調査メンバー
旅館
「へぇ、こんな所に旅館があったのか」
「ここで待ち合わせしてるのよ」
「さて、と」
prrrrrr
『もしもしー?』
「あぁ、楓ちゃん?」
「今、何処に居るのかしら」
『旅館だよー!』
『菊の間に居るから!!』
「はいはい、解ったわ」
「すぐに行くからね」
『うん!』
プツッ
「楓ちゃんが出たんですか」
「楓ちゃんしか携帯持ってないのよ」
「…え?」
「あの馬鹿2人は携帯すら持ってないわ」
「…」
菊の間
ガララララ
「来たわよ」
「雨ぐ………」
雨雲に押し倒された楓
彼はピクリとも動かず、楓は押し倒されたまま手を振っている
ゴッッッッッ!!
(雨雲さんを蹴り飛ばしたぁあああああ!?)
「大丈夫!?楓ちゃん!!」
「何もされてない!?」
「大丈夫だよ-!」
「本当!?本当に大丈夫!?」
「貞操は無事!?」
「ていそう?」
「落ち着け、織鶴」
「それ以上は言うな」
「それにしても、雨雲が楓ちゃんを襲うとは考えにくいですね」
「どうしたんでしょうか」
「どれどれ、っと…」
「…寝てるぞ」
「寝てる?」
「…波斗」
「はい?」
「食堂、有ったでしょう」
「見てきなさい」
「わ、解りました」
食堂
「何で食堂なんだ…?」
「美味いな!!!」
「…このうるさい声は」
「鎖基さんだよなぁ…」
「む!?蒼空ではないか!!」
「どうしたのだ!?」
「いや、織鶴さんに食堂を見てこいと言われまして…」
「多分、貴方を連れてこいって事ですよ」
「うむ!そうか!!」
「この飯を食べ終わったら行こう!!」
「はい」
菊の間
「…鎖基、答えなさい」
「うむ!何だ!?」
「雨雲に酒を飲ませたわね?」
「うむ!暑かったのでな!!」
「冷酒を飲ませたぞ!!」
「…アンタね」
「雨雲が酒に特別弱いの、知ってるでしょ」
「そうなのか!?」
「…この馬鹿に物事を覚えさせる方が間違いね」
「危うく楓ちゃんが襲われる所だったわよ…」
「何!?そうなのか!」
「誰に襲われるのだ!?」
「だから、酒で酔っ払った雨雲に」
「誰が雨雲に酒を飲ませたのだ!?」
「いや、アンタが…」
「だが、どうして雨雲は酒を飲んだら楓を襲うのだ!?」
「それは酒に弱いから…」
「何!?では、誰が酒を飲ませたのだ!!!」
「…」
「待て織鶴、落ち着け」
「能力発動させんな、マジで」
「…む」
「起きましたか?雨雲さん」
「蒼空か…」
「…という事は秋鋼が来たんだな」
「はい」
「どうして俺は気絶して…」
「…あぁ、そうか」
「酒を飲んでしまったか…」
「お酒、苦手なんですね」
「昔な…、幼馴染みに飲まされた頃か…」
「あの時から酔いやすくなってしまった…」
「幼馴染みさんに?」
「うむ…」
「未成年だったが…、祝い事が有ったのでな…」
「酒には…、うっ」
「大丈夫ですか?」
「2日酔いが…」
「早っ!?」
「あら、起きたの」
「…迷惑を掛けたようだな、織鶴」
「すまない」
「気にしなくて良いわよ」
「それよりも仕事の話に移りましょ」
「あぁ…」
「…さて、っと」
「今回の仕事は遺跡調査よ」
「遺跡調査か!」
「それなんだけどね」
「彩愛と波斗と鎖基に行って貰うわ」
「…他は?」
「火星と鉄珠は旅館の手伝いよ」
「宿泊料金の代わりに働くんだから、しっかり働きなさいね」
「宿泊料金は!?」
「勿体ないでしょ」
「それに、今回はどっかの馬鹿のせいで計画が丸崩れよ!」
「元はどういう計画だったんですか」
「彩愛達と、さらに雨雲に行って貰おうかと思ってたのよ」
「だけど、コイツがこの状態じゃあね…」
「すまない…」
「…俺達は?」
「え?別に変わらないけど」
「「…」」
「私は楓ちゃんと一緒に居るから」
「織鶴さんは行かないんですか?」
「行けないのよ」
「…私じゃ不適応だし」
「?」
ガララララ
「お食事をお持ちしました」
「あら、ありがとう」
「話は終わりにしましょ」
「取り敢えず飯だな!!」
「鎖基さん、先刻も食ってましたよね…」
「腹が減っているのだ!!」
「どんだけ減ってんですか!!」
「あー、うるさいわね」
「とっとと食べましょ」
「美味しそうだし」
「わーい!」
「高そうな料理ですね」
「高いわよ」
「一番、良いの頼んだし」
「金もそれなりにしただろう」
「あぁ、気にしないで」
「この2人が働いて返すから」
((今月中に帰れるだろうか…))
海岸
「夜ともなると、水が暗いな」
「だが、水面に映った月が美しい」
「なぁーんか、洒落てるッスね」
「どうしたんスか?橋唐さん」
「美しい風景を見ると、何とも言い難い感情に浸る」
「貴様に、そういう感情はないのか」
「俺、そういうのは感じないッスよ」
「普通に海にしか見えないッス」
「…ふん、美的感覚の無い奴め」
「酷いッスね!」
「俺だって美的感覚ぐらい有るッスよ!」
「ならば、何に感じる」
「…女性の裸体ッスね」
「下衆め」
「男なら当然ッスよぉ!!」
「全く、貴様と言う奴は…」
「…着いたぞ」
「あの孤島ッスね?」
「あぁ、そうだ」
「遺跡がある」
「じゃ、俺は先に行くッスよ」
「俺も後で向かう」
「じゃ、後で」
「あぁ」
メキメキメキ…
月に照らされた男
その姿は歪に変形し始める
「かっ…ぁ!!」
バキンッ
「疲れるッスねぇ、やっぱり」
「…幾度、見ても奇っ怪な姿だな」
「そう言わないで欲しいッスね」
「俺だって寝ぼけて、この姿を見たときは泣きそうになったッスよ」
「…フン」
「では、行け」
「はいはい、行ってくるッスよ」
「遺跡へ、ね」
読んでいただきありがとうございました