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秋鋼  作者: MTL2
124/600

ゼロとロストの能力実験

ロストとゼロが軍に入って数年

2人にある話が持ち込まれた


「「能力開花?」」


「はい、そうです」

「最近、検査を受けたでしょう?」


「あ-、あの変な機械に囲まれたヤツか」

「で?俺達に能力者としての素質が有ると」


「はい!その通りです」

「どうですか?受けてみては」


「…どうする?ゼロ」


「俺は受けるぜ」

「自分の能力だろ?興味がある」


「…だな」

「前に戦場で戦った能力者も中々だった」


「決まりですね」

「20Fの能力開発局にお越しください」


「おう」


「解った」



20F能力開発局


「お-お-」


「来るのは前の検査以来か」


「苦手なんだよな、機械」


「…同じくだ」


「お待ちしてましたよ」


「…お前は?」


「布瀬川 蜂土」

「能力開発局副長です」


「布瀬川?」

「蜂木ちゃんの弟さんか?」


「えぇ、そうです」


「そっか」

「で?俺とロストは何すりゃ良いの」


「こちらへ」


「あいよ-」




「…コレは?」


ガラスに囲まれた正方形の部屋

外には数人の研究者と大量の機械

ロストは、その部屋の中心に立っている


『これから能力の検査と開花実験を行います』

『そこに、布に包まれた棒が有るでしょう?』


「何だ?コレ」


『能力開花の為の道具です』

『大切に扱ってください』


「検査は?」


『外に大量の機械が見えるでしょう?』

『それで行います』


「そうか」

「この棒に触りゃ良いんだな?」


『ま、待ってください!まだ---…』


バチィンッッッッ!!!!


「!?」


棒から飛び散る閃光

ロストの目前は真っ白になり、全身が空になったかのような感覚に襲われる


「がっ-----!?」


『救護班!急いでください!!』

『ロストさんを!!』


「…痛ぇ!!」


『…え?』


「何だよ、コレ」

「布瀬川!こんなモンなら早く…」


『…何とも無いんですか?』


「あ?何が」


『…』


何やら、外でボソボソと話をしている蜂土

ガラスのせいでロストには何も聞こえない


『…ロストさん』


「何だよ」


『今から人形を破壊して貰います』

『お願いできますね?』


「あぁ、任せろ」


『ただし、触らないでください』

『勿論…、武器の使用も禁止です』


「はぁ!?どうやって壊すんだよ!!」


『能力です』


「まだ使った事もねぇし、どんな能力かも…」


『駄目で元々!やってみてください』


「…解ったよ」


ガチャンッ


部屋の中に運び込まれてくる人形

大きな人形で、車の衝撃テストに用いられるような姿形である


「壊せば良いのか」


『はい、思いっきり』


「…解った」


『目を閉じて、静かに呼吸を整えて』


「スゥ-…」


ロストは布瀬川に言われた通りに静かに目を閉じる

呼吸を整え、暗い空間を目に映す


『…何が見えますか』


「…何も」


『何も?』


「あぁ…」


『…では、良いでしょう』

『目を開けてください』


「ん」


『次は[浮き上がれ]と強く念じてください』


「念じる?」


『まぁ、やってみてくださいよ』


「…おう」


ロストは殺すような表情で人形を睨み付ける


「…浮き上がれ」


『言わなくても結構です』


「…」


『…』


「変化なしだ」


『…みたいですね』

『では、殴って良いですよ』


「良いのか?」


『えぇ、もう』

『ではお願いします』


「やっとか…」


ゴキゴキと拳をならすロスト

姿勢を整え、拳撃の体制に入る


「…むんっっっ!!!」


ゴォンッッッッッッ!!!


