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秋鋼  作者: MTL2
101/600

大馬鹿者の面影

九華梨高校内


空き部屋


「…逃げたか」


周囲に散らかる肉片

ゼロは鬱陶しそうにそれを蹴り除け、教室を出る


「アイツ等、無事に出れたかな」

「群麻に遭遇してなきゃ良いんだが…」


『------』


「んぁ?」

「ありゃ、来栖か…?」


ゼロは窓から外を覗く

外には騒ぐ彩愛と鎖基

そしてやれやれと呆れている雨雲と馬常

楓は倒れた来栖の手当てをしている

森草は相変わらず能力に集中している


「…やったのは織鶴だな」

「死んでなきゃ良いんだが…」


ズルッ


「お?」


ドタァンッ!!


「ぐぁ!?痛ぇ!!」


盛大にズッコケるゼロ

彼の足元には数十粒のパチンコ玉


「…何でパチンコ玉?」

「滑ったじゃねぇか」


ブツブツと文句を言いながら、ゼロはパチンコ玉を辿って進む


「…何処に続いてんだ」


バチンッ


「!」


バチバチ…


(放電音?)

(デルタロスの連中で属性系能力者は来栖だけのはず…)

(それに、奴は炎系だ)


バチンッ


(…)


ザッ


「誰だ?」


「ゼ…ロ…」


「…群麻?」

「おい!どうした!?」


群麻を抱きかかえるゼロ

放電源は群麻で、体は真っ黒に焼け焦げている


「お前…!傷が…!!」


「もう…、助からない…」

「最後に…、頼まれてくれ…」


「馬鹿言うんじゃねぇ!!」

「お前は生きて今回の事件の真相を証言して貰わなきゃ…」


「ゼロ…!!」


「…ッ」

「どうして…、裏切ったんだ」


「それで良いんだ…」

「俺達は…、知ってしまった…んだよ…」


「何を!?」


「真実を…知った…」

「隻眼の男…は…」


ボコンッ


「…糞が」


その言葉を言う前に

群麻の頭は黒い炭と化していた


「…誰だよ」

「出てこい」


「貴方が。真実を。知るには。早い」

「まだ。時では。ない」


「出てこい、って言ってんだよ」

「隠れてんじゃねぇ」


「却下。する」


「なら出させるだけだな」


ゴォンッ!!


壁は粉砕され、砕け落ちる


「…逃げやがったか」

「俺の能力に追い付きやがるとはな」


ゼロは小さく舌打ちし、群麻を見下ろす


「馬鹿野郎が…」

「何を知りやがったんだ…」


「う、うぅ…」


「ゴラ、起きろ餓鬼共」


「…ホ-ムレスの」


「違ぇ」

「おい、名前は?」


「く、蔵波ですけど」


「蔵波、そこの2人を背負ってくれ」

「俺はコイツを背負っていくからよ」


「さ、先刻の…!!」


「…気にすんな」

「お前、コイツから何か聞いたか」


「こ、この人が能力開花の時から特殊体質で能力を持続所持してるって…」


「…そうか」


ゼロは群麻の意図を読み取った


この馬鹿は

大馬鹿野郎は

コイツ等を巻き込むまいと、嘘を言ったんだろう

最後の最後まで死人を出すまいとして


その時、ゼロの脳裏に1人の男が映し出された


『耐えられなかっただけだ』

『軍に…、な』


お前とそっくりじゃねぇか

誰も殺すまいとして

仲間の為に無茶して

最後は自分自身を犠牲にして

馬鹿みてぇじゃねぇか


大馬鹿野郎みてぇじゃねぇか


この、大馬鹿野郎が…





運動場


「だから!貴方は雨雲を攻撃してたんですよ!?」


「何故!我が雨雲を攻撃するのだ!!」


「いや、してたんですって!!」

「操られて!!」


「心当たりなどない!!」


「操られてたんですから当たり前ですよ!!」


「だから言っておるだろう!!」

「心当たりがない、と!!」


「だぁ-かぁ-らぁ-!!」



「…会話が噛み合ってないね」


「むしろ、鎖基相手に噛み合わせようとするのが間違いだ」


「確かに…」

「…で、大丈夫なの?楓ちゃんは」


「少しキツいかも知れん」

「今日は既にゼロを治療しているからな」


「はぁ…はぁ…」


「楓、辛いなら休め」

「急ぐ必要はない」


「うん…」

「でも、もう少しだから…」


「…頑張るね」


「あぁ、楓の良い所だ」


「無理は禁物だけどね」


「…織鶴か」

「先刻は助かった」


「気にしなくて良いわよ」

「投げたら当たっただけだし」


「…意識したワケではないのだな」


「いいえ?意識したわよ」

「取り敢えず、死なない程度に投げようかってね」


「…そっちを意識したのだな」


「…あれ?」


「どうしたのよ、馬常」


「鉄珠は?」


「…そう言えば」


「最後まで一緒に居たのは誰よ?」


「あぁ!俺だ!!」


「鎖基?」

「鉄珠は?」


「途中で別れたのでな!!」

「知らん!!!」


「…はぁ」

「外は上手くやってるかしら」



2階廊下


「…」


「何処に行くのかな」


「!」


「…やっぱりな」


「鉄珠。忍」

「織鶴の。部下か」


「アンタは知ってるぜ」

「シルディ・ステライス」


「…。」


「何の用だ?」

「祭峰の左腕とも在ろう方がよ」


「貴様に。言う必要は。ない」


「そう言うなって」

「ゼロから逃げてきたんだろ?」


「…何故。知っている」


「少しばかり見てたからな」

「ゼロと一緒に彼等を外に出す手伝いをしようと思ってたんだけど予定変更~」

「お前を追う事にしました!」


「…。噂通りだ」

「チャラけているようで。本筋を見ている」


「照れるなぁ~♪」


「…だが。」


シルディの腕が鉄珠へと向く


「所詮は。無能力者」


ゴォンッ!!


「っとぉ!!」


咄嗟に横へと飛ぶ鉄珠

その頭上では激しい爆発が起こる


「…何の能力かな」


「空気の。圧縮」

「窒素を。高速圧縮する事で。酸素との間に。摩擦熱を起こし。…」


「爆発、ね」

「無能力者の俺にはキツいんですけど」


「知った事では。ない」


「お―、お―、えげつないねぇ」


鉄珠の頬を汗が伝う

相手は祭峰の左腕と言われるほどの能力者


どうする?どう逃げる

まともに戦って勝てるはずがない


「…あ!UFO!!」


「…。」


ドォンッ!!


「ジョ-クだってばぁあああ!!!」




読んでいただきありがとうございました

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