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018 ぼくらが考えたさいきょうの事業

「さてさて〜早速営業に行きたいところなんですが……まずはできることを確認しとかないといけませんね〜」


「例えばどういう販売先を想定してる?」


「とりあえず飲食系は、60万Gで売ったときのものと同じように作れませんか?」


俺はロイヤルステーキのシートを開き、共有した。


正直かなり力を入れてしっかり作ったシートだ。


取得する取引情報を変えるだけで全然使えるな。


「このシート、複製できるから、店舗情報変えるだけで別会社の分析にも使えるね」


「は〜〜〜♡♡♡」


「ちょ、ど、どうした!?」


サーヤが目からコインが溢れ出している。


「金のなる木……っていいですねぇ……飲食企業は横展開し放題ってことですか……」


「一社作るのに例えばどれくらい時間かかりそうです?」


「このシートをそのまま使うなら、納品前の確認入れても30分もかからないんじゃないか?細部を調整しても1時間くらいだろうと思うけども……」


「うわぁ〜〜〜♡♡♡夢が、夢が広がりますよぉ♡♡♡」


「社長!これは勝ち確です!おめでとうございます♡♡♡」


なんか社長って言われると気持ちいいな。


「私が飲食系企業に営業しても、レーヤさんに待機時間が発生する可能性がありそうですね……」


サーヤが顎に指を置いて考えている。


「先に私が、横展開できそうな他業種を中心に欲しい情報を聞いてくるので、レーヤさんはその情報取得、分析が可能か検証してください」


「それがいいね。できたらシートも作っちゃうと」


「そうしましょう。じゃあ営業の方法なんですが……このシートって私が持っていくことできますよね?書き込むことってできます?」


「あ〜それ確かめてないんだよ。今試してみよう」


俺は適当なシートをサーヤと共有してみる。


「俺とサーヤで同じシートをそれぞれ開くことはできるな」


「これやっぱりそういうことなんですか?」


サーヤの目の前にある画面にはフトシと七瀬ちゃんと3人で行ったレストランの商品データが表示されている。


同じものが俺の目の前の画面にも表示されている。


俺がその最後尾に『ぷりぷりエビのタルタルエビフライ』という文字列を追加してみる。


「データの一番下に文字を打ってみたけど、サーヤの画面にも反映されているな」


「えええぇ……」


呆気にとられた顔をしているサーヤさん。


流石にそういう顔しちゃう気持ちもわかる。


スプシが連絡手段としても使えるってことだもんね。


「私が書き込むことができたら営業効率が跳ね上がりますよ……」


「やってみて」


「はい......きゃぁあッ!!!」


サーヤが文字を打ち込もうとして、悲鳴をあげる。そのまま後ろに倒れ込んだ。


俺は彼女を支えて、即座にシートを閉じた。


「やっぱりダメかぁ……」


「予想してたんなら言ってくださいよ!」


「まぁまぁ。どうだった?」


「頭の中にここに書かれている文字列がぶわぁって浮かび上がってきて、もうめちゃくちゃでしたよ……で、どういうことなんです?」


なるほど。やっぱりそういうことか。


「このスキル、俺が使うことに最適化されてるみたいなんだよね。多分、入力時に入力されてる情報が全部頭に浮かぶんだと思う」


「意味がわかりません。どんな脳みそしてたら、それが『最適』になるんですか?」


やっぱりスプレッドシートは俺にしか使えないようだ。


「……じゃあサーヤが書き込んで使うのは難しいか。効率悪くなるけど、顧客獲得できたらその都度、俺に伝えに来てもらうことになるかな。俺が同行してもいいし」


そう言うとサーヤは目に炎を浮かべて拒否した。


「いえ、私が書き込めば済む話です!どれだけ営業効率が変わってくると思ってるんですか!!!」


サーヤが深く息を吸い込んだ。


「金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金金」


「何何何ごと!?」


彼女は念仏のように『金』を連呼している。


そう思って見ていたら、凄まじい勢いでシートに文字を入力していた。


『ぷはぁっ!……どうにか入力できそうです。顧客を獲得でき次第こちらに記載します。顧客企業、欲しい情報、優先度を1~5で記載するので優先度が高い順に取り組んでください』


「すごい……ね。気合というか、根性というか……」


「私、金のためなら、基本何でもできるので」


キラーンと星が出そうなウィンクとポーズを決めるサーヤだった。


後ろに倒れこむほどの作業を、お金への執着のみで乗り越えたサーヤさん、マジですごいな。


「じゃあ連絡シートを作るよ。これでいいかな」


俺はさっきサーヤが書いた情報を踏まえて、俺とサーヤの連絡用のシートを作成した。


獲得した企業名、欲しい情報、優先度などを書き込めるようにしてある。その横には俺とサーヤが業務連絡を記載できるスペースも準備した。


「ありがとうございます!それじゃ、ひとまずレーヤさんはここで、不動産関連情報を表示するシートを作ってくれませんか?家賃の相場の表示、家賃ごとの入居率分布、管理会社ごとのシェアなんかもあると、嬉しいです。王国全土で地区別に作成してください」


さっき見せた周辺相場のシートだな。


「やっぱりあれは売れそう?」


「不動産管理業者にはかなり売りやすいです。サンプルとして使うのであのシートも持っていっていいですか?」


「了解」


「それじゃ行ってきます!」


「お〜頑張れ!いってらっしゃい!」


俺は走っていくサーヤを見送る。


一息ついて、俺は不動産相場比較シートを作り始めた。


俺は、この後どうなるかなんて何も考えていなかった。


俺はサーヤに営業を任せるという意味が何もわかっていなかった。


数分後から、とてつもない勢いで顧客の要望が追記されていくようになった連絡シートを見て俺は思い知ることになる。


俺は悪魔に魂を売っていたのだ、と。


無限残業(デスマーチ)が始まった。


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