神社へ集合
九華梨神社
ドドー…ン
祭り特有の大太鼓の音が響く
体の奥底に響く、この音は好きだ
(現時点、6時30分か…)
集合は7時
だが、言い出しっぺの俺が誰かよりも遅れるわけにはいかない
30分前行動は当たり前だろう
「…俺が馬鹿なのか」
「だろうな」
ただし、5時間前行動する馬鹿より遅れて来るのは良いと思う
「…女子が来るってだけで5時間待ちぼうけ」
「結果、足が筋肉痛になって動けなくなった蔵波君」
「君は馬鹿かね?」
「いいや、馬鹿だ」
「馬鹿馬鹿言うなよ…」
「俺だってさ…、5時間は馬鹿だと思ったよ」
「せめて4時間とかさ…」
「同じだ、馬鹿」
「だってぇ…」
「うわぁー、可愛くねぇ」
「どうする?あと30分はあるし、湿布でも買うか?」
「その間に女子陣が来たらどうするんだよ…」
「男として…、死ねる」
「お前なぁ…」
「女子が来たら治るから…」
「絶対…、治る…、うん…」
「その根拠は何処からだよ…」
「お待たせ-」
「来たぁああああああああああああっっ!!!」
「皆のお待ちかね、熊谷だよー」
「あああぁー…」
「うわー、テンションの下がり様がハンパじゃない」
「女子陣が連れてきたよ」
「よくやったぁああああああああ!!!」
「そしてこの上がり様」
「女子来たぁあああああああああああああ!!!」
「花ぁああああああああああ!!」
「嘘です」
「死ねば良いのに」
「UPからDOWNへの落差が凄い」
「熊谷ぃ…!熊谷ぃ…!!」
「取り敢えず落ち着け」
「ほら、約束の時間まで、あと少しだから」
「そろそろ女子も来るよ~」
「そうだな…、それを信じよう」
ピロリロリーン
「『電車が遅れちゃった!後で行くね!!』って夕夏さんから」
「おぉ…!おぉおおおお…!!!」
「血の涙…」
「もう1つ、未読メールがあるよ」
「あ、本当だ」
「何だろ」
「『嘘ですw』」
「おぉ…!…ぉ?」
「テンション上げるか下げるか、どっちかにしろよ…」
「お待たせ-」
「…待たせたな」
「遅くなったわ」
「テンシマイオリル」
「ユカタスガタノテンシ」
「イマココニ」
「おい、蔵波が壊れたぞ」
「その内、治るよ」
「ふ、普段着…」
「…どしたの?委員長」
「男子-!女子は皆、浴衣なんだよ?」
「男子が普段着なのはどうかと思うかな!」
「俺達、浴衣とか持ってないんですが…」
「用意しなよー」
「森草ちゃんと桜見ちゃんは、この日の為に新調しもがっ」
「「うわぁあああああああああああ!!!」」
必死に夕夏の口を押さえる森草と桜見
「ま、まぁ浴衣はないよ」
「ぷはっ!」
「残念だねぇ~」
「ね?2人とも」
「「夕夏ぁ~…!!」」
「さ、行こうぜ」
「人も多いし、はぐれないようになー!」
「「「おー!!」」」
焼きそば屋
「…定番だね」
「定番だねぇ」
「へい!らっしゃい!!」
「焼きそばは400円だよ!!」
「どうする?」
「あぁ、私、晩ご飯は食べてきたの」
「私もだ」
「俺も食ってきた」
「あー、俺は食べてないなぁ…」
「私も食べてないよ」
「熊谷と夕夏さんも食べてないのか…」
(400円は、ちょっと高いし…、別の店に)
「あらあら、いらっしゃい」
「貴女は…!お神様…!!」
「じゃなかった!女将さん!!」
「あら?秋鋼の蒼空君ね」
「お友達と来たの?」
「は、はい!」
「誰?」
「神様だよ!!」
「か…」
「そんな神様だなんてねぇ」
「嬉しいから、焼きそばオマケしちゃおうかしら」
「そ、そんな!オマケだなんて!!」
「全財産出してでも買います!買いますとも!!」
「あらあら、嬉しいわ」
「他の子達も、どう?」
「え、遠慮しときます」
「俺、別の…」
「熊谷!良いから食べとけ!!」
「良いから!!」
「じ、じゃぁ、1つ…」
「じゃぁ、私も~」
「はいはい、焼きそば3つね」
「毎度あり」
「ありがとうございます!!!」
「食おう!今すぐ!!」
「お、落ち着きなさい、蒼空…」
社前
「へぇ、仕事場の知り合いの方が行き付けのお店の女将さんなんだ」
「アレはヤバい、中毒になる」
「その焼きそばも?」
「あげませんよ!!」
「い、要らないわよ…」
「要らないとは何事かぁ!?」
「どっちよ!!」
「楽しそうだねぇ、あの2人」
「そうだねぇ」
「美味しいねぇ、焼きそば」
「そうだねぇ」
「…何か、3カ所に別れたな」
「だなぁ」
「く、く、蔵波」
「何だ?」
「私の浴衣姿…、可愛いかよっ…」
「可愛いぞ?」
「少なくとも、俺の5時間の筋肉痛を一瞬で回復させるぐらいに可愛いぞ」
「ど、度合いが解らねぇ…」
「最高だ」
「っ!?」
「そ、そそそ、そうか…」
「…」
「…」
じーっと桜見を見つめる蔵波
先刻からピクリとも動かず見つめ続けている
「…ど、何処見てんだ」
「美女」
「びぃっ!?」
「桜見、言わせてくれ」
「な、な、な…!!」
「世の中には[大きさが全て]とか[大は小を兼ねる]とか言う言葉がある」
「俺は断じて、そんな虚言や戯れ言を認めねぇ」
「お、おぅ…?」
「大きけりゃ良いってモンじゃないんだ」
「かと言って、小さいのが良いってワケでもない」
「…」
「つまり、だ」
「俺が言いたい事はだな」
「貧乳最高!!!」
「…あの肉塊は何?」
「[元]蔵波」
読んでいただきありがとうございました