No,2の部下
「…あ-、くそ」
「情けないわね」
「うるせぇ」
ソファに腰掛け、溜息をつくゼロ
ゼロの叩き付けられた机は真っ二つに割れてしまった
「この机なんてロンドンからの特注よ?」
「ウフフフフフフフ、幾らだったかしらぁ」
「…心中お察しします、布瀬川様」
「だが、納得いかねぇ」
「何で俺はぶっ飛ばされたんだ」
「攻撃をくらったからでしょうが」
「いや…、くらってないんだよ」
「はぁ?」
「攻撃をくらった、っつーより…」
「自分から机に飛び込んだみてぇな…」
「何?馬鹿なの?マゾなの?変態なの?」
「違ぇって」
「奴の能力か…」
「フン、テメーみたいなNo,3より、私の方が良いんじゃねーか?」
「交代しようぜ」
「馬鹿言え」
「…総督、No,2の提案で計画は大幅変更になるんじゃねぇのか」
「えぇ、その通りよ」
「面倒ね-、本当は奴のアジトに奇襲をかけてやろうかと思ってたのに」
「奴もそれを読んでたんでしょうね」
「むしろ、事前に知らせてくれたと思うべきかしら」
「ポジティブね」
「そうでもなけりゃ、やってられないのよ」
「だけど、逆に有り難いんじゃないかしらね?」
「そう」
「つまり、雑兵共を無視すれば良い」
「5人の幹部をぶち殺せば良いワケだし、人員的にはこっちに分が有る」
「有利な勝負じゃなくて?」
「…単純に考えれば、な」
「奴はそれ相応の脳味噌持ってんだ」
「こんな無謀勝負を挑むとは思えねぇ」
「何の秘策が有るのでしょうか」
「解らないわね」
「…白月、お願い」
「承知しました」
バタンッ
「白月には情報収集を頼むわ」
「織鶴、朝霧、ゼロ」
「アナタ達は明日に備えて人員の徴集をお願い」
「「「了解」」」
「こっちの準備は整ったわよ」
「覚悟しなさい…!No,2!!」
廃墟
ピコピコピコ
ドバ-ン!
「♪」
「ピコピコピコピコうるさいんだよ、利胡」
「静かに出来んのかね」
点滅する蛍光灯に照らされた個室
そこには茶髪で天然ボサボサ髪の男
黒い目で顔には右目から顎にかけての一筋の刺青
サイコロを手に持ち、コロコロと転がしている
「ゲ-ム故、音が出るのは当然」
「それ故、許すべき」
部屋の隅で項垂れている1人の男
黒い法衣と1本の刀
橙色の髪は後頭部に小さな三つ編みを結いでおり
顔には額から鼻にかけてまで包帯が巻かれている
「しかしね」
「利胡!少しぐらい音量は下げられよう?」
「え?何だにゃ?」
ヘッドホンを取る利蛙と呼ばれた女性
金髪のくるんと跳ねた柔らかな髪
尖った犬歯と猫のような顔つきが印象的で
白のパ-カ-を着ており、フリフリとしたスカ-トを着用
手にはゲ-ム機を持っており、首にはヘッドホンを掛けている
「狗境、お前は利胡に優しすぎはせんかね?」
「甘やかしては付け上がるのが子供ぞ?」
「子供故、厳しくはしない」
「未来有る幼き者故、愛でるべき」
「世の中ではそれをロリコンって言うのにゃ!!」
「変態だにゃぁ」
「…否定する意図故、否定する」
「それは無理が有るぞえ」
「あら?皆、帰ってたの」
「絵道お姉にゃぁあああああん!!」
利胡は走って絵道に抱きつく
「変態にゃ!変態が居るにゃ!!」
「あらあら、元からでしょう?」
「精神的なダメ-ジを受けた故、涙が出そうだ」
「笑い話は終わりにするかね」
「さて?絵道殿が帰ってきたと言う事は…」
「えぇ、デルタロスが上手くやってくれたわ」
「利用するだけして消すとはね」
「非道の極みかな」
「…今から始める事故、非道とは言えない」
「我等は下衆に成り下がる故」
「下衆なんて言わないで欲しいにゃ!」
「私はあの人の為なら何でもするにゃ!!」
「…何でも、ね」
「それじゃ-、コレも渡しておきましょうか」
絵道から3人にそれぞれ黒い錠剤が渡される
