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秋鋼  作者: MTL2
116/600

ル-クとビショップ

「どうしたなりか、逃げ回って」


ドドドドドドドドドドドドッッッッ!!


(畜生…、あの野郎)


…奴の能力条件発動を待つか

そうすりゃ何らかの隙が出来るはずだ


ま、そりゃ私にも言えた事だけどな


昕霧の能力発動条件

それは体内酸素の低下

体内酸素の低下は頭痛や吐き気、さらには集中力の低下

酷いときには昏睡したり痙攣や呼吸停止にもなる


昕霧は使えば使うほど能力発動条件の負荷が大きい

先も記した通り、下手をすれば死に至る


(今回は言うほど使ってね-はずだが…)


妙に息苦しい

この感覚は酸素不足のそれと同じだ


…奴の銃弾で酸素が消費されてやがんのか

あの野郎、面倒な…


…酸素が消費?

待て、どうして息苦しくなる?

酸素なんて外から、換気扇から幾らでも入ってくるだろ?


どうして…


ドドドドドドドドドドドドドッッ!!!


「ちぃっっ!!」


「…逃げたかえ」



ドドドドドドドドドドドッ!!


(何発乱射するんだよ!?)



…乱射?


酸素


妙な錠剤…



…柱の貫通力



「…そういう事かよ」


「気付いたかな」


「テメ-…」


鳴り止む銃声


ゴゴゴゴゴ…


「銃声で気付かなかったぜ」

「柱の貫通力を上げたって事は…」

「つまりは、この地下をホテル自体の重みで潰す気だな?」


「全く持ってその通りなりよ」

「銃声で地鳴り音を消し、注意をこちらへと向けさせる」


「それが目的か」


「…うむ」

「もう、既にかなり地下は埋まりつつある」

「逃げられぬぞ?」


「それはテメ-にも言える事だろ」

「物体の貫通力を上げて穴でも開けて逃げりゃ私だってそこから逃げられる」

「かと言って、自身の貫通力を上げるのは不可能」

「そうだろ?」


「…あぁ」

「俺は自分の肉体の貫通力は上げられぬ」


「私を殴ってきたのは衣服の貫通力を上げたからか」

「ケッ!面倒な事しやがって」


「…そうなりな」

「俺も、この様な美人と心中できて本望ぞ」


「美人?当たり前だろ」

「…だが、本望ってのは少し違ぇ-な」


「ほう?何を申す?」


「お前みて-なのはNo,2に尽くしてこその本望だろ?」


「…ふむ」

「よもや敵に諭されるとはな」


「フン」

「あの野郎の何が良いんだか」


「…多くは言わんよ」


「チッ、女々しい野郎だ」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…


「…フン」

「テメ-、死ぬのが怖いのか」


「怖い、か」

「あぁ、そうだ」


「…そうかよ」









ピピ-----ッ


『只今、No,2側のビショップが敗れました』

『No,2側は残りキング、クイ-ン、ル-クです』


ピピ-----ッ


『只今、軍側のル-クが敗れました』

『軍側は残りキング、クイ-ン、ビショップ、ナイトです』




軍本部


45F総督室


「…昕霧が?」


「はい、恐らく相打ちかと」


「信じられないわね…」

「彼女が…」


「無駄にするべきではないでしょう」

「幸い、No,2側は残り3役です」

「有利な状態ではないですか」


「…そうなんだけどね」

「コレが他に響かなきゃ良いんだけど…」




工事現場外


ピピ-----ッ


『只今、No,2側のビショップが敗れました』

『No,2側は残りキング、クイ-ン、ル-クです』


ピピ-----ッ


『只今、軍側のル-クが敗れました』

『軍側は残りキング、クイ-ン、ビショップ、ナイトです』


「…え?」


「No,4が…」


「昕霧様が…?」

「嘘でしょう…、そんな…」


「…茶柱さん」


「…ッ」


ガァンッッッ!!


「!?」


鉄骨を殴る茶柱

その手からは血が滴り落ちる


「主を守れず…、何が付き人ですか…!!」

「何が…!!」


「…茶柱さん?」


「…行きましょう、馬常さん」

「私達の役目は雑兵の処理です」


「え、でも…」


「行きましょう」


「う、うん…」



高速道路


「誰も居ない高速道路って新鮮ですね」


「気を抜くんじゃねぇぞ」


静かな高速道路を歩く波斗とゼロ


「敵のナイトが死んだんだ」

「別の奴も襲ってくるかも知れねぇだろうが」


「大抵の雑兵ならゼロさんが倒してますけどね」


「…まぁな」


ピピ-----ッ


『只今、No,2側のビショップが敗れました』

『No,2側は残りキング、クイ-ン、ル-クです』


「おぉ!凄いですね」


「誰だか知らないが、よくやってくれたな」


ピピ-----ッ


『只今、軍側のル-クが敗れました』

『軍側は残りキング、クイ-ン、ビショップ、ナイトです』


「…?」

「ル-ク?」

「って事は、誰かが…」


「…昕霧か」


「あの人が!?」


「…」


prrrrrr


「総督か」


『ゼロ、放送を聞いたわね?』


「あぁ」


『…』


「何だよ」


『…死なないように』


「アイツと一緒にすんな」


『貴方は大丈夫そうね』

『それより、茶柱ちゃんが心配だわ…』


「アイツは強ぇ、大丈夫だろ」

「それに…、馬常も付いてる」


『そうね…』


「それよりも心配なのは…、織鶴だ」


『え?彼女は昕霧を嫌って…』


「だからこそ、だ」

「嫌ってる野郎の死は最も早く実感できちまう」

「いや、嫌っていて嫌ってないからこそ…、な」


『…大丈夫かしら』


「アイツはそこまで弱くねぇよ」

「…いや、弱くねぇからこそか」


『…No,2を頼んだわよ』


「…あぁ」




商店街


ピピ-----ッ


『只今、No,2側のビショップが敗れました』

『No,2側は残りキング、クイ-ン、ル-クです』


ピピ-----ッ


『只今、軍側のル-クが敗れました』

『軍側は残りキング、クイ-ン、ビショップ、ナイトです』


「…」


静かに街頭放送を聞く織鶴

静かに目を伏せ「…ザマ-見ろ」と呟き、再び歩き出す


パァンッ!!


「元No,4の織鶴だな」

「貴様をNo,2様のため…」


男の首筋には織鶴の手


ゴキンッッ


「ぁ」


「うるさい」


男の首は古木のように簡単に折れ落ちる


「機嫌が悪いんだよ、糞ゴミ共が」


「撃て!撃て!!」


ドンッ


「失せろ」


ゴキンッボキンッ




「…」


織鶴の周囲には残骸

血と肉と骨の残骸


「…」


何も言わず

織鶴は肉を踏みにじる


「…下手くそ」


織鶴は肉を蹴り飛ばし、再び歩き出した

読んでいただきありがとうございました

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