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秋鋼  作者: MTL2
112/600

工事現場の攻防

「…浮いてるね」


「浮いてますね」


ヒュンッ


「伏せてください!!」


「え?」


カア--ンッッ!!!


馬常の頭部へと突き刺さるナイフ

そのまま馬常は倒れ込む


「馬常さん!!」


「神よ、貴方の元へ魂が向かった故、お導きを」

「まずは1人故、ア-メン」


「くっ…!!」


彼に動いたような仕草はなかった!!

どこからナイフが飛んできたと言うのですか…!!


ダンッ!


「…隠れた故、探す」



作業場


「…」


仲間が居るのでしょうか?

いや、そんな素振りはなかったし、ここを指定したのは馬常さん

用意できるはずもない


ここに移動してから呼んだ?

隠れていた隙に

その可能性が有りますね


「凄いね、彼…」


「はい、静かにしてください」


しかし、何故に浮いていたのでしょう?

彼の能力は不明

だとすると、能力…

浮遊するのか、飛行するのかで対策も違ってくる

まずは細部まで調べなければ…


「どうする?能力が…」


「すいません、考え中なので」


それにしても馬常さんを失ったのは痛い

彼は戦闘力は中々の物だと聞いていた

昕霧様が言うのだから実力は確かなのでしょう

彼を失っては苦戦を強いられてしまう

相手は能力者、私は無能力者

対抗できない事は有りませんが、彼は腐っても上級に値する人物

私だけではキツいかも知れませんね…


「ねぇ、ちょっと…」


「あぁ!もう!!」

「うるさいですね!!」


「ぇ、あ…」

「…ごめん」


「…え?」


「うるさいよね…」

「ブツブツ言ってるから、どうしたのかなって…」

「うん…、うるさいよね…」

「ごめん…、なさい…」


「え?あの」


「本当にごめんね…」


「…馬常さん?」


「はい…」


「どうして生きてるんですか…?」


「そうだよね…」

「折角、計画を練ってくれてたのに…」

「邪魔する奴なんか死ねば良いよね…」


(凄まじいブル-モ-ドに突入していますね…)

「そ、そうじゃなくてですね」

「敵の攻撃を受けたのに…」


「あぁ、俺の能力なんだ…」

「皮膚の堅化、って所かな…」


「それでナイフを…?」

「あぁ、しばらく軍を離れていたから彼も知らなかったんですね!!」


「うん…」


「申し訳ありません」

「てっきり、死んでしまったのかと思ったんです」


「気にしなくて良いよ…」

「それよりも、どうするの?」


「そうですね」

「まずは彼の能力を解明します」

「恐らくは浮遊、もしくは飛行」

「念力系能力者かと」


「属性系かも知れないね」

「風での風圧で飛んでるとか…」


「ふむ」

「少し、試しますか」



建築物内


「居ない故、探す」


「ここですよ」


「!」


「私をお捜しですか?」


「諦めた故、出てきた?」


「まさか」

「貴方を倒すためですよ」


カキンッ


「プレゼントです!」


空中に放り投げられる弾


シュゥウウウウウウウ!!


「…煙幕故、逃げる気か?」


「いえいえ」


コロン…


煙幕は上空で煙を吐くことはなく、そのまま地面へと落ちる


「重煙…故?」


重煙

それは重い煙とそのままだ

煙のように上へと上昇するのではなく地面で停滞する

そのため、地上の敵を撹乱するために使われるのだが…


「何故、お前が使うか解らない故、問う」


「さぁ?どうしてでしょうね」


段々と、茶柱の姿は煙幕で隠れていく


茶柱の目的は煙幕で姿を隠すことではない

かと言って、敵を撹乱するためでもない

煙によって狗境の能力を確認するためだ


もし、煙幕が乱れたなら風が乱したと言うこと

つまりは狗境の能力は属性系の風系だ

しかし、煙は乱れなかった

という事は属性系ではない


何故、茶柱が重煙を使ったかと言うと

煙幕によって相手を見失わないため

能力が解らない状態で相手を見失うのは危険極まりないからである


(やはり逃げるのが目的故、追うべきか…?)


ヒュゥウ---…


「…風?」


否、殺気


ブゥンッッ!!!


「外したか…」


「…危なかった故、冷や汗を感じる」

「傘は雨を凌ぐ物故、武器ではないぞ」


「散歩の時、杖代わりにも使えるよ?」


鉄骨に飛び移る馬常

狗境と相対し、静かに睨み合う


「死した物と思った故、何故に生きている?」


「奇跡、かな」


「…ふむ」


ヒュンッッ!!


「…理解しかねる故、撤退」


飛び降りていく狗境


「…行ったよ、茶柱さん」




「…」

(煙幕で何も見えない故…、不便)


「降りたのは失敗じゃないですか?」


何処からともなく響く茶柱の声


「そうでもない故、心配なさるな」

「姿は見えずとも解る故」


「姿が見えなくて、どう攻撃するというのです」


「それは教えられない故、諦めよ」


「そうですね」


シュゥウウウウウウ…


(煙が晴れていく故、視界が開ける…)

「!!」


狗境を囲む十数個の円形物


「…地雷故、動けない」


円形物の正体は地雷

小型で設置も簡単な地雷だが威力は確か

爆発すれば足は軽く持って行かれる威力である


「…理解した故、呆れる」


「何をです?」


「コレは鎌をかけられている故、下手には動けない」


「…よく解りましたね」


そう、コレは攻撃のためではない

周囲を囲むように地雷を配置されている

ならば逃げるには空中に浮く、もしくは飛ぶ能力を使えば良い

だが使えば自らの能力を示すも同然


「能力を探られている故、安易的な行動はすべきではない」


「その通りです」

「さて、どうしますか?」


この状況は狗境にとって圧倒的に不利だ

逃げるなら能力を使う

逃げないなら逃げないで銃などで地雷を爆破されて負傷する


つまりは[詰み]なのだ


「詰みですよ」


「それは能力を見ることに置いて故、勝負に置いてではない」


法衣を広げる狗境

その内側には何百本ものナイフ


「…故に、手加減する必要性はなくなった」


カシャンッ


「刃幻演舞」


上空へと6本のナイフを投げる

そのナイフは当然、狗境に向かって降ってくる


「自傷ですか?」


「否」


ピタッ


ナイフは狗境の直前で止まり、ゆっくりと方向を変える

その方向を茶柱へ、と


「この技を受ける故、死す」


ヒュゥンッッ!!!


電光石火の如き早さでナイフは茶柱を狙う


「ッ!!」


能力者でもない茶柱には反応できない

否、出来るはずがない


「危ないよ…」


キキィンッ!!


「…あ」


「女子にナイフを向けるのは酷いんじゃないかな…」


茶柱を庇う馬常

茶柱は馬常の大きな背に隠れ、馬常はナイフをはじく


「…あ」


背中

大きな背中



「隠れてろ!!!」

「先走るな!おい!!」

「茶柱ぁ------!!!」





「ぅっ…」


「…茶柱さん?」


「うぇっ…」

「おぇえええええええ!!」


「!?」


突然、嘔吐する茶柱

吐瀉物は馬常の背にかかり、茶柱はその場に倒れ込んでしまう


「茶柱さん!?」


「…理解不能故、焦る」


「…毒でも塗ってたの?」


「否、当たってない故、それはない」


「…どうしよ」

「逃げるべきかな」


「それが妥当と思われる故」


「…じゃ、そうするよ」


「否」

「逃がさない」


「…だよね」

「茶柱さんは気絶してるし、見せても良いかな」


「…?」


「俺の、本当の能力…」



読んでいただきありがとうございました

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