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秋鋼  作者: MTL2
122/600

No,3とNo,2

通行路


「…ぅ」


「目が覚めたか」


「ゼロさん?」

「あ!上手くいったんですね!!」


「あぁ、丁度タイミング良く奴等も到着した」

「テメェにしては良い作戦だったな」


「自慢じゃ無いですけど♪」

「…右頬が痛ぇ」


「…強くやりすぎた」

「許せ」


「はぁ…」

「…それより、近いんですか?」


「…あぁ」

「No,2のアジトは近い」


「でも、どうして解ったんです?」

「敵のアジトなんて」


「総督が白月に情報を集めさせていたんだよ」

「軍の情報網は凄まじいからな」

「すぐに情報が集まったそうだ」

「奴も直属部下最多がアダになったらしい」

「ここで最も多く目撃されているからな」

「捜索したら直ぐに見つかったそうだ」


「でも、それは敵にもバレてるんじゃ…」


「…それでも奴は移動していない」


「?」


「総督も警戒はしている」

「何の為に移動しなかったのか、ってな」


「…どうしてでしょうか」


「解れば苦労はしねぇよ」




廃墟前


「ここだ」


殺風景な野原

何も無いそこの奥には1つの廃墟が建っている

その廃墟は焼け焦げた跡が残っており、火災か何かが有ったと思われる


「元は軍の施設だったらしい」

「だから、こんなにも早く発見できた」


「何の施設だったんですか?」


「さぁな」

「そこまでは解らん」


「下らない実験の施設さ」

「口に出すのすら虫酸が走るほどのね」


「!」


廃墟から出てくる1人の男

手袋を着け直し、サングラスの位置を正す


「…あの人ですね」


「あぁ、そうだ」

「通称[無の殺戮者]」

「No,2だ」


「おいおい、その呼び名は嫌いなんだ」

「やめてくれ」


「…本当にこの人ですか?」


どうにも、そうは見えない

優しそうな人だ

今回の件の首謀者だなんて、とても…


「残りはお前だけだ、No,2」

「残念だが、お前の使えない下僕共は死んだぞ?」


「…あ?」


No,2の表情が変わる

先の優しそうな表情では無い

まるで、鬼のような怒りに満ちた表情だ


「…ゼロよ」

「お前は戦友で仲間だった」

「そして良き理解者でもある」

「俺はお前が良き理解者であることは今でも変わらないと思っている」

「だから今一度、言い直す事を許そう」


「何度でも言うさ」

「お前の仲間の下僕共は死んだ」


ドォンッッッ!!!


「…」


「…撤回しろ」


ゼロの頬の薄皮が切れる

頬を伝う血をゼロは袖で拭い、No,2を睨み付ける


「何か間違った事を言ったか?」

「お前が俺を認めているように俺もお前を認めている」

「だからこそ、言っているんだ」

「お前程の人材が屑共に囲まれて果てていくのが耐えられないからな」

「撤回するというのなら「残念だったな」ではなく「おめでとう」か?」


「残念だ、ゼロ」

「貴様を尊敬する意が失せた」

「1人の男として、信念を貫き通す男として」

「お前を信用し、尊敬していたのだがな」


「今更だな」

「裏切り者」

「屑に囲まれて屑に成り下がったか」


「…」


静々とNo,2の表情が怒りに染まる

もう釈然とした立ち姿は無く、怒りに狂った姿があった


「…絶対攻撃デスサイズ


「!!!」


ゴォンッッッッッッッッッッッ!!!


「かっ…!!」


廃墟に叩き付けられるゼロ


「な…!?」


波斗は目を大きく見開く


「仲間への侮辱は以上か」

「後は貴様への制裁で埋め尽くしてやる」


「…制裁か」


ゼロは口からの血を袖で拭う


あぁ、そうか

今の反応を見て解った

確信した

お前は墜ちていない

屑になんて成り下がっちゃいない


「さらばだ、ゼロ」


お前はそのままだ

俺とNo,2を争い有った時のお前と同じだ

変わっていない

仲間を愛し、護る

慈愛に満ち、皆からの信用も厚かったお前のままだ


だからこそ、問う


「何故…」


「…?」


「何故、裏切った」

「何故!!裏切った!?」


「…ゼロ?」


「あの時とお前は変わっていない!!!」

「何も!変わってなんかいない!!」

「屑に成り下がっちゃいないだろう!?」

「権力と金を求めるような豚にも成り下がってない!!」

「だからこそ聞かせろ!!」

「どうして裏切った!?」

「五眼衆の和鹿島も!デルタロスの群麻も!!」

「そしてお前も!!!」

「何がお前達を動かした!?」

「それ程の事が有ったのか!?」

「お前達は何を見た!!!!」

「どうして!!!軍を!!!!」

「裏切った!!!??」


「カマを…かけたのか…」


静かにNo,2は目を伏せる


「教えてくれ…!!」

「何が…!お前を動かしたんだ…!?」


「…駄目だ」

「もう…、戻れない」

「…絶対攻撃」


「ゼロさん!!!」


バチィイイイイイインッッッッ!!!


「!!」


「危なかった…」


咄嗟にNo,2のゼロに対する攻撃に対し波斗は防御壁を生成する


「…その能力」

「蒼空…、波斗か?」


「え…?」


「…そうなのか?」


「あ、あぁ…」


「…希望、か」

「俺には…、絶望の塊にしか見えないな」


「え?」


「絶対攻撃」


「!!!」


バチィイイインッッ!!!


「ぐっ…!!!」


「何とか防いだか」

「では、コレはどうだ」


天に手を挙げるNo,2


「…嘘だろ」


天より地を狙う幾千の刃


絶対神撃デスオーディン


ヒュッ


No,2の手が振り下ろされると共に

幾千の神撃は波斗に向かい墜ちてくる


「----------ッッ!!!」


無理だ!!

防ぎきれない!!


「…」


キィンッ


「ゼロさん…!!」


神撃を弾くゼロ

だが、その表情は何かを悔いるような表情

激しく悔い、後悔するかのような表情


「…そうだろうな」

「お前は決して柔な人間じゃ無い」

「だからこそ、俺はお前を認めた」

「だからこそ、俺はお前を恐れた」


「テメェを…」

「テメェを殺すしか無いというのならッッッッ!!!」

「あの時のように!!全力を尽くしてやるッッ!!!」

「あの時の約束を!!!今!!!!果たしてやる!!!!」

「ゼロッッッッッッッッッッッッ!!!!!!」


「…お前に、その名で呼ばれたのはいつ振りだろうな」

「ロスト・ウルフェン」


ガキィイイイイイイイイイイイイイインッッッッ!!!!


双方の拳が激突する

悲しみと憎しみと哀れみと怒りを持って

渾身の一撃を持って

全力で


激突した







読んでいただきありがとうございました

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