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秋鋼  作者: MTL2
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終劇と始幕

『自体は終息し、住宅街などの安全確認が…』


「ふぅ…」

「終わったぁ-!!」


「何だったのかしら、今回の事件」


「詳しくは解らねぇが、終わったのは事実だ」

「もう帰って良いぞ」


「あ、お世話になりました」


「気にすんな」

「蒼空、森草を送ってやれ」


「はい!」



道路


(蒼空と2人きり…!!)

(コレってデ-ト!?)


「委員長!ボ-っとしてどうしたの?」


「え!?か、考え事よ!?」

「あのお店、何だったの!?」


「え-っと…」

「俺のアルバイト先」


「万屋だってね」

「大変じゃないの?」


「まぁ…、大変かな」


「そう…」


「大丈夫?委員長」

「顔が赤いけど」


「す、少し熱気味だから!!」


「熱?」


コンッ


波斗の額が森草の額に触れる


「!!!」


「熱は無いみたいだけど…」

「何か…」


「ふにゅう…」


ドサッ


「委員長ぉぉぉ!?」

「何で倒れて!?え!?」

「病気!?何かの!?」

「誰か!誰か医者ぁああああああ!!」


「リア充め」

「お前は仲間だと…!!」


「蔵波!?」




「あ-、そうかそうか」

「俺の勘違いだったな」


「お前の御蔭で助かったよ…」


「コレでも医師志望だからな!」

「熱の有無とか病気の予兆とかは大抵解る」


「良かったぁ…」


「後はゆっくり休ませろ」

「疲れと緊張から来るモンだからな」


「ありがとう、蔵波」

「…何で蔵波が?」


「家に帰る途中だよ」

「偶々見つけた」


「そうか…」


「で、委員長はどうする?」

「ここの近くに休ませる場所はないし…」


「学校まで行くよ」

「あそこなら…」


「駄目だ」

「今、学校はMrヘルメットマンと暴走した生徒との乱闘で壊れたのを修理してる」

「それに…、死人も出たらしい」


「そ、そうか…」

(Mrヘルメットマンって俺…?)


「って事で学校は無理!」

「お前は後で説教されるだろうけど」


「え!?」


「先生の忠告を無視して外に飛び出した馬鹿は誰ですか-?」


「…はい」


「俺と熊谷まで連帯責任だよ!全く!!」

「…まぁ、良いけどよ」


蔵波が森草のポケットを探り、財布を取り出す


「有った有った」


「おい!何してんだよ!?」


「馬鹿が、委員長の住所を調べてんだよ」

「財布の中には生徒手帳が…、入ってるな」

「コレ、住所」


「?」


「そこまで運べ」

「俺、帰るから」


「えぇ!?」


「俺達が怒られたのは誰の所為ですか-?」


「…すいません」


「それの罰だ」

「運べよ」


「う、う-ん…」



森草家


「ここ…、だよな」

「委員長-、着いたけど-」


「う…、うぅん」

「もうちょっと寝かせて…」


「委員長~…」

「…どうしよ」


「んぁ?誰だ」


「え?」


森草の家から出てくる男

ダボダボのTシャツとジ-パンを着用している

履いているのは下駄

若く25歳前後の顔立ちと髪

口に咥えた煙草が妙に合っている


「委員長の…、お父さん?」


「だぁ-れが」

「コイツの…、アレだ」

「兄貴」


「そうなんですか…」


「テメェこそ誰だよ」

「人の妹背負って」

「アレか、彼氏か」


「彼氏じゃ…」


「お兄…?」

「お兄ちゃん!?」


「お-お-、眼が覚めたか」


「蒼空!?何で背負って!!」


「いや、気絶したから…」


「気絶!?」

「そう言えば…」


森草の脳内に先刻の光景がフラッシュバックする


「にゅぅ…」


「委員長!?」


「取り敢えず上がれや」

「茶でも出すからよ」


「ど、ども…」



「ほぅ、妹は迷惑かけたな」


「いえ、別にそんな…」


「か、感謝はしてるわよ…」


「…」


「…」


「ズズズズズズズズ…」

「ゴクッ」


「…」

(気まずっ!!)


「もぉ、いいや」

「帰れ、お前」


「え?」


「用事済んだだろ」

「俺もコイツに用事が有ってな」

「悪ぃな」


「は、はい」

「御茶!ありがとうございました」


「おう、粗茶で良かったら、また来いよ」


「はい!」



バタン


「帰ったか」


「あんな言い方!」


「まぁまぁ、落ち着けよ」

「お前のアドリブ、助かったぜ」


「何で私が貴方の妹なのよ…」


「悪かった、落ち着けよ」

「俺だってブチ切れ寸前なんだけどよ」


「気持ちは分かるけど…」


「矢毘詩は良い奴だった」

「ちとイカレてた部分も有ったがな」


「…うん」


「確かに俺達は自殺行為に等しい事をやってる」

「だが、それでもやらなきゃならねぇ」

「解ってるな?森草」


「…解ってるけど」


「アイツと戦うのは嫌か」


「当たり前でしょ…」

「中学校時代から…、一緒だったし…」


「…お前はまだ幼い」

「高校生っつても、まだ戦場に立たせる年齢じゃ-ねぇかもな」

「五眼衆の一員としても、だ」


「…貴方は」

「貴方はどうして戦場に立つの?」


「復讐」

「それだけだ」

「俺は[憤怒]の称号を与えられた」

「矢毘詩の[娯楽]、ファグナの[混沌]、レットラの[慈愛]」

「皆、称号と仲間の想いを背負って戦ってんだ」

「だが…、お前には戦いよりも別の道がある」


「え…?」


「お前、五眼衆を抜けろ」


「そんな!!」


「心配するな」

「ボスも許してくれる」


「でも!そんなの…!!」

「皆を裏切る事に…!!」


「裏切れ」

「お前はまだ死ぬな」


「ッ…!!」


「今回の計画は上手く行ったさ」

「軍も気付いちゃいねぇ」

「だが、軍の奴等を見て解った」

「俺達は勝てない」

「負ければ全員が軍の刑務所行きだろう」

「だが、お前と五眼衆の関係を抹消さえ出来れば、お前は…」


「嫌!!」


「…」


「確かに!戦うのは怖い!!」

「だけど!だけど…!!」

「ずっと!小さい頃からボスにはお世話になったし!!」

「恩返しもしたい!!」


「抜ける事が恩返しなんだよ」

「いい加減に解れ」


「それでも…!!」


「良いのか」

「アイツと戦う事になっても」


「…良い」

「蒼空との戦闘は極力避けるけど」

「もし、その時は…」


「…そうか」

「そこまで言うなら何も言わねぇよ」


「…ありがと」


「コレも[選択]か?」


「そうね、選択」

「私は背負ってるから」


「…後悔はするなよ」

「選択の森草よ」



読んでいただきありがとうございました

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