護るための自己犠牲
地下街
「六天崩拳」
「一天・牙刺」
ギュイィインッ!!
地面からの牙をチェインソ-で簡単に切り裂くヴァミタ
それに応戦するように白月も次々と牙刺を発動する
(恐ろしく高性能な機械ですね…)
まさか、ここまでとは
「どうシタ?ボウギょがアラいぞ」
「…そうでしょうか」
ゴキンッッ
ヴァミタの顎に白月の膝蹴りが直撃する
「六天崩拳」
「二天・雨威羅」
ゴキンッ
「…が」
ゴキンッ
ゴキンッ
ゴキンッ
繰り返す砕骨音
一撃、二撃と
音が鳴り響く度にヴァミタの表情が歪む
「顎は人体の急所」
「それは兵器でも変わらないようですね」
「ぐゥっ!!」
ギュィイイイイイインッ!!
「っッっかぁァ!!」
ヴァミタのチェインソ-を簡単に避ける白月
「…ぐむッ」
ヴァミタはゴキゴキと顎を治す
「そのワザハたじゅウしょうげキか」
「流石、分析機能にも優れていますね」
白月の六天崩拳は拳法の一種である
それは護身や演芸の類いではない
戦闘特化の殺人拳なのだ
先の[二天・雨威羅]は超接近戦用の技
接触した部分に筋肉と骨の振動によって繰り返し衝撃を与える技
それに対して[一天・牙刺]は遠距離用の技
てこの原理を利用し、相手の位置に的確に衝撃を与える技
そして[三天・空撃]は中距離用の技
射程距離は長くないが、その分[牙刺]よりも威力は高い
空気の振動によって衝撃を生み出すのだ
白月は無能力者である
雨雲のように先天的な戦闘センスもなければ、火星のように雑般的なテクニックもない
それ故に己を磨いた
主を護るために
「おマえとはしんきんをカンジるぞ」
「このケンはアイテをタオスタめのイリョくもアルが…」
「それイジョうにじかンカセぎのものニミえる」
「そのカセいだジカんはしゅジんをにがスタめのじかン」
「つまリオマエはすてゴマとしてソダてられテキタ」
「そうでなケレばこのケンはえトクなどシない」
「…!」
護るための
自己犠牲
「まだ生きてんのかよ!!!」
「おい!お前も混ざれって!!」
「凄ぇ良いぜ!コイツ!!」
「最高じゃねぇか!!」
「…無駄口が過ぎますね」
「あるジはマモらなけれバならない」
「りウはかなラズおまエのあるジを…」
ピピ-----ッ
『只今、No,2側のル-クが敗れました』
『No,2側は残りキング、クイ-ンです』
「…!」
「どうやら、彼女は死んだようですね」
「…りウ」
「主を護れなかったのは貴方のようですが?」
「…すマない」
「おまエたチとのやくソク、まもらセテやれなかッタ」
くらナミ、さくらミ
あのコノ
はじめテのトモだち
げ-ムせんタ-とやらニいかせてヤレなくて
すまナイ
「さて、残りは2役」
「No,2と絵道ですね」
「と、言うことは貴方は外れだったわけです」
「…そうダナ」
ベキンッ
「[Rシステム機動]」
「[カウントダウン開始]」
「…在り来たりな選択ですね」
「自爆ですか?」
「せメテ、おまエだけデモな」
「無駄でしょう」
ピピ--ッ
「[Rシステム強制停止]」
「[Rシステム強制停止]」
「…なニ?」
prrrrr
「ありがとうございます、彩愛さん」
『いえいえ、料金はいただきますから』
『では、早く戻らないと楓ちゃんが寂しがりますので』
「はい、では」
プツッ
「…しスてムヲはッキンぐはせたのか」
「彼女は布瀬川様も認めるハッカ-です」
「貴方が機械ならば必ず電波を受信しているはず」
「ぶったイがつネニハっすルデンぱてイドノものナノダがな」
バチバチッ
「それすらも彼女は探し出す」
「それだけの事でしょう」
「…おそ…ロ…シ…」
バチンッ
「…」
「…廃品回収にでも出しておきますよ」
「自立型兵器」
高速道路
「普段は車だから解らなかったけど…」
「長い」
「当たり前だろうが」
「200m置きぐらいに敵襲が来ますね」
「3秒でカタしてますけど」
「雑兵で時間稼ぎだ」
「って事は、この先に有るんですね」
「あぁ、間違いねぇだろ」
現時点でこっちはNo,4以外の被害はねぇ
それに対して向こうは壊滅状態だ
…簡単すぎやしねぇか?
