記された5つの武器
ゴボゴボゴボッ!!
(マズい…!!)
息が続かない!
流れが速い!!
溺死するのか!?
いや、傷が…
…溺死じゃ傷は負わない!!
ヤバいヤバいヤバい!!
本格的にヤバい!!
ゴボンッ
(…何の音だ?)
ゴボゴボッ
「…?」
ぬぅっ
「!!??!?!?!?!?」
突如、波斗の目前に現れた影
(サメッッッ…!?)
(食っーーーーーーーー!!!)
遺跡最深部
「…ごほっ!ごほっ!!」
「む!生き返ったぞ!!」
「死んでないッスよ…」
「ぶはぁっっっ!死ぬかと思ったぁ!!」
「いやー、死んでなくて良かったッス」
「いや、マジで死にかけたけど…」
「水はともかく、サメが…」
「それは奴だぞ!」
「…霊魅?」
「…俺の能力ッス」
「サメの血が…、体に流れてるんッスよ」
「他にも何匹か…」
「…混血?」
「そんな軽いモンじゃないッスけどね…」
「この血は…、化け物の血ッスから」
「気持ち悪いじゃないッスか、こんな血」
「ん?あぁ、そうだな」
「…軽い反応ッスね」
「だってなぁ…」
「人の事は言えないし、別に気持ち悪いとか思わないし」
「…何でッスか」
「似てるような子を知ってるから、な」
ガタンッッ!!
「誰ッスか!!!」
「!?」
「誰なんッスか!それは!!」
「お、落ち着け!」
「どうしたんだ!?」
「…すいませんッス」
「その子は俺と同じなんッスか?」
「あ、あぁ」
「狼になるんだ」
「狼…」
「…だけッスか?」
「だけと思うけど…」
「…奇怪神 怪異さんのトコの子供ッスね?」
「あ、あぁ!そうだよ」
「知ってるんじゃないか」
「…あの人なら安心ッス」
「良かったぁ~…」
へたりと膝をつく霊魅
「…お前が助けてくれたんだよな」
「ありがとう」
「…どういたしまして、ッス!」
「無事で良かったな!!」
「はい」
パンパンッ
響く拍手音
「馴れ合いは終わりだ」
「お前は…!」
「は、橋唐さん!!」
「何処に行ってたんッスかぁ!!」
「…え?」
「この人が先輩の橋唐 兎氏さんッス!!」
「無愛想な顔してるけど、優しいんッスよ?」
「言う必要など無い」
「コイツは俺と接触した事がある」
「2度、な」
「ありゃ?まさかの顔見知りッスか!」
「敵対関係で、な」
「…へっ?」
「私達は軍の人間ですよ」
「蒼空も、鎖基も」
「あ、彩愛さん…!」
「全く、勝手に居なくならないでください」
「探しましたよ」
「どうして、そっち側に!?」
「一時的な協力関係です」
「現在継続ですが」
「協力…?」
「ここに来るまでの護衛を、ですよ」
「それはそうと…」
石碑を見上げる彩愛
「…興味深いですね」
「さて、交換条件だ」
「解読してくれ」
「…無駄ですよ」
「…何?」
「既に解読されてますし、解読しても無意味です」
「どういう意味だ」
「コレは五紋章に関係してません」
「いえ、正確には関係してるのですが…」
「…焦慮させるな」
「要するに、コレは五紋章を使った儀式の図案です」
「何の儀式だ」
「…言えませんね」
「何故?」
「言えば、私達は死ぬ事になる」
「軍の総勢力を持って」
「…厄介な情報か」
「えぇ、間違いなく」
「話が見えんぞ!!」
「黙れ、阿呆」
「貴様の出る幕では無い」
「何!?」
「彼の言う通りですよ」
「黙ってください」
「うむ!解った!!」
「…黙れ」
「うむ!!」
「…」
「黙るぞ!!」
「…さて」
((諦めた…))
「この儀式図案は既に解読されたと言っていたな」
「誰が解読した?」
「さぁ?そこまでは解りませんよ」
「ただし、解読痕が有るのは確かです」
「…では、収穫は図案だけか」
「そうなりますね」
「…で、どうします?」
「何がだ」
「互いの協力関係を繋ぎ止める物は無くなりました」
「戦いますか?」
「…貴様は戦闘しないのに、よく軽々しく言えるな」
「何か問題でも?」
「…いや」
「今回はコイツの顔を立ててやる」
「お、俺ッスか…?」
「蒼空と戦いたいなら戦わせてやるが?」
「っ…」
「貴様もそうだろう?蒼空 波斗」
「…あぁ」
「帰るぞ」
「罰として徒歩で帰ってこい」
「えぇええええええ!?」
「じょ、冗談ッスよね!!」
「…冗談に聞こえるのか」
「…聞こえないッス」
「た、霊魅!!」
「…何スか」
「俺とお前は…」
「…敵同士なのか?」
「…そうッス」
「…そうか」
「…」
「…」
「話は終わりか?」
「早く帰るぞ」
「入り口が変わらない内にな」
「…はい?」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!
「また地鳴り…!!」
「始まったか…」
「動かないでくださいよ」
「死にますから」
「!?」
グラッ
「じ、地面が移動してる!?」
「ど、どうなってんッスかぁ!!」
「揺れているぞ!!!」
ゴゴゴゴ…
「…地面が変わった」
「これが入口が解らなかった原因ですよ」
「島の周囲の海流は激しい」
「だが、海流は規則的だ」
「そのために海流に乗った島の部分が一定時間で移動する」
「そして、形を成す」
「そ、そんなカラクリが…?」
「漁師も近付かないワケですよ」
「船が海流と島の断片に飲まれてスクラップ化しますから」
「それで近付くな、って事ですか…」
「尤も、予想外なのは…」
「海流によって、この石碑が変化する事だ」
「…コレは」
石碑に映し出された絵画
そこに映し出されたのは5つの武器
「太刀、双銃、鎚、斧、大剣…?」
「5つの武器ッスね…」
「…なるほど、コレがな」
「?」
「それ以上は言わないでくださいよ、橋唐」
「厄介ですから」
「…そうだな」
「帰るぞ、霊魅」
「は、はいッス!」
「霊魅!!」
「…」
「…助けてくれて、ありがとう」
「…はいッス」
ドンッッッ!!
「うわっ!?」
一帯を豪風が吹き荒れる
恐る恐る目を開けた2人の前に橋唐と霊魅はもう居ない
「…私達も帰りましょう」
「充分な収穫です」
「…はい」
「もう動いても良いのか!?」
「お望みとあらば、そこで一生固まっててください」
「是非とも遠慮しよう!!!」
読んでいただきありがとうございました