意識は永遠の闇へ
かつて私は、バックパック一つを背負い、アメリカを自由気ままに旅していた。大自然の美しさ、都市の喧騒、多様な文化に触れることができる場所、それがアメリカであった。だが、その旅はある日突然、不気味な事件によって一変した。何も知らずに辿り着いた町で、邪神崇拝組織ウンブラ・カルティスに捕らわれてしまったのだ。そして、その後に繰り広げられた出来事が私を完全に変貌させ、アメリカという土地での自由な旅は、永遠の闇へと消えていった。
ウンブラ・カルティスは人間と怪物の想像を絶する共同体だった。怪物は触手の生えた鱼類に似た獣で、人間は狂気によって曲がりきった顔を持つ者ばかりであった。
拘束された場所は何処か闇の深い石造りの部屋で、目の前には名状しがたき料理が供されていた。それは黒々とした塊で、脈打つような紫色の光を放っていた。その形状は人間の言葉では表現できぬほどおぞましい。表面は波のようにうねり、悪夢のような形状を持っていた。名状しがたい形のそれは触手か、それとも肉片なのか、確かめようがない。
「食べなさい、これが我々の神、ノクストゥラの賜物だ」と、顔に刻まれた狂気の痕跡がみてとれる信者が言った。その言葉に続き、怪物が私の口へと黒い塊を無理に押し込んできた。舌はその触れた瞬間に反逆を試みたが、抵抗できずに喉を通っていった。
その瞬間、周りの怪物と信者が一斉に慈愛の笑みを浮かべた。触手の生えた魚類に似た怪物は、その多くの目で私を温かく見つめ、狂気の顔を持つ人間たちは、まるで親が子に贈るような愛情に満ちた微笑を向けた。
悍ましい食べ物が喉を通り過ぎ、胃に達すると私の意識は一変した。かつての友人や家族、何もかもが些細なことに思えてきた。ノクストゥラ万歳、ウンブラ・カルティス万歳。ああ、我が新たな神に捧げよう、絶え間ない忠誠と崇拝を。
私は、ノクストゥラをただただ素晴らしいと崇め、ウンブラ・カルティスのメンバーも仲間ととらえるようになった。
私は一人の旅行者から、ウンブラ・カルティスの一員へと変貌を遂げた。私は、邪神ノクストゥラの新たな信者として、永遠の闇の中で新しい生涯を歩むのであった。