知ってはならない事
運動場
「あと…、結界は5分程度です…」
「大丈夫?」
「どうにか…」
「フル活用はキツいですけど…」
「無理は禁物よ」
「後は群麻だけだし、ゼロなら何とかするでしょう」
「だと良いんですけど…」
「…外は上手くやってるかしら」
九華梨高校外
「…駄目だ!やっぱり居ない!!」
「居ないのかい!?誰が!」
「蔵波と熊谷、それと桜見です!!」
「誰も見てないらしいし…」
「…マズいね」
「もし中に入られてたら厄介だ」
「委員長の能力が働いてるんじゃ!?」
「いえ、それは例外ですヨ」
「セントさん!」
「森草さんの能力は1つの意図しか操作できないんでス」
「ですかラ、別の目的で入ろうとしたなら…、それハ」
「…俺、探してきます」
「中には皆が居る」
「異変に気付いたなら、もしかしたら…」
「…でも」
「蒼空君!今の俺達の任務は見回りなんだ」
「別の行動を取っちゃ駄目だよ」
「…ッ」
「火星さんの言う通りでス」
「今は任務に従う方ガ」
「…そうですね」
「すいません」
「いや、友達が心配になるのは当たり前だよ」
「気にしなくて良い」
「…はい」
九華梨高校
2階廊下
「喧嘩売るんじゃなかった…」
鉄珠は絶賛後悔中だった
相手が女性とだけあって完全に舐めて掛かっていたのだ
オマケに祭峰の左腕は[頭が切れる]としか聞いていなかったし…
実際、シルディは糞強い
可愛いのに
メッチャ可愛いのに
黒い髪
白いリボンで結んだポニ-テ-ル
金色の目
ぺったんこの胸
おっと!俺はオ-ルマイティだから微乳でも巨乳でもOKだぜ!!
スラリと長い脚
スベスベしてぇな
きっちり着込まれたス-ツ
レベル高ぇぞ
少し釣り目
デレた時と上目使いとか最高だからね?
腰に携えた拳銃
ワイルドさも重要!
少し低めの声
罵られたいんですけども
おっと、後半は欲望に塗れちまったな
だが、あんな可愛い子を敵に回すなんて勿体ないぜ…
「そこ。発見」
ドゴォンッッ!!!
「ましてや、殺すなんてな」
「私の。背後」
ドゴォンッッ!!
「じゃないんだよねー。ごめんちょ」
「!?」
シルディの爆破した先の柱には黒い服
(囮。…!!)
ぴたりと冷たい感触
首筋に当てられた白刃
背後からは鉄珠の殺気
「で?目的って何かな」
「話したら殺さないからさ」
「あ、ついでにデートしてくれたら、なお良し」
「全てに。おいて。却下」
「残念だなぁ」
「…」
「…」
「…殺さない。のか」
「殺すはずないじゃん」
「こんな美人をさ♪」
「元より。お前は。私を。殺せない」
「ん?何で?」
ガキンッ
「…刃が動かないんですけど」
「窒素を。凝縮」
「空気の。壁」
「嘘だろー…」
ドォンッッ!!