楽々と進みすぎてる
相手はNo,2だぞ?
こっちがNo,4の損失だけ、だと?
馬鹿な
野郎、何を考えてやがる
確かに軍が勝利してもおかしくはないだろう
だが、簡単に行き過ぎている
野郎は何を狙っている?
「…ゼロさん、前に変人」
「あ?」
「ホホホホホ、変人とは酷いですねぇ…」
「…アロン」
「再戦と行こうではないですかぁ、ゼロぉ」
「テメェに構ってる暇はねぇんだよ」
「こちらには有りますがねぇ?」
「…変人に好かれてますね」
「否定できねぇから辛いじゃねぇか」
ボコボコボコボコ
「…前回は手抜きでしたがぁ、ホホホッ」
「今回はこの数ですぅ」
「勝てますかねぇ?」
「ぐ、グロい…」
「奴の能力だ」
「お前も戦った事が有るだろ」
「え?」
「四国で」
「響から聞いたが?」
「…じゃぁ、アンタは一斑を殺った奴か?」
「ホホホホホ!あの時は暗くてよく解りませんでしたかぁ?」
「そうですよぉ!私が」
ボコンッ
「…ホホホ、遠慮のない餓鬼ですねぇ」
陥没した地面
アロンの分身達は闇の底へと落ちていく
「そうか」
「恨み晴らしが出来るぜ」
アロンを睨み付ける波斗
「ここは任せて貰っても良いですか、ゼロさん」
「駄目に決まってんだろ」
「テメェはNo,2…を」
そうか
そういう事か
「あの野郎、祭峰と手を組んでやがったな」
「ほほぅ!お気付きになりましたかぁ」
「テメェが出て来りゃ嫌でも気付く」
「…祭峰って、最上級犯罪者の?」
「知ってるのか」
「織鶴さんが愚痴ってました」
「お、おぉ…、そうか」
「ホホホホホホ!雑談をしている暇はないでしょうぅ?」
「そりゃ、テメェ等だろうが」
「戦局はこっちが圧倒的だぜ?」
「当たり前でしょうぅ」
「彼等がNoに勝てるだなんて思っては居ませんよぉ」
「まぁ、1人消せたのは幸いでしたがねぇ」
「捨て駒は捨て駒らしく働きましたかぁ!!」
「…捨て駒?」
「そうですよぉ」
「彼等は捨てごっ」
ゴッ
アロンの顔面から血肉が吹き出る
倒れたアロンの顔面には一時停止の標識が突き刺さっている
「あっおごあぁっ…」
「…来てたのか、織鶴」
「放送を聞いてね」
「コイツは私に任せなさい」
「…そうだな」
「先に行くぞ、蒼空」
「…お願いします、織鶴さん」
「解ったから、さっさと行きなさい」
「…はい!」
「…行かせてしまいましたかぁ」
「アンタは私1人で充分よ」
「ホホホホホ!舐められた物ですねぇ」
ボコボコボコボコ…
「確かに私は分身しか能のない能力者ですがぁ…」
「質より量がモット-でしてぇ…」
ボコボコボコボコ…
「70万人の無能力者と1人の能力者ぁ…」
「どちらが強いのでしょうねぇ…?」
「…キモいわね」
読んでいただきありがとうございました