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秋鋼  作者: MTL2
10/600

7000万の容疑者

万屋


「ただいま-♪」


「お帰りなさい」

「ご機嫌ですね、織鶴さん」


「にゅふふふ♪そうかにゃ-?」


「…何事ですか」


「コンビニでフェアがやっててな」

「スウィ-ツが安かったんだ」


「そうですか」

「本当に汗臭いですね、火星は」


「何で!?」


「オ-ッス!ただいまぁ~」


「…うわぁ」

「帰って来やがりましたよ」


「久々の帰宅なのに」


(ここの男性陣は扱いが酷いんだな…)

(…俺も男じゃん)


「蒼空君、お帰りなさい」


「あ、ただいまです」

(良かった、普通…)


「私の分は?」


「え?」


「私のスウィ-ツは?」


「…無いです」


「チッ!役立たずが」


(やっぱりこうなるんだ)


「そう言うと思って持って帰ってきてやったぜ-!」


「…鉄珠も少しは見直しました」


「ありがとよ!」


「で、彩愛」


「何ですか?織鶴さん」


「調べて欲しいんだけどね」

「五眼衆について」


「!」


全員の顔付きが一気に変わる


「…先刻、襲撃を受けたんだよ」

「マスクをした男、茶髪の女の子、大柄のゴツイ男」

「3人だったが、間違い無く五眼衆の一角だ」


「火星の言う通りよ」

「他2人は知らないけど、大柄のゴツイ男の首に五つの眼のマ-クが有ったわ」

「間違い無く五眼衆ね」


「解りました」

「軍の過去デ-タから巷の噂、全て当たります」


「お願いね」


カタカタカタカタッ


部屋の中に響くキ-ボ-ド音

重い沈黙が続く



(気まずい)

(大変、気まずい)


どうするべきだろうか

波斗は悩む


「良い天気ですね!」


こんな一言で切り出そう物なら間違い無く自滅

織鶴さんの


「あぁ、そう」


の返事で空気がコ-ルドクラッシュである


と言うか、切り出す必要性が有るのだろうか?

この空気を耐えきれば良いのだ

ここに来て数日だろう?自分は

気まずいのは当然だ

周りを見てみろ!皆、普通に…


「…」

「今日は良い天気だな!!」


火星

空気をコ-ルドクラッシュ



やりやがった



「あぁ、そう」


「…そうだよな」


空気がさらに重く沈黙する


何をやってるんだ!あの人は!!


「織鶴-、そのスウィ-ツ美味そうだな」

「幾らしたんだ?」


「250円」


「結構、良い値段だな」

「俺も今度買ってこようかな-」

「オススメとか有る?」


「生チョコロ-ルかしらね」


「そうか、ありがとう」



上手い!

鉄珠さんは上手い!!


まず「そのスウィ-ツ美味そうだな」

この台詞なら素人でも思いつくだろうが、その続き!

「結構、良い値段だな」

この台詞だ

「安くて良い値段だな!」にも取れるし「その美味さでその値段か!ちょっと高いけど良い値段だな!!」にも取れる

さらに「オススメとか有る?」で織鶴さんの機嫌をUP!

巧みな話術だ!!

勿論、お礼も忘れないのが鉄則かな、うん


「何処で売ってるんだっけ?」


「…先刻、買いに行ったでしょ」


火星さぁあああああん!?

本当に何をやってるんだ!この人は!!

今のは最も言ってはならない言葉だろ!?

自分の不出来を取り戻そうと、焦って言葉を発するのは愚の骨頂!!

結果的に織鶴さんの機嫌を大幅DOWN!!


「…出ました」


…ふぅ

ここは彩愛さんに救われたかな


「首や手、頬に五つの眼の入れ墨をした人々が市内でも多く見かけられています」


「堂々と出歩いてんの?」


「その様ですね」

「アルバイトとして雇ってる店なんかも有るそうです」


「何考えてんのかしら…?」

「軍の過去デ-タの方は?」


「ちょっと待ってください」

「今…、出ました」

「五眼衆…、15年前のデ-タですね」

「一度は軍との共同戦線を張るほどの信頼関係に在った様ですが、五眼衆と軍との間に在った事件に寄って信頼関係は壊滅」

「その事件の詳細は…」


「はい、そこまでだ」


「「「!!」」」


「何しに来たの?ゼロ」


「おいおい、俺から依頼に来たんだぜ?」

「もうちっとマトモに迎えられねぇのか」


「仕方ないわね」

「火星、泥水」


「鬼か貴様は」

「冗談は置いといて、だ」

「彩愛、テメ-は毎回の様に軍の機密デ-タにハックして来んじゃねぇよ」

「総督が愚痴ってたぞ」


「だったら情報をください」


「それは総督に言え」

「軍にも見られてマズぃ情報も有んだよ」


「で?依頼は何よ」


「あ-、それだよ!それ」

「五眼衆の襲撃、受けただろ」


「受けたけど?雑魚だったわ」

「あんなのが大量に居る様じゃ面倒くさくて鬱陶しいわ」


「それなんだよ」


「は?」


「最近な、能力者の目撃情報が激増してる」

「大規模な能力じゃないんだ」

「小さな火を発火させたり、空き缶を潰したり、通常よりも速く走ったり」

「目撃されてるのは軍でも下っ端以下の能力者だよ」


「殺れば良いんじゃない?」

「怪しきは罰せよ、でしょ」


「そうも行かないんだよ」

「はい!問題-」


「?」


「日本の人口は何人?」


「確か…、1億2000万ぐらいでしたっけ?」


「正解だ、蒼空」

「目撃例は7000万だ」


「半分以上じゃねぇか…」


「それなんだよな-、火星カセイ


火星ヒボシだ」


「その能力を悪用してる奴が多いワケでもねぇし、流石に日本人口を半分以上、消すワケにも行かねぇだろ?」

「だから…」


「元凶を辿って始末しろ、と」


「その通り!察しが良いねぇ」

「軍も五眼衆の生き残りが元凶って事は解ってんだが、ヘタに手は出せねぇ」

「一般人を盾にされても困るしな」


「法だ何だに縛られてる軍より私達の方が動きやすいからね」

「要するに7000万人から犯人を捜し出せば良いんでしょ?」


「そういう事だな」

「頼むわ」


「解った、引き受るわ」


「おお、有り難ぇ」

「報酬は幾らぐらいだ?」


「はい」


織鶴が指を5本、真っ直ぐ立てる


「勘弁してくれ」

「コレでどうだ」


指を3本立てるゼロ


「…コレで良いわよ」


織鶴の立った指が4本に減る


「足下見やがって」

「まぁ良い、OKだ」


「ありがと」

「…それはそうと、何で天下もNo,3様がここに来てんの?」

「下っ端にでも来させりゃ良かったでしょうに」


「暇だったから」


「あぁ…、そう」



読んでいただきありがとうございました

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