表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
秋鋼  作者: MTL2
128/600

託された名前

数ヶ月後


5F食堂


「あら?ロスト」


「織鶴か」


「やせ細ったわね」

「何?ストレス?」


「いや…」


「…No,2抹殺指令で何か有ったのね」


「まぁ…、そんなモンだ」


「あまり思い詰めない事ね」

「Noになれば、そんな仕事なんて日常茶飯事だし」


「…」


「…ゼロの事?」


「鋭いな、お前」


「そんな「的外れだ」みたいな顔されたら誰でもね」

「何?任務中に喧嘩でもした?」


「…あぁ」


「大の大人が情けないわね」


「ロスト様」


「…ん?」


「あら、白月じゃない」

「どうしたの」


「総督様より伝紙です」


ロストに渡される手紙


「何だ?」


書かれているのは長ったらしい文章

少なくともロストはそれをじっくり読む気分では無かった


「…メンドくせ」


「…ロスト」


「何だよ」


「No,2選抜試験だって…」


「…あ?」


「No,3とロスト様に参加していただきます」

「お断りは出来ませんよ」


「…マジかよ」


「はい」


「待て待て、何で俺なんだ!?」

「コイツは!織鶴!!」


「言わなかったかしら」

「アンタの方が実力は上よ」


「な…」


「貴方はNo,2抹殺指令で業績を上げられました」

「普段からも含めれば妥当かと」


「確かにね」


「では、試験内容の説明を」

「試験は能力査定などの…」


そこからの言葉はロストの頭には入っていない

呆然としていたのだから


Noに入れるかも知れない


解るのか

何かが


無知とは罪なのなら知ってやろう

無知では無くなってやる


だから、教えてくれ


何がお前を変えたんだ

ゼロ




40F戦闘実験室


『能力の使用は禁止です』

『あくまで基礎的な身体測定ですよ?』

『では、存分に戦ってください』

『殺さなければ結構ですよ』


「だとよ」


「手加減はしねぇぜ?」


「…そうか」


「お?テンション低いな」

「お前なら身体には自身があるだろ?」


そうじゃねぇよ


何だよ?その顔は

何で笑ってんだよ


「おいおい!何か?病気か!?」


違ぇよ


どうして笑える

お前に何が有った

何がお前を変えたんだ


「…俺から行くぜ」


構えるゼロ

だが、ロストがそれに呼応する事はない


「…どうしたんだよ」


「…」


「…総督」


「音を切れ」と指で合図するゼロ



「良いのですか?」


「良いですよ」

「彼等の意思を尊重したい」


「…了解しました」


プツッ



「…どうしたんだ」

「何で戦わない?」

「俺達は元々敵同士だっただろ?」


「…違ぇよ」

「王女との約束を破って」

「何で…、お前は平然と居られる」


「…傷心してろ、とでも?」

「そんな暇ないんだよ、Noには」


「…何も感じないのか」


「そんなワケじゃない」

「俺は…、考える事を止めただけだ」


「何…?」


「…もう無理なんだ」

「俺は弱い」

「弱いんだよ」


「…お前は弱くなんか」


「詭弁だな」

「俺は弱い」

「誰よりも弱くなっちまった」


「…ゼロ」


「後で話す」

「さぁ、始めよう」


「…」


戦えるかよ

お前なんかと


誰が戦えるってんだ

泣いてる奴と





ガシャァアアアアアアアアアンッッッ!!!


「どうしたぁ!?」


「…ぁああああああああ!!!!」


馬鹿野郎

馬鹿野郎


お前は…、どうしちまったんだ

何で…、仮面を被ってるんだよ

どうして泣いてるんだよ…

それも仮面なのか


そんな仮面、脱いでくれ

お前は何処に行った


もう帰ってこないのか


もう…、戻れないのか






「…決まりですね」


「はい」

「お2人とも、お疲れ様でした」

「発表は後日ですので今日は体を休めてください」


『…あぁ』


ガチャンッ



「…程度が知れてしまいますね」

「ロストは本調子では無かったように見えます」


「えぇ、そうですよ」

「情に流されるようでは、まだまだですね」

「ですが…、基礎的な体力は充分にある」

「能力も目を見張る物がありますね」


「…はい」


「彼をどうするのか…」

「蜂木君に期待です」




ホテル


312号室


「…どうして呼び出した?ゼロ」


「早速で悪いんだがな」

「お前に[ゼロ]の名を託す」


「…何を言っているんだ」


「俺は彼女との約束を破った」

「だから、もう[ゼロ]と名乗る事は出来ない」

「そんな資格は無いんだよ」


「…何のために彼女がお前に[ゼロ]の名を与えたと思ってる」

「何のために」


「その約束を破った」

「だが…、お前は約束を破ってない」

「だからこそ、お前だからこそ」

「託す」


ゴッッッッッッ!!!


「ぐっ…」


ゼロの頬に鈍い痛みが走る


「…痛いな」


「ふざけるな…」

「ふざけるなよ…!!」


「…約束を守れなかったんだ」

「俺は」


「彼女は!最後の最後まで!!!」

「お前を愛した!!!」

「そして…!お前が…!!」


「解ってる」

「その彼女から授かった名だという事も」

「この名が何を意味しているのかという事も」

「俺が約束を破ったという事も」


「…お前は」


「言わないでくれ」


「…いつまで仮面を被ってる気だ」


「死ぬまで」


「…」


「俺の願い、聞いてくれ」

「頼む」


「…なら、俺からも条件を出してやる」


「何だ?」


「お前が彼女との約束を破った事を忘れたのなら」

「その時は俺が殺す」


「…良いだろう」

「今から、お前はゼロだ」


「…No,3」


「?」


「お前は…、No,3だ」

「俺は一般兵」

「俺とお前は違う」

「もう…、暫くは会わないだろう」


「…そうだな」


「次に会うのなら俺はゼロ」

「お前は…、No,2だろうな」


「…あぁ」


「…じゃぁな」

「ゼロ」


バタンッ


「…じゃぁな」

「ロスト…」

「我が友よ…」




読んでいただきありがとうございました

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