日曜日のロードショー
王女部屋
「…今日は何曜日でしたか」
「え?」
「毎日、同じ事をしていると曜日感覚が…」
「確かロストにデジタル時計を待たせていましたね」
「ロストー!」
ガチャッ
「おぅ、呼んだか」
「速いな」
「食堂から近いだろ、ここ」
「…また盗み食いか」
「馬鹿言え」
「昼食だ」
「…はぁ」
「お前、デジタル時計を持たせただろう」
「あぁ、アレか」
「今日は何曜日だ」
「…日曜日だな」
「あぁ、そうか」
「では勉強はお休みですね」
「よろしいの?」
「休息日も必要ですよ」
「シス王女様は普段から励んでおられますからね」
「…ありがとうございますわ」
「さて、とは言っても何をしましょうか…」
「散歩とかすれば良いんじゃね?」
「外は危険だ」
「そうだな、出来れば室内での遊戯…」
「チェス」
「お前の1人無双だろうが」
「…ビデオとか?」
「あぁ、そう言えば隣国で日本映画が売ってたから買ってきたぜ」
「翻訳版の」
「あぁ、そうか」
「何だ?」
「[激写!恐怖映像100連発!!]と[呪われた館-連続殺人事件]と[呪い人形の恨み]だな」
「あぁ、序でに[悪魔の裁判]と[殺人と呪殺の違い]と[死神の魂狩り]も買ってきたぜ」
「何でホラー系ばっかなんだよ!?」
「だって、それしか…」
「マイナーなヤツだから怖くもねぇだろ?」
「いや、だがな…!」
「所詮は作り物でしょう?」
「怖いはずがありませんわ!!」
「…はぁ」
数時間後
「…」
「…」
「…えっと」
「しょしょしょしょしょしょしょ所詮は作り物ですわね!!」
「なん、ななななんな何と言う事は有りませんでしたわ!!」
「なんだかなー」
「リアル過ぎてなんだかな-」
「いや、真面目に観察するなよ」
「ていうか有名じゃなかったら翻訳もされねぇよ」
「勿論、怖ぇよ」
「ウフフフフフフフフフフフフ」
「…フフッ」
「大丈夫ですかー、シス王女様ー」
「顔が真っ青ですけど大丈夫ですかー」
「大丈夫ですってば!」
「…っ」
「…何か震えたぞ」
「だ、大丈夫ですわ…」
「もしかして…、お手洗いですか」
「そん…!なっ…!!」
「おいおい」
「行きたくなんてありま…!ぁ…!!」
「マズいな」
「シス王女様、早く」
「ぅっ…!ん…!!」
「どうして行かないんです?」
「怖くなんてっ…!ぁんっ…!!」
「…ロスト、着いて行ってあげなさい」
「何で俺?」
「お前は?」
「意識しちゃうだろうがぁ!!!」
「えっ?」
「えっ?」
「…あちゃー」
「え、え、えっと…」
「ぁぅ……」
「あの、ですね」
「やはり女性ですから…」
「…そんな目で見てたのか」
「誤解を生むからやめろ馬鹿」
「どんな目で見てたんですの…?」
「いやいやいや」
「驚かそうとする目だよ」
「お前馬鹿だろ」
「いや馬鹿だ」
「ぁんっ…!!」
「マズいマズいマズいマズい!!」
「ロスト!担いで…」
「んぐぅ…」
「寝てるーーーーーーーーー!?」
「シス王女様!!」
「急にっ…ぃっっ……!!」
「あー!もう!!!」
手洗い場
ジャー
「…」
「…」
「…戻りましょうか」
「…はい」
王女部屋
「何故か寝ていた」
「何してるんだ…」
「いや、悪ぃ」
「はぁ……」
「…もう日が暮れるな」
「そうだな」
「シス王女様、就寝準備をしましょう」
「えっ…?」
「…どうかしましたか?」
「いえ、何でも…」
「そうですね、準備しましょう」
「?」
「はい」
執務室
「む…」
ロストが隣国に行ってから1週間が過ぎたんだよな…
隣国の連合軍は動く気配を見せない
(ロストの行動が効果があったのか?)
断言は出来ないが動いてくれないのは有り難い
相手も、こちらを牽制してくれているのなら良い
何より俺の計画を進めなければ…
コンコンッ
「ゼロ」
「…シス王女様?」
「どうしたんです、こんな夜更けに」
「…少し、話が」
「解りました」
ガチャンッ
枕を抱えたシス王女
俯きながら、執務室へと駆け込んでくる
「全く!寝間着のままで…」
「今、着替えを」
「良いの」
「お願い、話を聞いてください」
「…何です?」
「あのですね」
「寒くて眠れないのです」
「…夏ですが」
「夏ですが」
「…」
「…」
「…寒いのです」
「毛布を」
「毛布では足りないのです」
「足りませんか…」
「足りないのです」
「…」
「…」
「毛布をもっと…」
「足りません」
「足りませんか…」
「足りませんです」
「…」
「…」
「…今日のビデオは怖かったですか」
「…はい」
「…そうですか」
「では毛布を、もっと取って来ますので…」
ぎゅっ
「…」
「…」
「…一緒に寝ますか」
「ぅ…」
「私が寒いので」
「えっ?」
「お願いします」
「…はい!」
読んでいただきありがとうございました