表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/6

☆彡海底の神秘、海底都市 ~ 記憶の残骸(ワスレラレシダイチ) ~ Ⅱ



 ここは、深い海の底の底。だけど、まるで太陽光が届いているかの如く、光りに溢れている。


 エメラルドグリーンがキラキラと揺らめくその真ん中には、大きな都市まちが広がっていた。


 初めて見たはずの、海の底の都市。なのに、あなたにとってどこか懐かしさを覚える場所…。



『それでは、海底都市に入っていきます。…いつかの、忘れられた記憶が蘇るかもしれませんね』



 運転手は意味深長なことを、マイク越しに呟くようにして言うと、入り口に佇む、顔の崩れた苔だらけの大きな女神像の横を通りすぎ、海底都市の中に向けてバスを走らせた。

 


 

 あなたを乗せたバスが、都市の真ん中を走る。ビルのような謎の建造物が立ち並ぶなか、崩れ倒れているものも幾つかあり、そのすべてのものにびっしりと苔が生えていた。

 その建造物の間々には、木々のようなものが伸び、大きいものは、高層ビルより高くたかく伸び育っていた。


 そこは地上の、どこかの都会を思わせるような世界。だけど「今の」というより「()()()()未来」という感じの場所。



『こちらの海底都市は別名【人魚の街】と、呼ばれています。まだここが地上にあった頃は、人々のような生命…私やあなたが生きて生活していましたが、海の底に沈んだ現在は、人魚の生活の場になっています』



 さらりと。運転手が不思議な話をする。



『人魚が生活している街に、もうそろそろ到着します』



 ガタガタと揺れながら、バスが走る。あまりにもバスが普通に走っているから、あなたはつい忘れていたが、ここは海の底。バスは海の中を、当たり前のように走り進めているが、今、普通のバスのように窓でも開けたら、大変なことになるでしょう。


 色々な思いを巡らせながらも、心は穏やかなあなた。窓の外を見つめていると…そこには、キラキラとした尾を揺らせながら泳ぐ、人魚たちが窓向こうに見えてきた。


 そこはまるで、地上の都会のような賑わい。だけど、そこにいるのは人間ではない。人間のような上半身に、下半身はまるで…魚の尾のようになっている。…人魚だ。

 たくさんの人魚が、スクランブル交差点のような場所を歩く…いや、泳いでいる。


 この人魚たちがいる場所も緑の苔だらけだが、入り口そばのビル郡の廃れた雰囲気とは違う。

 

 色とりどりの看板や店にそして、色とりどりのキラキラとした人魚たちの尾が海を揺らしていた。


 窓向こう。美しい人魚たちに、あなたはきっと見惚れるでしょう。




 バスは海の中を走る。


 賑やかな人魚たちの住む街を通りすぎ、またビル郡が廃れた場所を走ると─…バスは、海の底の地から離れ、海上に向かって浮かび始めた。


 浮かぶように走るバス。


 エメラルドグリーンがキラキラと煌めく海から、また暗黒のようにまっくらな海に、飛び込む。


 暗くて濃い闇を走り過ぎ、だんだん闇色から濃い青になり、濃い青から透明感のある青になってゆく。


 地上に、近づいてきた。


 すると。




『次は【静寂の夜空】です。海を抜けて、今度は夜空を昇ります』




 運転手がそう言うと─────




 ────…ざぶんっ!



 

 海面を揺らしそして、水飛沫をキラキラと散らしながら、あなたを乗せたバスは海から飛び出ると。


 バスは、夜空を昇りはじめた…

 

 



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 海底都市というと海に沈んだアトランティス伝説を思い浮かべますね。 ロマン溢れる物語です。 童話のような雰囲気ですね。
2022/10/19 21:25 退会済み
管理
[良い点] 静かですね…… 読んでいるうちに、このミッドナイトブルーの世界を 描きたくなります……m(_ _)m そう。 この世界のように…… いくらでも時間──悠久の時があれば…… いくつもの魂たち…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