使うかい?」


『…要らないよ!そんな呪われた体!!』


「おォィ!酷い事言うねェ」

「呪われてなんかないさァ」

「この[祝福された体]はねェ」



読んでいただきありがとうございました

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