「…ふむ」
「話には効いている故」
「にゃ!」
「デルタロスの御陰で作る時間が取れたんだから」
「感謝しないとね」
「はて、もう1つの目的はどうしたのかな」
「天之川を探すのと時間稼ぎのために利用した故、結果が気になる」
「発見はしたわ」
「だけど、逃げられちゃった」
「協力して欲しいって頼むつもりだったのににゃ!!」
「聞く耳持たない奴にゃ!!」
「仕方ないわよ、向こうだって警戒してるだろうし」
「だけど…、邪魔も入ったのよね」
「邪魔?」
「軍の事であろうか?」
「いいえ」
「祭峰よ」
「…祭峰」
「奴が関わってくる理由が解らない故、謎」
「私もそう」
「こっちの計画が邪魔なのかしら」
「…解らない故」
prrrrr
「にゃ-!ヴァミタから電話にゃ!!」
「もしもしにゃん?」
『w::hj:hjhopeuaj』
「解ったにゃぁ!」
「大好きにゃよ!ヴァミタ!」
プツッ
「…何故、奴の言葉が解るのか」
「それは永遠の謎領域という物ぞね」
「何で皆は解らないのにゃ!?」
「ヴァミタが可哀想にゃん!!」
「怒る姿も美しい故、愛でたく存ず」
「うるさいにゃ!このロリコン!!」
「むぅ…」
「あの方は何処ぞ?」
「まだ帰ってきておらぬ様だが…」
「ヴァミタを迎えに行ってるんじゃないかしら」
「あの人、つい先刻まで軍に行ってたみたいだし」
「何と…、敵陣に乗り込むとは」
「大きく賭けるお方なりね」
「それが良い所よ」
「惚気話に興味など無い故」
「…悪かったわね」
「と言うよりもヴァミタは何処に何をしに行ったの?」
「前のアジトに忘れ物をしちゃったのにゃん!」
「だから取りに行ってくれてるにゃよ!!」
「何を忘れたの?」
「ゲ-ムソフト!」
「…はぁ、目が悪くなるわよ」
「眼鏡も…、良い故」
「少しは黙るべきぞ、狗境」
高層ビル
「…」
荒らされた高層ビルの一室に佇む大男
2mは有りそうな身長と服越しでも解る筋肉
髪と目は黒で、まるで鬼のような厳つい顔である
「…!」
部屋を見渡し、1つの箱を見つける
「…」
その箱には幾つものゲ-ムソフト
「…」
大男はその箱を持ち上げ、部屋の入り口の前に立つ
「待て」
「…」
「貴様、何者だ?」
「ここに何のようだ」
入口を防ぐ3人の男達
それぞれが武装しており、単なる一般人ではないとすぐに解る
「…;ogjiop」
「?」
「何を言っている」
「言語障害者か…?」
「90h@gewgh@」
「…仕方あるまい」
「ここを見られた以上、返すワケにはいかない」
「残念だが」
「…恨むなよ」
ガチャッ
大男の額に向けられる銃
「…sap8」
ゴキンッ!!!
「うぐぁ!?」
吹き飛ぶ男
「貴様!反抗するか!?」
「o8o82k」
「…チィッ!!」
パンッ!パンッ!!
「…」
ガキキィンッ!!
「嘘だろ…」
絶句する男
大男は皮膚で弾丸を弾いたのだ
男は直感した
勝てない、と
「おい!逃げるぞ!!」
「解ってる!!」
気絶した男を背負って逃げ出す2人
「…[@;[l[g1」
大男は少しだけ安堵したような表情となり、2人を見送る
…だが
ドォンッ!!
「ぎゃぁあああああああああ!!!」
「あぁああああああ!!!」
「…!!」
ガチャッ…
「情けをかけるなよ」
「…og;o2」
「敵だぜ?こいつ等は」
部屋へと入ってくるNo,2
彼の服は返り血で真っ赤に染まっている
「bohwui@h」
「お前の優しさは好きだぜ?」
「だけどな、戦場において[優しさ]は[甘え]だ」
「そこを理解してくれよ?ヴァミタ」
「…:ghwhi」
ヴァミタと呼ばれた大男は項垂れ、箱を抱え込んだ
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