五紋章の危因
45F総督室
「はぁ~~~…」
「…どうされたのですか、布瀬川様」
「いや、ね?」
「ゼロにNo昇格断られちゃって…」
「…やはり、ですか」
「解ってたの?」
「何処となく、ではありますが」
「あの男はNoの中では[異常]に部類すべきと思います」
「まぁ、人間の中じゃ[普通]なんだけどねぇ」
「…はい」
「あぁ、そうそう」
「元老院のジジィ共から通達ね」
「何でしょうか」
「五紋章の警備を4倍にして」
「それと、No,2の後釜を探して頂戴」
「承知しました」
「それと、現Noの繰り上げはどういたしますか」
「No,1と6に連絡が付かないのよねぇ」
「あの自由人共が…」
「あの2人も、ある意味では[異常]ですね」
「ある意味ではね」
「…あ、そうだ」
「白月、お願いがあるんだけど」
「何なりと」
「実はね、再来週に元老院に呼び出されてるのよ」
「どうしても外せなくてさ…」
「して、どうすれば良いのでしょうか」
「その日の資料、代わりにお願い!」
「…まぁ、良いでしょう」
「その代わりに九華梨町全土に軍警備員を配備」
「特に九華梨夏祭りの開催会場には重点的に」
「総督を見つけ次第、確保し連れ帰るように命令させますが…、よろしいですね?」
「…何で解ったの」
「毎年ではないですか」
「お祭りで御騒ぎになられたいお気持ちも解りますが…、立場をお考えください」
「…はい、はい」
「無論、総督室と窓と特別通路も封鎖します」
「…何で通路を知ってるの?」
「伊達に側近ではありません」
「鋭いわね…」
コンコンッ
「どうぞー」
ガチャッ
「失礼します」
「何?報告?」
「はい」
「暗殺特専務部隊、鎌斬の西締 酉兜より要請です」
「「No,2、もしくはNo,7の枠をいただきたい」と」
「言うわね-、暗殺部隊の変態集団が!」
「しかし、彼女も実力者です」
「断るのでしたら…」
「断ったりなんかしないわよ」
「でもね、無条件ってのもさ…」
「…あ!」
「どうかなさいましたか?」
「フフフフフフ…♥」
(…何か、ロクでもない事を思いつきましたね)
「決行は一ヶ月後!それまで準備!!」
「祭り所じゃないけど、祭り騒ぎよーーーーー!!!」
「…それで振り回されるのは私なんですが」
「俺達、下っ端も同じくですよ…」
某所
「祭峰さーん!」
「祭峰さぁーん!!」
祭峰を呼ぶ少年
160cm程度の身長
黄緑色の髪と翡翠色の目
大きな糸切り歯
鼻頭には一筋の切り傷がある
「…霊魅、少し静かにしてくれ」
部屋の角に蹲る橋唐
怠そうに頭を抑え、水の入ったコップを片手に持っている
「馬鹿のせいで頭が痛い…」
「…単なる2日酔いッスよね」
「自業自得ッスよ」
「あの阿呆が五紋章収奪祝いなどと言い出すから…」
「あれでも、我らのリーダーだぞ…」
「まぁまぁ!あの明るさが祭峰さんの良い所ッスよ」
「癒やされるっつーか、元気が貰えるっつーか!」
「…貴様は、まだ入って数年度所だから良いだろうが」
「何年間、奴に付き合わされていると思っている」
「あはははー…」
「ってか!アロンさんが祭峰さんを探してたんッスよ!!」
「そうか」
「奥の部屋で寝ているだろうから、起こしてこい」
「了解ッス!」
「んがぁ…」
「腹出して寝てるッスね、この人…」
「起きるッスよ-!おーい!!」
「んぁー…、ぁと5分…」
「んな事言って!絶対、1時間は寝るッスよ!!」
「アロンさんが呼んでるんッスよぉ!!」
「ぁー…」
「起きないッスね…」
「…ん?何スか、コレ」
机の上に置かれている袋
その中には、古びた銃が入っている
「銃?」
霊魅は銃に手を伸ばす
バチィンッッ
「あ痛ぁっ!?」
「痛つつ…、何スか!コレ!!」
「2丁あるし…、何かの歴史物ッスかね」
「祭峰さぁーん!コレ、何スかぁー?」
「ごぅ…」
「…寝てるし」
「立派な物だったりしたら、壊したら怖いッスね」
「ってかぁ!アロンさんが呼んでるって言ってるじゃないッスか!!」
「霊魅ぃ~…」
「何ッスか!?」
「その銃にぃ…、触るんじゃねぇー…ぞぉ」
「お、遅いッス」
「やっぱり貴重な物なんスか?」
「死ぬからなぁ…」
ゾクッ
「…え?」
寒気がする
「そういう事は早めに言う物ッスよ…」
「冗談キツいなぁ…」
闇
「…何スか」
闇
闇
「…やめるッスよ」
闇
闇
闇
「俺の心を埋めるなッス…」
闇
闇
闇
闇
「やめるッスよ!!」
闇
闇
闇
闇
闇
「嫌だ…!やめっ…!!!」
闇
闇
闇
闇
闇
闇
死
「ぁあああああああああああああああああああああ!!!!!」
「ああぁあああああ!!!」
「止まれ。」
バチンッッッ!!!
「かぁっ!?」
霊魅の頬に鈍い衝撃
気が付くと、目の前にはシルディが立っている
「…シルディさん、ッスか?」
「他に。誰が。居る?」
「…助かったッス」
「全く、仕方がない奴なんだゼ」
「ラグドさんも…」
「コイツが持ってる物に、ロクな物はないんだゼ」
「迂闊に触らない方が身のためなんだゼ」
「今回で充分に勉強したッス…」
「何なんッスか!コレ!!」
「五紋章。」
「…えっ」
「五紋章って!今回の収奪したって言うあれッスかぁ!?」
「そうだゼ」
「何で、そんな大切な物をこんな所に…」
「昨日。お酒に酔って。そのまま。だから」
「…それだけッスか?」
「そう。」
「呆れるだろ?だゼ」
「コレでリーダーッスかぁ…」
「はぁ…、橋唐さんの言う通りッスね」
「全く。その通り」
「その通りなんだゼ…」
「「「ハァ……」」」
読んでいただきありがとうございました