「かぁっ…!!」
「内臓を。焼き尽くす」
「げほっ…」
びちゃびちゃびちゃっ
「…うぇー」
「出血多量で死にそう…」
「…。内臓を。潰したはず」
「何故。生きて。いる?」
「頑丈だからな!」
「女性との夜は脆くちゃ努まらないだろう?」
「…下種。が」
「むしろご褒美だ!!」
校舎外
運動場
「起きてくれよぉ…、2人共ぉ…」
「おいおい、頑張りやがれ」
「ゼロ?」
「織鶴か」
「この餓鬼共、頼むわ」
「あら?確か騎馬戦の時の…」
「重いぃ…」
「気張りなさいよ、情けないわね」
「おっし!元気100倍!!」
「…鉄珠を思い出すわね」
「是非とも思い出したくねぇな」
「取り敢えず、外に蒼空が居るだろうから会いに行け」
「は、はい」
「後はアイツに従えば良いだろ」
「…もしかして、蒼空のアルバイト先の人ですか?」
「アルバ…?」
「あー、そうだよ、そうそう」
「そ、そうでしたか」
「助かりましたよ!ホームレス」
「じゃねぇからな」
「…あれ?委員長」
「あー、森草ちゃんには代表で残って貰ってるの」
「気にしないでね」
「は、はぁ…」
九華梨高校外
「美女の声援が無けりゃ無理…」
ドサッ
「蔵波!!」
「あ、蒼空かぁ…」
「助かったぜ…」
「なんで中に…!!」
「それよりも!その2人は!?」
「途中で倒れて…、何かオッサンが…」
「記憶…?あれ…?」
「…蔵波?」
「何だったっけ…、思い出せねぇ…」
「あれ…?」
「蒼空君!」
「火星さん…」
「蔵波の様子が…」
「…病院に連れて行こう」
「後ろの2人も」
「は、はい…」
「ここは俺に任せて」
「セントちゃんと一緒に行くんだ」
「解りました…!」
九華梨高校内
運動場
「ぐ…、ぅ…」
「目が覚めたかしら」
目覚めた来栖
目前には屈みこんだ織鶴
「!!」
後ずさる来栖
しかし、背後には雨雲
「案ずるな、貴様の傷を治したのは楓だ」
右にはゼロ、左には馬常
右斜め前には鎖基、左斜め前には彩愛
「…チッ」
「さて、裏切った理由を聞こうか」
「言い逃れはできないぞ」
「…その前に聞かせてくれ」
「群麻は?樹湯は?」
「…群麻は死んだよ」
「…殺したの間違いではないのか」
「いや、殺された」
「俺が行った時には既にな」
「属性系の雷系の仕業だ」
「まさか…」
「?」
「天之川か…!?」
「天之川だと?」
「今回の要件はそれだった…」
「天之川を」
パァーーーーー…ン
ドサッ
「…来栖?」
糸の切れた操り人形のように
来栖はゆらりと崩れ落ちる
「狙撃か」
構えるゼロと雨雲
「無駄よ」
「敵の狙いが私達なら、まずはゼロさんを」
「間髪入れずに織鶴さんを、雨雲を」
「確実に仕留めに来るでしょうね」
「最有力を狙わなかったのは…」
「狙いが彼だったから、だよね…」
「そうです」
「…やられたな」
「敵は何処だ!?」
「無駄って言ってんでしょ」
「こんだけの密集地で確実に頭を狙ってる」
「かなりの腕って事よ」
「…そろそろ、森草の結界が切れる」
「武器を仕舞って裏から出よう」
「ゼロ、森草ちゃんを頼むわよ」
「体力消耗してるでしょうし」
「解った」
「俺は楓を背負っていく」
「かなり体を酷使しているからな」
「えぇ、お願い」
高層ビル
屋上
「話すなよな…」
銃を片付ける男
口には煙草を咥え、白い煙がもくもくと立ち上る
「んー!んー!!」
縛られた樹湯
口にはガムテープが張り付けられ、後ろ手で縛られている
「うるせぇんだよ、お前も」
「死ぬか?」
樹湯の額に向けられる銃口
「ッ…!!!」
「冗談だよ」
「テメェは牢獄で一生を終えな」
「ん…!!」
「あ?」
男を呪い殺すように睨み付ける樹湯
その目は怨恨に満ちている
「…フン」
「呪いで人を殺せりゃ苦労しねぇよ」
男は煙草を吐き捨て、踏みにじる
「テメェの能力は有性能だぜ」
「だが、本人がこれじゃ話にならねぇ」
「本体の体ぐらい隠しておかねぇから、こうなるんだよ」
「んー!!」
「何処かの無能力者組織のトップと同じだな」
「反吐が出る」
「ん…!?」
「…さて、天之川も無事に逃げ切ったか」
「多能な主人を持つと面倒くせぇなぁ」
ベリッ!!
「ぷぁっ!?」
「これで喋れるだろ」
「お前!誰だよ!?」
「何で…!!」
「喋るな」
「ッ!」
「俺の問いに答えろ」
「貴様等は何を知った?」
「…」
「…俺達は」
「…そうか」
「殺すんだろ」
「殺せよ」
「言っただろう」
「貴様は牢獄で余生を過ごすんだな」
「…牢獄?」
「もう喋らなくて良い」
ゴッ
「かっ…!?」
「眠ってろ」
ドタッ
「…さて、と」
「厄介になってきたな」
読んでいただきありがとうございました