鳴響する轟音

人形は激震し、激しく揺れる


「…超衝撃吸収素材か」


『よく知ってますね』


「俺の拳撃でも壊れないとは思わなかった」

「コンクリ-トじゃない限りな」


『その通りです』

『さて、実験が完了しました』


「…今ので、か?」


『はい、そうです』

『始めのは属性系かどうか』

『次は念力系かどうか』

『最後は身体強化系かどうか、です』


「…よく解らねぇぞ」


『本来、属性系は体内にその属性が宿っています』

『ですから瞑想状態なら、より良くそれが見えるんですよ』


「俺には見えなかった」

「だから、属性系じゃねぇってか」


『その通りです』

『念力系の検査は簡単ですね』

『もし精神系だとしたら、こちらのモニタ-に変化が有るはずでしたか…、それもない』

『かと言って、身体強化系でもありませんでしたね』


「身体強化系だったら…、人形はどうなってた」


『跡形も残らず、ですね』


「…ほう?」


『安心してください』

『そんなに興味津々な顔されても貴方は身体強化系じゃありませんから』


「…じゃぁ、俺に能力は無いのか」


『いえ、有ります』


「能力は三系統じゃないのか?」

「属性系、念力系、身体強化系…、だろ?」


『いえ、特例としてもう1つ』

『特殊系です』


「何だ、そりゃ」


『全てに分類できない系統ですよ』

『貴方はそれである可能性が高い』


「マジか…」


『マジもマジです』

『では、検査は以上ですので退室してください』


「…おう」




「どうだった?ロスト」


「…何かワケが解らなかったぜ」

「お前は?」


「…ん-、俺も」

「特殊系とか何とか言われた」


「お前もか」


「お前も?」


「おう」


「ふ-ん…」

「…ん?」


「何だよ」


「動くなよ」


「え?」


「ていっ」


「痛ぇっ!?」

「何しやがる!!」


「白髪が生えてたから抜いてやったんだろ-!」

「あれ?もう一本…」

「てか!メッチャ有るじゃねぇか!!」


「あぁ!?んな馬鹿な…」


「お2人とも、お待たせしました」


「おぉ!待ったぜ」

「で?どうだったんだ」


「ロストさんは向こうで身体検査を」

「ゼロさんはこちらで身体検査を受けていただきます」


「何で離れるんだよ?」


「…能力には発動条件と言うものが有ります」


「あ-、聞いた事、有るぜ」

「急激な筋肉痛になったりするんだろ?」


「はい、身体影響だけとは限りませんがね」

「貴方達にも何らかの影響が出てるかも知れません」


「だったら別々に検査しなくても良いんじゃないか?」


「いえ、能力発動条件は能力者の弱点となりかねませんから」


「仲間だろ?」

「弱点を知るのはカバ-し合えるから逆に…」


「どちらかが裏切った場合、始末して貰うかも知れませんから」


「おいおい、俺達が裏切るとでも…」


「総督の前で堂々と宣言した、と聞いていますが?」


「「…」」


「行きましょうか」


「…布瀬川の弟って姉より毒舌だな」


「…否定はしねぇ」



ピ---ッ


「どうだ?」


「…身体の老化ですね」

「身体が老化する事によって能力が発動するのかと」


「おい、待て」


「何です?」


「身体の老化って事は死を早めてるんだろ?」

「その上、能力は発動してないんじゃないのか」


「…コレを」


布瀬川から渡される一枚の写真

その写真には腐りきった人形が写っている


「…先刻の人形か」


「あの後、この状態に変化しました」


「何?」


「貴方の能力は物質の腐敗かも知れませんね」


「腐敗?キモい能力だな」


「まだ確定ではないですよ?」

「これからの実験で調べていきますから」


「…そうか」

「じゃ、頼みが有る」


「何です?」


「そのデ-タ、全部書き換えろ」


「!?」


「お前1人の脳に俺のデ-タが有れば良い」

「裏切りを予想するのなら全て消すんだ」


「…本気ですか?」


「当たり前だ」


「…良いでしょう」

「別に貴方が初めてでは有りませんしね」


ピピピッ


「…フン」

「じゃ、世話になったな」


「何処に行くんです?」

「これからは詳しく身体検査を行わないと…」


「習うより慣れろ、だ」

「仕事に行ってくる」


「無茶です!そんなに早速…!!」


「無闇に能力は使用しねぇよ」

「慣れるだけだ」


「そんな-----!!」


ガチャンッッ


「…心配性な奴だな」




「お?ロストか」

「どうだった」


「別段、何も」

「お前は」


「俺も、かな」

「で?何処に行くんだ」


「仕事」

「能力に慣れる」


「お前さ、覚えてるか?」


「何をだよ」


「総督に言われたじゃねぇか」

「俺達は似てる、ってな」


「あ?」

「…お前、その武装」


「♪」


「…考える事も同じかよ」

「確かに…、似てるかもな」


「だな」




読んでいただきありがとうございました

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